なぜ“売れているのに儲かりにくい”?韓国の期間限定グループ特有のビジネス構造とメンバーの葛藤

2026年06月07日 K-POP #アイドル
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かつて人気を集めた韓国女性グループが華麗な再結成を果たした裏側には、非常に生々しい金銭的な問題が存在していた。デビュー10周年の節目に再結集を果たしたI.O.I(アイオーアイ)のことだ。

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およそ9年ぶりとなるタイトル曲『Suddenly』は音源チャートで首位を獲得し、ソウル・蚕室(チャムシル)室内体育館で行われた単独コンサートには3日間で1万3000人以上の観客が詰めかけた。

数字上の結果だけを追えば、I.O.Iの復活は大成功と言える。ファンは再び集い、会場は満員となり、新曲も好成績を残した。10年前の思い出を蘇らせる再結成として、これほど完璧なストーリーはない。

I.O.I
I.O.I(写真提供=OSEN)

しかし、メンバーたちの口から語られたのは、お祝いムード一色の言葉だけではなかった。

キム・チョンハは、I.O.Iとして再集結することに対し「集まるとお金が出ていく。個人的に活動するほうがはるかにお金は稼げる」と率直に語った。

ユ・ヨンジョンも「私たちがそんなに資本的に豊かでもなく、余裕のある状況で準備したわけでもなかった」と言い、「“お金を稼げないのはわかっているから、今回は私も全部諦めて入る”と言って助けてくれた人たちが多かった」と説明した。

チャート1位やコンサートの成功といった華々しい実績の裏で、メンバー自らが「個人で動いたほうが稼げる」と口にする。その点に、今回のI.O.I復活の興味深い側面がある。

音源チャート首位、3日間で1万3000人

もともとI.O.Iは、2016年に放送されたオーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet)を通じて結成された11人組の期間限定プロジェクトグループである。

I.O.I
I.O.I(写真提供=OSEN)

『PICK ME』で一大旋風を巻き起こし、韓国全土に“国民プロデューサー”というフレーズを定着させたものの、その活動期間はわずか1年にも満たなかった。2017年1月のプロジェクト解散に伴って活動を終了し、メンバーは各自の所属事務所へ戻り、それぞれ異なる道を歩み始めた。

そのI.O.Iが、デビュー10周年という節目を迎えて再結集した。今回はチュ・ギョルギョンとカン・ミナを除く9人のメンバーで構成されている。5月には記念アルバム『I.O.I : LOOP』をリリースし、5月29日から31日にかけてはソウル・蚕室室内体育館にて単独コンサート「2026 I.O.I CONCERT TOUR : LOOP」を敢行した。

3日間の公演で動員した観客は1万3000人を超え、初日にはタイトル曲『Suddenly』が音源チャートのトップに立った。

イム・ナヨンは「初公演の日に音源1位になってとてもうれしい。とても貴重なプレゼントだ」と喜びを表し、チョン・ソミも「コンサート当日に1位にしてくださって本当に感謝している。ドラマでもこんなふうに書いたら怒られる」と深い感謝を述べた。

また、コンサートはグループの代名詞である『PICK ME』からスタートし、約3時間30分に及ぶステージで全24曲を歌い上げた。『24 HOURS』や『Yum-Yum』といった番組時代の記憶を呼び覚ますナンバーでは、会場全体が当時の熱気に包まれた。活動終了前に発表された最後の楽曲『Downpour』のイントロが響き渡ると、メンバーもファンも涙を浮かべた。

この再結成がファンにとってどれほど大きな意味を持つものであったかは、十分に伝ってくる。10年近くの歳月が流れても、I.O.Iというブランドが持つ集客力は健在であった。

それだけに、キム・チョンハが放った「集まるとお金が出ていく」という言葉は、いっそう現実味を帯て響く。

I.O.I
I.O.I(写真提供=OSEN)

ヒットしても利益が出にくい背景

I.O.Iが苦境に立たされているのは、人気がないからではない。むしろ、メンバーそれぞれが売れっ子であるからこそ、再結成に向けた調整が難航するのだ。解散後、各自が独自のキャリアを確立し、個人での活動基盤を固めているためである。

I.O.Iは一般的な固定グループではなく、『PRODUCE 101』から誕生した期間限定のプロジェクトグループであった。活動期間の満了後、メンバーたちは元の所属事務所へ戻り、ソロシンガーや俳優、別のグループのメンバー、タレントとしてそれぞれの道を歩んできた。

10周年のために再集結すると言っても、単一の事務所に所属する現役グループが新作をリリースするのとは、その構造が根本から異なる。

何よりもメンバー全員のスケジュール調整が必須となる上、関与する所属事務所の数も多くなる。I.O.Iとして活動する以上、プロジェクトの運営元や制作陣、スタッフ、振付師、衣装、映像制作、会場の確保、プロモーション展開など、莫大な費用と多大な調整作業が発生する。

