なぜ「日本市場」が狙いなのか?韓国政府が中小K-POPの海外進出に1組3000万円を支援する背景

2026年06月24日 K-POP #アイドル
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韓国の政府機関が、K-POPアーティストによる海外への展開をバックアップする方針を固めた。

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支援の対象に選ばれたのは、大手のプロダクションではなく、小規模な芸能事務所に所属しているグループである。

韓国の文化体育観光部は先日、韓国コンテンツ振興院と連携し、ポップミュージックを扱う中小規模の事務所が国外へ進出するのを助ける「中小企画会社グローバル跳躍支援」というプロジェクトを本年度から始動させると明らかにした。

一般公募を経て選出されたのは、RESCENE、xikers、TUNEXX、KIIRAS、can't be blue、82MAJOR、Big Ocean、USPEER、X:IN、8TURNの計10組だ。各種報道によると、それぞれの事務所に対して年間で最高およそ3億ウォン(約3000万円)が支給され、全体では30億ウォン(約3億円)の予算が計上される見込みである。

実施された活動の成果を精査したうえで、最長で3年間にわたり援助を継続することも認められている。

交付される資金の用途は、国外向けのCD制作やミュージックビデオの撮影、現地での宣伝活動、プロモーション、海外でのステージ展開など多岐にわたる。単に「アルバム制作費を出す」といった一律の補助にとどまらず、それぞれの事務所が独自の計画に沿って柔軟に資金を運用できる体制となっている。

RESCENE
RESCENE(写真提供=OSEN)

現在のグローバル市場において、K-POPはすでに確固たる地位を築き上げている。

BTSやBLACKPINK、SEVENTEEN、Stray Kids、aespa、TWICE、LE SSERAFIM、IVEといった、有力事務所や大規模な育成企画から誕生した面々は、アジア圏の枠を飛び越え、北米やヨーロッパでも支持を拡大させてきた。

しかしその裏では、K-POPビジネスにおける果実が一部の巨大プロダクションに集中しているという現状を懸念する声も少なくない。

韓国コンテンツ振興院がまとめた2023年のデータによれば、大手の音楽制作にかける年間費用が平均で431億1000万ウォン(約43億1000万円)に達していた一方、中小規模の事務所では平均14億9000万ウォン(約1億5000万円)という水準にとどまっていた。

さらに国外でのライブ活動の回数を見ても、大手グループが年に平均83.4回を数えたのに対し、中小はわずか4回にとどまったとされる。数字を並べるだけでも、両者の間には途方もない格差が存在していることが浮き彫りになる。

すなわち今回の取り組みは、K-POPという文化を“大手だけの成功”という限定的なもので終わらせないための施策にほかならない。韓国の当局としては、規模の小さな事務所のアーティストにも世界で競い合えるベースを提供し、業界全体の底上げを図る思惑があるとみられる。

注目の新星たちと日本が持つアドバンテージ

今回選ばれた10組のアーティストの中で、現在本国においてひときわ注目を集めているのがRESCENE(リセンヌ)である。

彼女たちはつい最近、「巨済(コジェ)ヤッホー」というインターネット上のトレンドをきっかけに脚光を浴びた女性グループだ。メンバーのウォニが自身のYouTubeチャンネルでファンを増やし、日本出身のミナミとのユーモラスなやり取りから誕生した「巨済ヤッホー」のフレーズが、SNSやショート動画を通じて爆発的に広まった。

このネット上の盛り上がりは一過性の流行にとどまらず、彼女たちが実際に巨済市の公式な広報大使に任命されるという展開にまで至った。

知名度の低い事務所の所属でありながら、テレビの歌番組や高額な宣伝に頼ることなく、個々のタレント性と短尺動画を武器に名前を売った手法は、現代のK-POPにおける典型的なヒットの形を示している。

あわせて動向を注視すべきなのが、xikers(サイカース)だ。

彼らは、人気グループATEEZの“弟分”として位置づけられる男性グループである。所属するKQエンターテインメントの直系の後輩にあたり、エネルギッシュなダンスと構築された独自のストーリー性によって世界中にファンを獲得してきた。

直近のミニアルバムは発売初週で36万枚を超える売り上げを記録し、アメリカのビルボードにおける「ワールドアルバム」部門で4位に食い込むなど、早くも国外での確かな手応えを掴みつつある。

xikers
xikers(写真提供=OSEN)

これらに加え、日本人のメンバーを擁するTUNEXXやKIIRAS、さらには5人編成のバンドスタイルをとるcan't be blueといった面々も期待を集めている。

