韓国で早産の危機に瀕した外国人妊婦が受け入れ先を見つけられず、“たらい回し”の末に双子のうち一人の命を失うという悲劇的な事件が発生した。
生き残ったもう一人も深刻な脳損傷を負っており、地域の最低限の医療体制の脆さが物議を醸している。
4月7日、韓国南東部の大邱(テグ)広域市や大邱消防安全本部などによると、去る2月28日、大邱を訪れていたアメリカ国籍の妊娠28週目の女性A氏が腹痛と早産の兆候を訴えた。
夫のB氏は当日午後10時16分ごろ、近隣の産婦人科に診察が可能か問い合わせたが、病院側は「受診歴がないため、大学病院へ行くべきだ」と回答した。
翌日の午前1時39分ごろ、A氏の痛みが悪化したためB氏は119番通報して助けを求めた。救急車は10分で現場に到着し、大邱市内の医療機関7カ所に受け入れを打診した。しかし、各病院は「産婦人科の専門医が不在」「新生児用の病床が不足」などを理由に受け入れを拒否。夫婦は救急車の中で約1時間の待機を余儀なくされた。
結局、夫B氏は自ら車を運転し、普段から診察を受けていた京畿道城南市(キョンギド・ソンナムシ)の盆唐(プンダン)ソウル大学病院へと向かった。移動中、B氏とその母親は119番や他地域の消防本部に連絡を取り、受け入れ可能な病院を必死に探し回った。
夫婦は午前3時20分ごろ、慶尚北道亀尾市(キョンサンブクト・クミシ)の善山(ソンサン)インターチェンジ付近で119番の救急隊と合流したが、患者の状態の引き継ぎや搬送ルートの調整過程で混乱が生じた。
その後、救急隊と離れて移動していたB氏は、午前4時42分ごろに忠清北道陰城郡(チュンチョンブクト・ウムソングン)の甘谷(カムゴク)インターチェンジ付近で管轄の救急隊と再び合流し、午前5時35分ごろにようやく盆唐ソウル大学病院に到着した。
大邱で最初に通報してから約4時間が経過しており、当時のAさんは破水し、血圧も低下している危険な状態だった。
医療陣による緊急の帝王切開手術で母親は一命を取り留めた。だが、双子のうち一人は重度の低酸素症により出生直後に死亡した。生き残ったもう一人も脳に損傷を負い、現在は集中治療を受けている。
大邱では2023年にも、10代の患者が病院を見つけられずに死亡する“たらい回し”事案が発生している。
同事案をきっかけに、大邱市は119救急状況管理センターが患者の重症度に合わせて搬送先を直接割り当てる「責任型救急医療体系」を導入した。ただ、今回再び搬送トラブルが発生したことで、システムの有効性に対する批判が強まっている。
保健当局の関係者は今回の事態に関連し、「現行の救急医療システムにおける改善点を探り、再発防止のために最善を尽くす」と述べている。
(記事提供=時事ジャーナル)
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