韓国で活動が制限されるようになったスターたちが、次々に日本を目指すのはなぜだろうか。
学生時代のいじめ問題によって活動を休止していた俳優のキム・ドンヒが、再び動きを見せている。
キム・ドンヒは先日、自身のSNSに四つ葉のクローバーの絵文字を添えて、いくつかの写真を公開した。そこには、水辺の近くで撮影に臨んでいるような姿や、スタッフの手によって髪を整えられている様子が収められていた。
これを受け、韓国メディアは「国内復帰へ始動か」といった内容で報じている。
キム・ドンヒは今年1月、ネオスエンターテインメントとの専属契約を締結し、本格的な再始動への準備を始めた。
しかし、それ以前から彼は日本のファンとの交流を継続していた。昨年7月には、東京の飛行船シアターにおいて「KIM DONG HEE FANMEETING IN TOKYO SUMMER MESSAGE」を開催している。
韓国での活動が停滞している期間も、日本ではファンと対面する場を維持し続けてきた。今回の動向は、その先にある韓国での復帰を見据えたステップとも受け取れる。
もともとキム・ドンヒは、韓国ドラマ界における期待の若手であった。
2018年のウェブドラマ『A-TEEN』で注目を集め、高視聴率を叩き出した『SKYキャッスル』、2020年の『梨泰院クラス』、さらにはNetflixの『人間レッスン』などに出演し、次世代を担う俳優としてその地位を確立した。
とりわけ『梨泰院クラス』は、日本でも社会現象を巻き起こした作品である。キム・ドンヒはチャン・グンス役を演じて広く知られるようになり、日本の視聴者にも強い印象を残した。
実際に、2023年に日本で初めてファンミーティングを行った際のインタビューでは、日本のファンについて「SNSメッセージで多くの方からメッセージをいただく」と語り、「本当に不思議です。ただ感謝の気持ちしかないです」と思いを明かしていた。日本での支持の厚さは、彼にとって大きな心の支えとなっていたに違いない。
だが、その勢いは2021年に突如として遮られた。学生時代のいじめ疑惑が浮上したためである。
韓国メディアの報道によれば、キム・ドンヒは当初、この疑惑を否定して暴露した人物を虚偽事実摘示による名誉毀損で訴えた。しかし、暴露した側が「嫌疑なし」の処分を受けると、2022年1月に過去の一部行為を認めて謝罪するに至った。
キム・ドンヒは、問題視された出来事について「小学校5年生のとき、クラスメートと口論になってけんかをし、先生に叱られた」と経緯を説明した。母親からも厳しく叱責された後、相手の自宅を訪れて謝罪したことも告白している。
さらに、「その後、問題なく一緒に過ごした時間が多かったので、私を許してくれたと思っていたようだ」と振り返り、「私ひとりの考えだったことを知らなかった。その方々に傷が残っていたことを思いやれなかった」と心境を述べた。
一方で、刃物などを用いたという疑惑については否定したが、足で胸のあたりを押すといった行為はあったと報じられている。
つまり、すべての疑惑を認めたわけではないものの、少なくとも一部の非を認めて謝罪した形だ。その結果、韓国での活動は長期にわたって停滞することとなった。
今回のキム・ドンヒの動向が注目される理由は、彼個人の復帰問題だけにとどまらない。
韓国で批判を浴びた芸能人が、まず日本でファンミーティングやライブを開催し、一定の時間を経てから韓国での復帰を模索する。こうした流れが、近年ひとつのパターンとして定着しつつあるからだ。
もちろん、すべての事案を一概に論じることはできない。いじめ問題、飲酒運転、薬物、私生活をめぐるスキャンダル、さらには性犯罪では、その罪の重さも社会的な責任も大きく異なる。キム・ドンヒの件を、刑事事件を起こした芸能人と同列に扱うのは適切ではない。
それでも、韓国で世論が厳しくなると日本でファンとの接点を保ち続けるという構造自体は、共通の傾向として見受けられる。
