【AWCL】ベレーザと戦う北朝鮮「ネゴヒャン女子蹴球団」 韓国団体の熱烈歓迎“完全スルー”、政府支援の「南北応援」が残した虚しさ

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北中米ワールドカップ開幕を目前に控え、5月20日に韓国・京畿道(キョンギド)の水原(スウォン)総合運動場で特別なサッカーの試合が行われた。韓国と北朝鮮の女子クラブチームによる直接対決が実現したのだ。

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この日に行われたのは、AFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)準決勝の水原FCウィメン(韓国)対ネゴヒャン女子蹴球団(北朝鮮)の試合だった。

水原FCウィメン、ネゴヒャン女子蹴球団
白がネゴヒャン女子蹴球団、赤と紺が水原FCウィメン(写真提供=OSEN)

AWCLは今季で2回目となる大会だ。今年1月、韓国サッカー協会(KFA)は準決勝と決勝を韓国で開催したいという意向書を提出した。その後、3月末に行われた準々決勝で水原FCウィメンが勝利し、ベスト4進出を決めたことで大会の韓国開催も確定した。

AWCLは準決勝・決勝を一カ所で集中開催する。2024-2025シーズンは中国の武漢で開催され、そこをホームとする武漢江大が最終的に優勝を飾った。

KFAも、このようなシナリオを描いていた。水原の優勝への挑戦を後押しするため、AWCLの準決勝と決勝を誘致したのだ。水原のキャプテンである韓国代表MFチ・ソヨンは「国内で準決勝を戦えるようにしてくださり、感謝していると伝えたい」と言葉を残した。

水原は苦難の末に準決勝まで登りつめた。2025年にミャンマー・ヤンゴンで行われたグループステージでは4チーム中3位となり、辛うじて決勝トーナメントに進出した。当時はすでにネゴヒャンと対戦し、0-3で完敗を喫していた。

ただ、2026年に入り水原は大々的な補強に乗り出した。韓国女子サッカー界のレジェンドであるチ・ソヨンが3年ぶりに復帰し、キム・ヘリやチェ・ユリといった韓国代表クラスの選手を続々と迎え入れた。さらには、日本人FW鈴木陽も獲得した。AWCLを見据えて、積極的な戦力補強に乗り出していた。

AWCLで起きた異様な光景

当初、ネゴヒャンの訪韓は不透明だった。それまで北朝鮮のサッカークラブが韓国を訪れた事例はなかったからだ。

北朝鮮の指導層はスポーツ分野において、特に南北対決の結果に敏感であることで知られている。南北間の戦力差が大きい男子サッカー代表の北朝鮮遠征試合(2019年10月のカタールワールドカップ・アジア2次予選)は、無観客で行われたこともある。「大敗する姿を公開するのを嫌がったのだろう」との解釈がなされた。

ネゴヒャンの訪韓確定後、韓国国内ではスポーツ界で滅多に見られない反応が起こった。一部の北朝鮮関連団体が彼女たちを歓迎する声明を出し、応援団を募集するなど独自の動きを見せたのだ。これに対し統一部は、ネゴヒャンを応援する国内の民間団体に「南北協力基金」3億ウォン(日本円=約3169万円)を支援すると発表した。

ネゴヒャン女子蹴球団、水原FCウィメン
左がネゴヒャン女子蹴球団、右が水原FCウィメンのエンブレム(写真提供=OSEN)

その後、水原の応援団に対する支援の公平性について論争が起きた。「ホームの利を活かすために大会を開催したのに、その意義が失われつつある」という指摘も相次いだ。議論が続くなか、統一部は「共同応援団」という看板を掲げた。特定のチームではなく、両チームの善戦を応援するという説明を付け加えた。

理論上、水原が一方的な応援を背に受けることができる状況だった。北朝鮮現地からネゴヒャンを応援する人々が韓国の競技場を訪れることは不可能な特殊な状況だったからだ。

しかし、北朝鮮関連団体が動いたことで、応援団の数が逆転しかねない事態となった。韓国国内においてWKリーグなどの女子サッカーは、男子に比べて関心が低い実情がある。そのため、水原側を含むサッカー界からは、寂しさを吐露する声も上がった。

