韓国ソウルで発生した「江北(カンブク)モーテル連続殺人事件」の被疑者の身元が公開され、過去に同年代の女性を殺害した「チョン・ユジョン事件」との類似性が注目されている。
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専門家たちは、両被疑者ともに“女性としての物理的限界”を克服するために緻密な事前設計を経ており、特にターゲットの警戒心を完全に崩した後に犯行に及んだ点が「そっくり」だと口を揃える。
3月10日、法曹界によると、ソウル北部検察庁は前日の9日、情報公開審議委員会の審議を経て、被疑者キム・ソヨン氏(20歳、女)の身元情報をホームページに公開した。
キム・ソヨン氏は昨年12月から今年2月にかけて、ソウル江北区水踰洞(カンブクク・スユドン)一帯のモーテルで20代の男性3人に薬物を飲ませ、2人を殺害し、1人に怪我を負わせた疑い(殺人、特殊傷害、麻薬類管理法違反)を持たれている。
警察のサイコパス診断評価(PCL-R)の結果、キム・ソヨン氏は韓国国内の基準値である25点を大幅に超えていることが確認された。プロファイラーのペ・サンフン氏は「一般的な痴情や恨みではなく“異常動機”による犯行であることを意味する。自身の統制下で被害者が無力化される姿に快楽を感じる“ラストマーダー”の傾向が強く見える」と分析した。
キム・ソヨン氏の事件の全貌を覗くと、チョン・ユジョン事件との「平行理論」が明確だ。
キム・ソヨン氏は犯行前、2人目の死亡者A氏と交わした会話で「二日酔いがひどい方だ」「お酒は強い方か」など、繰り返し二日酔いの話題を投げかけた。これは犯行当日、薬物が入った二日酔い解消剤を自然に渡すための布石だった。国立科学捜査研究院の解剖の結果、A氏の死因もやはり「急性薬物中毒」と確認された。
実際、犯行当日、キム・ソヨン氏は自宅で予め準備したベンゾジアゼピン系薬物を二日酔い解消剤に混ぜ、A氏に渡した。普段から積み重ねた信頼が、被害者の目を曇らせる武器になったわけだ。
このような手法は、チョン・ユジョンが家庭教師の指導を受けようとする中学生のように被害者に接近し、心理的境界を崩した後に犯行に及んだ方式と軌を一にする。“信頼”を犯行の武器にしたのである。
キム・ソヨン氏の残虐性は、“犯行の合間の行動”でも際立つ。
キム・ソヨン氏は去る1月28日、最初の殺人を犯した直後に日本の京都へ旅行に出かけた。調査の結果、キム氏は海外滞在中も、次の被害者であるA氏と連絡を継続し、追加の犯行を準備していたことが明らかになった。
キム・ソヨン氏はA氏に「体調が悪くて仕事に行けなかった」と嘘をつき同情心を誘発する一方で、積極的に会うことを提案した。メッセージには「ソウルだったら遊びに行くのに」「美味しい店を知っているが配達(デリバリー)しかできない。部屋で飲みますか?」と、宿泊施設への入室を自然に誘導する内容が含まれていた。
一部のメッセージには「ローミング発信」の表示が出ていたが、一角ではキム・ソヨン氏が身元を隠すためにVPN(仮想プライベートネットワーク)を使用した可能性も提起された。一人を殺害した後、1カ月も経たないうちに海外から次のターゲットを物色し、管理していたことになる。
2人目の犯行直後のキム・ソヨン氏の行動はさらに特異だ。
キム・ソヨン氏は殺人を犯した当日の夜、被害者のカードでチキン店のメニュー22個(13万1800ウォン相当=約1万4000円)を、犯行現場であるモーテルの客室に注文した。4つの味のチキンとトッポギ、即席ご飯などを注文したキム氏は、配達された食べ物を平然と持って退室した。
ペ・サンフン氏は「サイコパス特有の“すべては自分のもの”という支配欲と所有欲の発現だ」とし、「被害者の持ち物やカードをあたかも戦利品のように扱い、自身の欲求を満たすことに躊躇がない姿だ」と説明した。また、キム・ソヨン氏は現場を離れた直後、被害者に「家に帰っている」というメッセージを送り、アリバイを捏造する緻密さも見せた。
キム・ソヨン氏とチョン・ユジョン事件のもう一つの共通点は、いわゆる「殺人練習」の疑惑だ。
チョン・ユジョンが犯行前に殺人関連のキーワードを集中的に検索し、失踪事件に偽装しようとしたように、キム・ソヨン氏もやはり最終的な犯行前、恋人や知人を相手に同様の手法を実験したという情況が明らかになった。
警察は、キム・ソヨン氏が昨年10月にも類似の行動で内偵調査を受けていた記録を確保した。
特に、キム・ソヨン氏がChatGPTに「薬物とお酒の同時複用の危険性」を繰り返し検索した履歴は、殺人の“未必の故意”を裏付ける核心的な情況として挙げられている。
犯行後に事件を「事故」などに偽装し容疑を否認することもまた、チョン・ユジョン事件との共通した特徴だ。
チョン・ユジョンも被害者が失踪したように見えるよう遺体を毀損した後、茂みに遺棄しようとした。当時、チョン・ユジョンは、深夜に血の付いたスーツケースを捨てるのを不審に思ったタクシー運転手の通報によって逮捕に至った。
被害者の代理人を務める法律事務所ビンセントのナム・オンホ弁護士は、本サイト提携メディア『時事ジャーナル』との通話で、「初動捜査でキム・ソヨン氏の過去の行動と危険性さえ適切に見抜いていれば、追加の被害を防ぐことができた」とし、捜査機関の対応に悔しさを表した。
ペ・サンフン氏もやはり、昨年10月25日の犯行直後にキム・ソヨン氏が自ら119番通報して「通報者」の身分を獲得し、捜査網を逃れるシステムの盲点を悪用したと指摘した。
もっとも、警察の立場としては、犯行を予測するのは難しかっただろうという反論も提起されている。
一般的に、殺人犯罪は他の強力犯罪に比べて再犯率が低いため、捜査機関が被疑者キム・ソヨン氏を早期に疑うことは容易ではなかっただろうという分析だ。
漢南(ハンナム)大学警察学科のパク・ミラン教授は、「殺人犯が短期間に連続的に再犯を犯す事例は稀だ」とし、「経験値に依存せざるを得ない捜査現場の特性上、ベテラン捜査官であっても初動捜査段階でキム・ソヨンの再犯可能性を予見するには現実的に苦労が伴っただろう」と説明した。
ただし、パク教授は「容疑者を特定する過程で、被疑者が周辺人物と接触しようとした情況や携帯電話の検索記録など、利用可能な情報に対する先制的ならびに徹底した確保の努力が並行されるべきだった」と提言した。
(記事提供=時事ジャーナル)
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