ここで興味をひかれるのは、一口に「海外進出」と標榜しながらも、その主たるターゲットとして日本を見据えているケースが目立つ点である。

現にRESCENEは日本と米国での展開スケジュールを公表しており、xikersについても日本での本格的な活動展開を計画しているとされる。

当然ながら、照準を合わせているのは日本一国だけではない。米国をはじめ、インドやマレーシア、あるいはアジアの諸地域など、それぞれのユニットが別々の国々を視野に入れている。

しかしそうした状況であっても、日本という存在が中小のK-POP勢にとって外せない極めて重要なターゲットであり続けている事実は変わらない。

一体なぜ、これほどまでに日本が選ばれるのだろうか。

その背景は明快である。日本は長きにわたり、K-POPビジネスを支える中核的なマーケットであり続けてきたからに他ならない。

今年1月、韓国の関税庁が公開した貿易データによれば、2025年度におけるK-POPのCDなどの輸出総額は、前の年と比べて3.4%増加して3億174万4000ドル(約483億円)に達し、これまでの記録を塗り替えた。仕向け国別で見てみると、日本が8062万5000ドル(約129億円)を占めてトップに立っている。

この実績は、次点につける中国の6971万5000ドル(約112億円)や、3位のアメリカによる6397万1000ドル(約102億円)という金額と比較しても、抜きん出た規模であることがよく理解できる。

要するに日本は、今なおK-POPのパッケージ商品の海外販売において決定的な役割を持つ市場なのだ。

それに加え、国内には単なるCDの販売にとどまらず、ライブ興行やファン交流イベント、関連商品の展開、期間限定ショップの運営、テレビ番組への出演、商業誌への掲載など、アーティストが多角的にプロモーションを行いやすい環境が整っている。

大手のグループであれば、最初からアメリカやヨーロッパの巨大なスタジアムでの公演を目指すことも不可能ではない。一方で、小規模な事務所のアーティストにとっては、最初に日本で地道に支持基盤を固めることこそが、地に足の着いた海外展開のロードマップになり得る。

地理的な近さから渡航などの経費を圧縮しやすく、現地の人々もK-POPという文化を広く受け入れている。さらに、ある程度の熱心なファン層を確保できれば、ファンとの交流イベントや限定ライブ、発売記念の催し物などを通じて効率よくビジネスを軌道に乗せることが可能だ。

日本市場は、中小K-POPグループにとって、世界に出るための実践的な足場ともいえるだろう。

文化政策の対比と今後の展望

こうした韓国側の動きと際立ったコントラストを見せているのが、日本の進めるクールジャパン政策である。

近年、日本のカルチャーを国外へ発信する目的で2013年に設立された「クールジャパン機構」を巡り、組織の廃止を視野に入れた議論が進められているとの報道があった。その根底には、積み重なった巨額の赤字問題が存在するという。

むろん、今回の韓国によるK-POPへの支援施策と、日本のこの機関とでは、事業の規模感も構造も、掲げるゴールも一様ではないため、一概に同列に語ることは不適切だ。

けれども、自国の文化コンテンツをどのように国外へ売り出していくかというアプローチの面では、非常に示唆に富む対比が見て取れる。

日本が巨大な官民連携ファンドのあり方を再考せざるを得なくなっている一方で、韓国はK-POPの小さな事務所に向けて、パッケージ制作や海外での宣伝、ライブ運営といった極めて具体的な実務費用をストレートに援助する姿勢を打ち出している。

そしてこの支援を通じて韓国側が強く示している指針こそ、K-POPの可能性を“大手だけの成功”として固定化させないという決意に他ならない。

すでに世界のマーケットで結果を出している主要グループの後を追う形で、RESCENEやxikersといった小規模事務所の面々が、どこまで国外で独自の領域を築けるか。この成否が、これからのK-POP業界全体の裾野の広がりに直接影響を与えることになる。

USPEER
USPEER(写真提供=OSEN)

空間的に近く活動しやすい海外戦略において、日本という場所は相変わらず決定的なポジションを占めている。

アメリカへのCD輸出が急激な伸びを見せている現在にあっても、日本は依然として圧倒的な規模を誇るK-POPの消費地である。独自のファンコミュニティの文化が深く根を下ろしており、パッケージ商品もライブも関連グッズも、活発にお金が動く仕組みが維持されている。

小規模なグループにとって、この日本国内で強固な支持者層を獲得できれば、その後に控える世界展開の命運を大きく左右する要因となる。

韓国の公的支援を受ける“中小K-POPグループ”の面々は、果たして世界の舞台でその存在価値を証明できるのだろうか。ここ日本で広く認知を獲得できるか否かが、その行く末を占う最初の重要なハードルとなるに違いない。

(記事提供=スポーツソウル日本版)

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