ネゴヒャン選手たちの「無反応」

他の大会とは異なる緊張感が試合前から続いていた。ネゴヒャンの韓国入国現場には多くの人が歓迎に駆け付けたが、ネゴヒャン側はこれといった反応を示さなかった。

ネゴヒャン女子蹴球団
韓国入国時、無表情で空港を後にするネゴヒャン女子蹴球団の選手たち(写真提供=OSEN)

試合前に行われた公式記者会見でも、雰囲気は大きく変わらなかった。共同応援団の熱気に関する質問に対し、ネゴヒャンのリ・ユイル監督は「私たちはここに試合をしに来た。応援団の問題は、監督や選手が関与することではない」と答えた。

試合当日、懸念は現実のものとなった。試合を前に、水原総合運動場一帯には観光バスが続々と到着した。水原やネゴヒャンの選手たちを乗せたバス以外にも、多数のバスがいた。平安南道(ピョンアンナムド)中央道民会、南北協会、民主平和統一諮問会議などの団体名が記されたバスからは、お揃いの白いレインコートを着た人々が列をなして降りてきた。

通常、ホームチームの応援団が陣取るゴール裏の観客席ではなく、サイドライン側(バックスタンド)には「共同応援団」が大挙して陣取った。彼らは応援団長やチアリーダーまで動員していた。色とりどりのスティックバルーンや応援マフラーなども用意されていた。

試合中の応援は「共同応援団」という趣旨に沿って行われているように見えた。応援団長は水原とネゴヒャンの両チームの名前を交互に叫び、盛り上げを図った。「選手たち頑張れ、いいぞ」といった中立的な掛け声も続いた。

しかし、反応の差はあった。ネゴヒャンを呼ぶ応援団の声が際立って力強く、ネゴヒャンの決定的な攻撃シーンでは、より大きな歓声が上がった。試合終了後、感激した一部の人々は「南北統一」と声を枯らして叫んでいた。

朝鮮ネゴヒャン女子蹴球団の訪韓を歓迎します
「朝鮮ネゴヒャン女子蹴球団の訪韓を歓迎します」と書かれた横断幕(写真提供=OSEN)

一方、水原の応援席では、通常のKリーグやWKリーグの試合と同様に、ホームチームへの熱烈な応援が続いていた。

試合は水原の惜敗だった。ボール支配率57%対43%、シュート数17対7と試合の流れは支配したが、決め手に欠けた。先制したものの直後に逆転を許し、1-2で敗れた。試合終盤にPKを獲得したが、これを失敗し追撃のチャンスを逃した。

決勝進出を逃した悔しさから、水原の選手たちは涙を見せた。ピッチに倒れ込み落胆する選手たちを、仲間たちが支え起こした。彼女たちは自分たちを応援してくれたゴール裏のファンへと歩み寄り、挨拶を交わした。

ネゴヒャンの選手たちは違った。勝利が確定した後、ピッチ上で喜びを分かち合った。選手やスタッフは北朝鮮国旗を広げ、チームで記念写真を撮る場面もあったが、共同応援団に向けた反応は見せなかった。試合後の記者会見で、リ・ユイル監督が「(応援については)それほど意識はしなかった。住民たちがサッカーへの関心が高いようだ」と述べる程度だった。

ネゴヒャン女子蹴球団
北朝鮮国旗を掲げ、歓喜するネゴヒャンの選手とスタッフ(写真提供=OSEN)

ネゴヒャンの選手団は、試合後の個別取材が行われるミックスゾーンでも、報道陣の質問に反応することなく通り過ぎた。共同応援団の応援に返ってきたのは、冷ややかな反応だけだった。

なお、勝利したネゴヒャンは本日(23日)14時、水原総合運動場で日本の日テレ・東京ヴェルディベレーザとの決勝に臨む。

(記事提供=日曜新聞)

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