中国フリースタイルスキーの看板選手アイリーン・グー(22)に向けられる中国本土の反応が、明らかに変わった。たった一つの結果が、世論の温度を変えた。
アイリーン・グーは2月9日(日本時間)に行われたミラノ・コルティナ冬季五輪のフリースタイルスキー・スロープスタイル女子決勝で86.58点を記録し、銀メダルを獲得した。金メダルには届かなかったが、その意味は決して小さくなかった。
2003年にアメリカで生まれた彼女はアメリカ人の父と中国人の母を持ち、2019年から中国代表として活動する傍ら、有名ブランドのモデルとしても人気を博す。
2022年北京冬季五輪ではビッグエアとハーフパイプで金メダル2個、スロープスタイルで銀メダル1個を獲得し、中国のスポーツスターとして浮上した。今回の銀メダルはオリンピック通算4個目のメダルであり、スロープスタイルでは2大会連続の銀メダルとなった。
スロープスタイルは、技術的完成度と安定性が同時に求められる種目だ。ジャンプ、レール、テーブル、ボックス、ウェーブなど多様な障害物を通過しながら技術を披露し、3回の試技のうち最高得点で順位を決める。アイリーン・グーにとって容易な舞台ではなかった。
予選1回目の試技では転倒したが、2回目の試技では完璧に近い滑りを見せ、全体2位で決勝に進出した。決勝でも出だしは良かった。1回目の試技で86.58点を記録し、一気に1位に立った。しかし2回目の試技で転倒し、23点にとどまった。その間、86.96点を記録したスイスのマチルド・グレモーに逆転を許すと、3回目の試技でも着地の過程で滑り、1.65点に終わった。こうしてアイリーン・グーのスロープスタイルは銀メダルで幕を閉じた。
試合直後、アイリーン・グーは重い意味を持つ言葉を残した。『ロイター』によると、アイリーン・グーは「二つの国の重さを同時に背負っている感じだ」と語った。アメリカで生まれ、中国代表としてプレーし、すでに4個の五輪メダルをもたらしているが、それでも完全に歓迎されていない現実を自ら認識しているという告白だった。
実際、最近まで雰囲気は冷ややかだった。深刻な負傷とリハビリを経てオリンピック出場を確定させたにもかかわらず、中国国内では応援より批判が先行した。アメリカの市民権を維持したまま中国代表として活動し、莫大な収益を上げている点が問題視されたのだ。米誌『フォーブス』によると、アイリーン・グーは2022年から2025年までに約8740万ドル(日本円=約136億円)を稼いだとされている。
中国が二重国籍を認めていない状況の中で、彼女は「アメリカにいるときはアメリカ人で、中国にいるときは中国人だ」と明確な回答を避けたが、この態度がかえって不信を広げた。大会前、中国国内のポータルサイトでは「機会主義者」「金を稼ぎに来たアメリカ人」「出て行け」といった露骨な批判があふれた。
しかし、銀メダル獲得後に空気は変わった。中国の各メディアのニュースコメント欄には「最も弱い種目でこの結果なら大したものだ」「すでに十分素晴らしい」といった反応が増えた。「ごめんなさい」「許してほしい」と、これまでの批判を撤回する投稿も見られた。
世論は結果の前で急速に動いた。こうした中国国内の反応を、韓国メディア『OSEN』は「付和雷同そのもの…中国、あんなに罵った帰化選手が銀メダルで賞賛と謝罪“私たちがごめん”」と皮肉交じりの見出しで報じている。
アイリーン・グーのオリンピックはまだ終わっていない。スロープスタイルを皮切りに、ビッグエアとハーフパイプが残っている。前回大会で金メダルを総なめにした主力種目だ。
銀メダル一つで変わった中国世論が、主力種目で金メダルを獲得した場合、どのような称賛へと変わるのか注目される。
(記事提供=OSEN)
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