一枚の写真が、BTS・RMに対する高い評価までも揺るがした。その騒動は、SNSの枠を超えて大きく広がっていった。
女性への暴力防止を目的に活動する米非営利団体「The Pixel Project」は先日、RMを同団体の「女性への暴力をなくすために行動する男性ロールモデル」のリストから無期限で外すと発表した。
きっかけとなったのは、RMとJ-HOPEが米歌手クリス・ブラウンと撮影した一枚の写真だ。
今回の決定が注目されたのは、The Pixel Projectが以前からRMを批判していた団体ではないからだ。むしろ、その関係は「逆」だったと言える。
同団体は2024年、RMを「女性への暴力をなくすために貢献する16人の男性ロールモデル」の一人に選出していた。
その理由について、「RMが長年にわたり、自身の内面化された女性蔑視と向き合い、芸術分野の女性を支援し、女性への暴力について声を上げてきたことを確認したうえで、彼を選出した」と説明していた。
さらに2025年には、「完璧ではないが良い男性ロールモデル」の事例として、RMを同団体の記事で取り上げていたほどだ。
つまり今回の措置は、もともとRMを高く評価していた団体が、その評価を一時的に取り下げたという意味を持っていた。
発端は8月12日。RMとJ-HOPEは、カナダ・トロントで行われたクリス・ブラウンとアッシャーのコンサートを鑑賞した。2人が会場で楽しむ様子は、SNS上で拡散された。
その後、クリス・ブラウンがRM、J-HOPEと一緒に撮影した写真を公開した。
問題視されたのは、クリス・ブラウンに過去、女性への暴力をめぐる複数の問題が存在したことだ。2009年には当時交際していたリアーナへの暴行事件で有罪判決を受けた。その後も暴力や脅迫をめぐるトラブルが報じられてきた。
そのため、一部の海外ファンからは「なぜBTSのメンバーが彼と公に交流するのか」と失望の声が相次いだ。
もちろん、RMやJ-HOPEがクリス・ブラウンの過去の行為を支持すると発言した事実はない。それでも、The Pixel Projectは今回の写真を重く受け止めたのだ。
The Pixel Projectの声明で印象的だったのは、RMとJ-HOPEに「女性への暴力を支持する意図があった」と決めつけてはいない点だ。
同団体が問題視したのは、“意図”よりも“影響”であった。
声明では、「意図と影響が、常に一致するわけではない。たとえRMとJ-HOPEに、その写真を“加害者や女性への暴力を公に支持するもの”にする意図がなかったとしても、彼らほどの知名度があれば、結果的に何百万人ものファンや一般の人々の前でブラウンに発信の場を与えることになる」と指摘していた。
つまり、「本人たちがどういうつもりだったのか」ではなく、「世界的スターの行動が、外からどう受け取られるのか」を重視したということだ。
The Pixel Projectは、写真が公開された直後に判断を出したわけではなかった。
団体は「私たちは、この騒動に対応する前に、RMがクリス・ブラウンのコンサートについて公に説明、あるいは何らかの言及をするのを待っていた」としていた。
しかし約1週間が過ぎても、RMからの公の説明はなかった。
同団体は「RMは1週間にわたって沈黙を続けており、その沈黙は耳をつんざくほどだ」と、強い言葉で問題視していた。
また、RMだけでなくJ-HOPEや所属先のHYBEについても、今回の件について沈黙していると指摘した。
そのうえでThe Pixel Projectは、RMに完璧さを求めているわけではないと説明。「私たちは、RMを含め、どの男性ロールモデルにも完璧であることを求めてきたわけではない。結局のところ、誰もが人間だからだ」とした。
そして、「女性アーティストや女性作家を支援し、フェミニズムについて学び、自身の歌詞について女性学の教授に相談し、女性への暴力について声を上げてきた、あなたのこれまでの努力を思い出してください」と呼びかけていた。
今回の出来事で重要なのは、単にネット上で批判が続いているということではない。
これまでRMを「女性への暴力防止に貢献する男性ロールモデル」として正式に評価していた団体が、その評価を自ら無期限で停止したことだ。
The Pixel Projectは、2025年の記事についても見直し、修正するとしていた。
一方、今回の措置をめぐっては新たな議論も起きていた。
オンライン上では、The Pixel Projectの判断を支持する声がある一方、団体の判断に反発する声も出ている。関連投稿のなかには100万回、200万回を超えて表示されたものもあり、RMをめぐる論争そのものがさらに大きくなっていた。
ただ、ここで改めて整理しておきたい。RMとJ-HOPEがクリス・ブラウンの過去の行為を支持したと確認されたわけではない。
ただ、世界的な知名度を持つBTSだからこそ、「誰の公演に行くか」「誰と写真を撮るか」といった行動まで、価値観を示すものとして受け止められることがあるのだ。
The Pixel Projectの今回の決定は、その現実を象徴する出来事といえそうだ。
一枚の記念写真から始まった騒動は、ついにRMが長年積み上げてきた“社会的な評価”の一角にまで影響を及ぼし始めている。
(記事提供=スポーツソウル日本版)
■日本人ファンを「乞食」呼ばわりも…BTS韓国公演の裏で噴出した悪質な観光トラブル
前へ
次へ