韓国で生後4カ月の乳児を残酷に虐待して死亡させた実母の犯行映像が公開され、怒りの声が沸き起こっている。ネット上では子どもの両親の個人情報も流出されており、彼らへの厳罰を促す「嘆願書送り」の動きも広がっている。
3月3日、韓国の主要なオンラインコミュニティやSNS、ユーチューブなどでは、昨年10月に全羅南道(チョルラナムド)麗水(ヨス)で発生した乳児ヘドゥンちゃん(仮名)虐待殺人事件の加害者である実父母に対する厳罰を訴える書き込みが相次いでいる。
実母であるA氏は児童虐待殺害の容疑で、実父であるB氏は児童虐待放任などの容疑でそれぞれ拘束起訴された。
厳罰嘆願書の作成を促す書き込みには、この事件の1審を審理する光州(クァンジュ)地裁順天(スンチョン)支部の住所とともに、事件番号、被告人(実母および実父)の名前などが記された。
投稿者は「尊敬する裁判長、わずか4カ月の乳児を凄惨な方法で殺害した実母A氏を、児童虐待殺害罪で法定最高刑に処してくださるよう切にお願い申し上げます」という内容で厳罰陳情書を作成し、裁判部へ送ってほしいと訴えた。
A氏とB氏に向けた市民の怒りが高まったのは、先月28日にSBSのドキュメンタリー番組『それが知りたい』を通じて事件の実体と犯行映像が公開されてからだ。
捜査を通じて確保されたホームカメラの映像4800本には、A氏が暴言を吐きながら実の子どもを「投げ」、「暴行を加える」場面がそのまま収められていた。
子どもが病院に搬送された昨年10月22日、A氏を子どもを洗った後、カメラのない場所へ連れて行き「あんたみたいなのは必要ない。死ね」「殺してやる」「お願いだから死んで」と叫んだ。また、鈍い物体で何かを強く叩く音が立て続けに聞こえた。
正午を過ぎた後、子どもの呼吸がおかしいことに気づいたA氏は、「あんたどうしたの。どうしよう」と言いながら、子どもを抱いて寝室に入ってきた。A氏はぐったりした状態の子どもに服を着せた後、狼狽した様子で家の中を行ったり来たりすることを繰り返した。これといった救急措置を取らなかったA氏は、27分が経過してからようやく119番に通報した。
119番で搬送された子どもの治療を担当した医師は、「(子どもの腹部を)開腹したとき、血がひどく溢れ出してきて非常に驚いた」とし、「お腹の中に500ccほどの血液が溜まっていた。赤ちゃんは小さいのに500ccほどあったということは、非常に多くの出血があったということだ」と説明した。外部からの力によって臓器が裂けるなどの衝撃が伴わない限り不可能な出血であるというのが医療陣の判断だった。
A氏は当時、119番に「子どもが水に溺れた」と通報した。子どもを浴槽に残して一時的にその場を離れ、後になって発見して通報したという主張だ。
だが検査の結果、子どもからは腹腔内出血だけでなく、脳出血、肋骨を含む23箇所の骨折も確認された。医療陣は子どもが虐待行為によって重体に陥ったと判断し、直ちに警察に通報した。子どもは病院で集中治療を受けたが、入院4日目にこの世を去った。
子どもの遺体を司法解剖した結果、死因は「多発性外傷による出血性ショックおよび多発性臓器不全」だった。法医学専門家は「(溺水)以前に反復的で強力な力が作用した外傷性損傷による死亡」と分析した。しかし、実母と実父は事件発生8日前に子どもがベッドから一人で這い出し、床に転落した事故で生じた傷だとし、虐待の容疑を認めなかった。
容疑を否認していた実母と実父の供述が覆ったのは、検察が自宅のホームカメラ映像から、実母であるA氏の常習的な身体的暴行の事実を明らかにした後からだ。
事件発生10日前のホームカメラ映像には、A氏が横になっている子どもの顔を踏んだり蹴ったりし、足首や腕だけを掴んで子どもを激しく揺さぶった末に投げ飛ばす様子や、枕で子どもの顔を覆う姿が克明に映っていた。
ホームカメラに映らない場所でも、鈍い音がした後、子どもの泣き声が続く状況が繰り返された。
A氏は子どもに向かって「ちゃんとしなよ」「幸せだったでしょ?また地獄だよ。なんで生まれてきたの、この××」などの暴言も繰り返し浴びせた。
決定的な物証を確保した検察は、児童虐待致死の容疑で送致されたA氏の容疑を児童虐待殺害に変更したうえで裁判にかけた。
A氏は、子どもを叩いた事実は認めているが、殺害の故意性は否認している。A氏は拘束起訴後、1審裁判部に継続的に反省文を提出している。
実父のB氏は、妻の児童虐待の事実をまったく知らなかったと供述していたが、ホームカメラ映像が発見されると「これが虐待だとは知らなかった。子どもを育てる過程で誰でもやりかねない行動だと思った」という主張をしたことがわかった。
また、B氏はA氏が虐待した状況を警察に供述した知人や救急救命士、事件を報じた報道機関などに脅迫電話をかけていたことが確認され、報復脅迫の容疑も追加された。加えて子どもが病院で生死の境を彷徨っているときに、B氏が性売買業者を訪問していた事実も明らかになった。
今年1月の公判で虐待映像を確認した光州地裁順天支部・刑事1部は「法廷にいらっしゃる方々全員が、今(ホームカメラ映像に記録された)の音を聞くだけでも相当に苦しい」とし、「(公訴事実など)文字で記載されたものより虐待が深刻なレベルだ」と嘆息した。
検察官は「親のうち一人でも被害者に対する基本的な保護をしていれば、子どもが死亡することはなかった」とし、「B氏の携帯電話を確認した結果、彼は子どもが死亡した当日も義母に嘘をついて性売買をしに行っていた。残された子どもの育児を理由とした保釈申請を受け入れてはならない」と強調した。
裁判部は、B氏が第一子の養育を理由に申請した保釈を棄却した。
裁判部は来る3月26日午後3時30分、彼らに対する論告求刑公判を行う。
(記事提供=時事ジャーナル)
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