例えば、東方神起の元メンバーであるパク・ユチョンは、2019年に薬物使用の容疑で有罪判決を受けた。
疑惑が出た当初は「麻薬をしていたら引退する」と強く潔白を主張したが、検査で陽性反応が出たことで、韓国芸能界から事実上の追放状態となった。
しかしその後、彼は海外を拠点に活動を再開させ、日本でもファンミーティングやディナーショー、ライブなどを継続している。今年5月にもZepp Hanedaでツアーを開催しており、12月には東京国際フォーラムでの公演も予定されている。
UN出身のキム・ジョンフンも同様の状況にある。
彼は飲酒運転や私生活のトラブル、さらには飲酒測定拒否の疑いなどで韓国国内で激しい批判にさらされた。それでも日本での活動を継続し、2025年にはドラマ『夫婦スキャンダル3―パンドラの秘密』(原題)で韓国ドラマへの復帰を果たしている。
韓国での活動が困難になった後、日本でファンとの絆を繋ぎ止め、時間をかけて本国での復帰のチャンスを窺う。キム・ジョンフンの事例は、その典型的な実例といえるだろう。
では、なぜこれほどまでに日本が活動の場として選ばれるのだろうか。
理由のひとつとして、日本にはすでに盤石なファンベースが存在している点が挙げられる。
韓国ドラマやK-POPを通じて日本で人気を得たスターは、本国で活動が止まったとしても、日本には彼らを待ち続けるファンがいる。テレビ出演や新作ドラマへの復帰が難しくとも、ファンミーティングやライブ、ファンクラブイベントといった形式であれば、興行として成立する可能性が高い。
もうひとつは、日本の独特なファン文化である。日本では、一度ファンになった対象を長く応援し続ける傾向が強い。過去の作品を入り口に支持を続け、韓国で批判を浴びた後でも「それでも会いたい」「応援したい」と考えるファンが一定数存在する。
さらに、日本のメディアは韓国のスキャンダルに対し、現地のメディアほど長期にわたって攻撃的な追及を行わない傾向がある。
韓国で大騒動となった不祥事も、日本ではイベントの告知や来日ニュースとして、比較的穏やかに取り上げられることがある。そのため、韓国での復帰が容易ではない芸能人にとって、日本は活動の火を絶やさずに済む場所になりやすいのだ。
もちろん、日本での活動そのものが否定されるべきではない。日本にも彼らを待ち望むファンは存在し、ファンにとっては憧れのスターに会える貴重な場である。本人が過去の過ちと向き合い、誠実に活動を続けていくのであれば、日本での活動が再起の第一歩となることもあるはずだ。
ただ、韓国国内で十分な検証や納得が得られないまま日本で収益を上げ、時間を置いて韓国復帰を狙うという構図に対しては、韓国側から厳しい視線が注がれやすい。特に問題が深刻であるほど、「なぜ日本では受け入れられるのか」「日本のファンを復帰のための道具にしているのではないか」といった批判的な声も上がる。
キム・ドンヒの場合も、今後の復帰への道は決して平坦ではないだろう。
韓国では、いじめを含む校内暴力、いわゆる「学暴」問題に対する世論の目は極めて厳しい。被害者が受けた心の傷は、時間の経過とともに消えるものではなく、芸能人が「若気の至り」として簡単に幕引きを図れるような状況ではない。
今回、SNSに撮影中と思われる写真を投稿したことは、一見すると些細な動きかもしれない。しかし、作品活動を長く中断していた彼にとって、これが復帰に向けたシグナルとして受け止められるのは自然なことだ。
日本でファンと交流し、新たな事務所を決定し、撮影現場らしき姿を公開する。それは、韓国での本格的な活動再開に向けた地ならしのように映る。
キム・ドンヒは日本での活動を経由し、韓国での復帰を成し遂げられるのだろうか。その動向は、不祥事を起こした韓流スターたちが選びがちな「再起のルート」の是非を、改めて浮き彫りにしている。
(記事提供=スポーツソウル日本版)
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