「奇跡の優勝」から10年…日本代表も活躍したレスターが3部転落 迷走と分裂の末の悲劇、待ち受ける“底なしの絶望”

2026年04月23日 スポーツ #サッカー
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かつて元日本代表FW岡崎慎司も所属したレスター・シティが、イングランド3部リーグ(リーグ1)に降格した。

【写真】49年ぶり降格危機の英名門、韓国紙も憂う「崩壊の足音」

2015-2016シーズン。誰も信じていなかったチームが、サッカー史上最も美しい童話を描いた。5000倍というオッズを覆してプレミアリーグの頂点に立った「フォクシーズ」だった。

わずか1年後には、UEFAチャンピオンズリーグの準々決勝でアトレティコ・マドリードと対戦。2021年にはFAカップ優勝まで果たした。

そのチームが今、イングランド3部のリーグ1へと転落した。

岡崎慎司
プレミアリーグ優勝トロフィーを持つ岡崎慎司(写真提供=ロイター/アフロ)

レスターは4月22日(日本時間)、イングランド2部EFLチャンピオンシップ第44節でハル・シティと対戦し、2-2で引き分けた。

これで44試合消化時点で11勝15分18敗の勝ち点42とし、24チーム中23位。残り2試合時点で残留圏内の21位ブラックバーン(勝ち点49)と7ポイント差となり、3部降格が確定した。

来シーズンは、134年の歴史のうち132年を非プロリーグで過ごしてきたプロムリーと同じリーグで戦うことになる。イギリス国営放送『BBC』は「レスターの転落は単なる不振ではなく、制御不能な自由落下だ」と表現した。

食い止められなかった転落・迷走・分裂

転落は、はるか以前からすでに始まっていた。

レスターは2022年、プレミアリーグで8位、UEFAカンファレンスリーグでベスト4に入った。当時のブレンダン・ロジャーズ監督は、クラブに対して「期待値を改めるべきだ」と警告していた。故ヴィチャイ・スリヴァッダナプラバ元会長が運営していた免税店企業「キングパワー」は、新型コロナウイルスで大打撃を受けた。航空旅行が止まったことで、クラブの財政も揺らぎ始めた。

レスターは投資の代わりに現状維持を選んだ。結果は後退だった。

ジェイミー・ヴァーディ、ジェームズ・マディソン、ユーリ・ティーレマンスといった各国代表クラスの選手を擁していたが、選手補強はまともに行われなかった。ロジャーズ監督は2023年4月、降格圏に沈んだ中で解任された。後任としてディーン・スミスが就任したが、降格を食い止めることはできなかった。

さらに大きな問題はその後にあった。レスターはこの3年間で、実に7人もの監督を交代させたのだ。

ディーン・スミス、エンツォ・マレスカ、スティーヴ・クーパー、ルート・ファン・ニステルローイ、マルティ・シフェンテス、ゲイリー・ロウェット。スタイルも、方向性も、哲学もバラバラだった。『BBC』は22日(日本時間)、「レスターはアイデンティティを失ったまま、監督交代を繰り返して迷走した」と指摘した。

マレスカが2024年にチャンピオンシップ優勝と昇格へと導いたが、長くは続かなかった。後任のスティーヴ・クーパーは失敗し、ファン・ニステルローイは27試合でわずか5勝にとどまった。シフェンテスはプレーオフ圏内まで勝ち点6差の14位にチームを引き上げたが、1月に解任された。『BBC』は「時間が経つほど理解しがたい決定だ」と評した。

結局、レスターは降格争いをしていたオックスフォード・ユナイテッドを解任されたばかりのゲイリー・ロウェットを呼び寄せた。状況はさらに悪化した。2月には財務規則違反により勝ち点6の剥奪処分を受けた。内部では「自分たちは大丈夫だ」という安易な雰囲気が蔓延していたという。『BBC』は、この体質が2023年のプレミアリーグ降格時から繰り返されていると伝えた。

選手とファンの関係も崩壊した。ポーツマス戦の敗北後、ハリー・ウィンクスはチームバスへ向かう途中でファンと言い争いになった。ハル・シティ戦では、後半に途中出場する際にホームのファンからブーイングを浴びた。

会長の突然の死、33歳で“すべて”を背負った息子

レスターの没落を語るうえで、会長だったヴィチャイ氏の死は避けて通れない。

ヴィチャイ氏は2010年、約3900万ポンドでレスターを買収した。クラブの負債を整理し、4年でプレミアリーグ昇格を成し遂げた。2015-2016シーズンの優勝は、彼が作り上げたものだった。

ただ、2018年10月のウェストハム・ユナイテッド戦の直後、本拠地キング・パワー・スタジアム外でのヘリコプター墜落事故によりこの世を去った。

当時の優勝メンバーだったロベルト・フートは、『BBC』を通じて「ヴィチャイは何でもやり遂げる人だった。彼がクラブに与えた影響は、決して過小評価できない」と語った。

その後、息子のアイヤワット・スリヴァッダナプラバ氏がクラブとキングパワーを引き継いだ。問題は、彼があまりにも若くしてすべてを背負わなければならなかった点にある。

フートは「トップ(アイヤワット氏の通称)は当時33歳だった。突然父親を亡くし、同時に巨大企業とサッカークラブに責任を持たなければならなかった。人々は簡単に批判する。だが、彼は一夜にしてすべてを背負ったのだ」と述べた。

クラブ内部では、責任転嫁の文化と、決定権者への過度な権限集中も問題視されている。特にジョン・ラドキン・ディレクターに権限が集中しすぎているという批判が根強い。レスターのファンは、すでに彼の退陣を求めている。

崩壊したクラブに待ち受ける“絶望”

ファンの絶望はより切実だ。

レスターのファン団体の代表リン・ワイアット氏は、『BBC』とのインタビューで「我々は毎年優勝を期待していたわけではない。ただ、頻繁に欧州大会出場を争えるチームになることを願っていただけだ」とし、「問題は転落があまりに突然で、あまりに悲惨だということだ。ブレンダン・ロジャーズ以降、すべてが制御不能な状態で壊れてしまった」と語った。

財政状況も暗い。レスターはここ2シーズン連続で、収益を上回る年俸を支払ってきた。2024-2025シーズンの損失額だけで7110万ポンドに達する。先月にはオーストラリアの投資銀行マッコーリーから、将来の放映権収入や移籍金を担保に追加融資まで受けた。

問題は、これから戦う3部リーグだ。リーグ1はテレビ放映権収入がはるかに少ない。来シーズンからは、追加収入の60%以上を選手の給与に充てることもできなくなる。

パトソン・ダカ、リカルド・ペレイラ、ハリー・ウィンクスら高額年俸者は契約満了を控えている。オリヴァー・スキップやヤニク・ヴェスターゴーアのように長期契約が残っている選手は、放出も容易ではない。

10年前、世界中を感動させた「レスターの童話」は終わった。残されたのは崩壊したクラブ、去っていった英雄たち、そして3部リーグへと向かう最も残酷な結末だけだ。

(記事提供=OSEN)

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