活動期間が限定されている点も影響している。短い期間で準備を整え、短期間のうちに活動を行い、その限られた時間内で投資を回収しなければならない。一般的なグループのように、何年もの歳月をかけて持続的に収益を積み重ねていく仕組みではないのだ。

そうした実現へのハードルの高さは、ユ・ヨンジョンの発言にもにじみ出ている。

彼女は、I.O.Iの再結成計画が「一、二度白紙になった」と告白した。今回についてもメンバーたちの間では「これが実現するのか」という不安交じりの空気が漂っており、「今回もダメなら本当に一生終わりだと思っていた」「好きでも嫌いでも持っていこう、これを全部やり遂げようという気持ちがあった」と当時の心境を語っている。

I.O.I
I.O.I(写真提供=OSEN)

今回のカムバックは、決してスムーズに進んだ記念プロジェクトではなかった。幾度となく頓挫しかけながらも、最終的にどうにか形へと結実した再結成であった。

メンバーたちの一連の発言を受けて、インターネット上でも「なぜI.O.Iは売れているのに儲かりにくいのか」という議論が巻き起こった。

一例として、「I.O.IはSwingエンターテインメントとMnetの下で動いているから、メンバー個人の所属事務所は今回のカムバックであまり利益を得られないのではないか」「大人数グループだと、事務所と分けたあとに、さらに9人で分けることになる。そこから経費も引かれる」といった指摘が見られた。

実績も残し、話題性も十分で、多くのファンが待ち望んでいた。その反面、個人の活動と比較すると収益の効率は決して良くない。この矛盾する状況が、今回のI.O.Iの復活をよりいっそう印象深いものにしている。

キム・チョンハによる「個人的に活動するほうがはるかにお金は稼げる」という発言は、非常に冷徹な事実を物語っている。

I.O.Iのメンバーは、グループ活動終了後にそれぞれの名前で実績を積み重ねてきた。キム・チョンハはソロシンガーとして成功を収め、チョン・ソミもソロアーティストとしての地位を確立している。キム・セジョンは俳優として高い評価を得ており、キム・ドヨン、イム・ナヨン、ユ・ヨンジョンらも各々の分野で地道に活動を展開してきた。

個人での活動であれば、I.O.I名義の再結成に比べて、スケジュールや収益の流れは比較的見えやすい。広告、ドラマ、バラエティ、ソロ音源、イベント出演など、個人の名前で動く仕事は、I.O.I名義の再結成に比べれば収益の流れも見えやすいと言える。

対照的に、I.O.Iとして集結するためには、9人分のスケジュールと現在の個人活動を調整しなければならない。そこへさらに制作費や人件費、レッスン、レコーディング、映像制作、衣装代、会場費、宣伝費などが上乗せされる。

そのうえ、今回の再結成は長期にわたる活動を見据えたものではない。短期間での準備を求められ、限られた好機の中で結果を残さねばならない。音源チャートでの首位獲得やコンサートの成功があったとしても、あらゆる経費や調整にかかる労力を考慮すれば、個人の活動ほど効率的に利益を上げられるとは限らないのである。

知名度を上げたメンバーたちが一堂に会するからこそ、費用も時間も、そして調整の手間も膨れ上がる。I.O.Iの再結成には、そのような矛盾が存在していた。

ユ・ヨンジョンの「今回のアルバムは愛だ」という一言は、こうした一連の背景を踏まえると、いっそうの重みを持って響いてくる。

彼女は、今回のカムバックに向けた準備が決して資金面で恵まれていたわけでも、潤沢な環境であったわけでもないと明かした。それでも周囲のメンバーやスタッフには、「お金を稼げないのはわかっているから、今回は私も全部諦めて入る」と述べて手を差し伸べてくれた人々が多数いたという。

これは、スタッフや周囲の支援者を含め、ビジネスとしての採算性だけでは割り切れない形でI.O.Iの復活が実現したことを証明している。

K-POPグループの再結成には、単なる懐かしさだけでは乗り越えられない現実的な問題が横たわっている。所属事務所の違い、契約内容、利益の分配、スケジュールの調整、そして制作費の確保など、そこには数多くの障壁が存在する。

I.O.Iの10周年プロジェクトが人々の胸を打つのは、それらの高い壁を乗り越えてでも、彼女たちが再び集まることを選んだからに他ならない。

集結すれば費用がかさむ。それでもなお、もう一度同じグループ名でステージに立つことを決めた。ユ・ヨンジョンの言葉を借りれば、今回の再結成はまさに「愛」によって成立したと言えるだろう。

(記事提供=スポーツソウル日本版)

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