大統領がサイト閉鎖指示を明言も…「韓国版2ちゃんねる発」の嫌悪表現に染まる隣国社会の闇

2026年07月07日 社会 #時事ジャーナル
このエントリーをはてなブックマークに追加

韓国で今年5月、慶尚北道金海市(キョンサンブクト・キメシ)のポンハ村に設置された故・廬武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の銅像の横で、廬元大統領を侮辱するような手振りをした男の写真がインターネット上で拡散された。

【関連】韓国で「親日財産帰属法」制定案が公布、年内にも公布へ

その後、李在明(イ・ジェミョン)現大統領が“韓国版2ちゃんねる”と呼ばれる極右傾向のオンラインコミュニティ「日刊ベスト貯蔵所(イルベ)」に対する閉鎖指示を行ったが、論争は現在も収まっていない。

スターバックスコリアによる歴史侮辱騒動の余波で、培材(ペジェ)高校野球部の事態や光州(クァンジュ)の「5月の道」での軍靴論争が持ち上がってから間もないうちに、慶尚南道巨済市(キョンサンナムド・コジェシ)出身でK-POPガールズグループRESCENE(リセンヌ)のメンバーであるウォニの「ムソンノ(怖いノ)」発言を巡り、再び「嫌悪」論争が起きている。

5月の道
「5月の道」の標識にかけられた軍靴(写真=5.18記念財団)

7月6日、韓国の政治圏によると、釜山(プサン)出身で「祖国革新党」前代表のチョ・グク氏は前日に自身のSNSを通じて「私の観察では、イルベは標準語の後ろに機械的に“ノ”を付けて使用している」とし、慶尚道の方言とイルベユーザーの「ノ」の使い方を区別すべきという趣旨の主張を展開した。

チョ・グク氏は「廬武鉉元大統領を嘲笑する目的で、イルベが文末に“ノ”を付けて使用していることを擁護し、釜山や嶺南(ヨンナム)地方でもそのように使っている人がいる」とし、「これに対する反論として、以下の釜山の人の見分け方を参照してほしい」としてソウルの人とイルベユーザー、釜山の人を区別し、イルベユーザーだけがすべての疑問形に「ノ」を付けるという内容の説明文まで掲載した。

こうしたチョ・グク氏前代表の発言は、ウォニが個人YouTubeチャンネルのコンテンツで「ムソンノ」と発言した後に浮上した「イルベ論争」を狙ったものとみられる。

先月28日、YouTubeチャンネル「アンニョンハセヨウォニですよろしくお願いします」(原題)に投稿された日本人メンバー・ミナミの実家を訪問する動画で、撮影中だったディレクターが不気味な雰囲気を演出した後、ウォニにまず「どうしたムソンノ」と問いかけた。ウォニはディレクターの言葉をそのまま真似して「ムソンノ。照明からして怖いんだけど」と答えた。

その後、YouTubeのコメント欄やオンラインコミュニティなどでは、この表現が「イルベ式の嫌悪表現だ」という批判と、「慶尚道の方言にすぎない」という主張が真っ向から対立した。

チョ・グク氏の主張をめぐって、他陣営からは反発の声が上がった。「改革新党」のイ・ジュンソク代表は同日、国会で開かれた最高委員会で「当該の芸能人は、チョ前代表が決めつけるような意図で語尾に“ノ”を付けたわけではないだろう」とし、「故郷の地域色をそのまま表しながら、新しい形のコンテンツで急速に成長した前途有望な芸能人が、チョ前代表の非常識な非難によって、自発的または他意によって固有の色彩を失ってしまわないか懸念される」と述べた。

さらにイ代表は「廬元統領の聖域化」にも言及した。同氏は「もう、汎与党による廬元大統領の聖域化や感情の強要についても見つめ直すべき時だと思う」とし、「誰かが万が一、廬元大統領をあざける意図でミームとして消費したとしても、それが品格のある行動ではないにせよ、それを理由に一つの世代を一括りにして非難したり、イルベ扱いしたりするのをやめるべき時が来たようだ。これからは廬元大統領が聖域ではなく、他のいち元大統領のように思い出される存在になってほしい」と強調した。

スタバ炎上騒動を機に噴出した「イルベ式嫌悪」論争

チョ・グク氏が持ち出した「ノ」の使用や廬元大統領への侮辱論争は、2010年に「イルベ」が設立されてから現在まで続いてきたものであり、今に始まったことではない。

ただ、今年5月以降に大きな論争が相次いだことで、政治的・社会的な溝が深まる様相を呈している。

これに先立ち、スターバックスコリアが5.18民主化運動の46周年当日だった今年5月18日、タンブラーの宣伝投稿に「タンクデー」「机にドンて!」という文言を使用していたことがわかり、関連する論争が引き起こされた。この文言は、イルベで使用されていた5.18民主化運動を侮辱する表現から着想を得たものだという解釈が支配的だ。

この表現を先月、培材高校の野球部の一部選手が、光州第一高校の野球部の選手に向けて使用したことで持ち上がった論争は、現在も進行形である。

また先月には、5.18民主化運動の史跡を案内する全南光州(チョンナム・クァンジュ)統合特別市東区大仁洞(トング・テインドン)の「5月の道」の標識に、戒厳軍を連想させる軍靴が掛けられたまま1カ月間放置されていた事実が判明し、衝撃を与えた。

特に、廬元大統領の没後17周期だった今年5月23日には、慶尚南道のポンハ村で行われた追悼式で、ある男が廬元大統領の銅像のベンチでイルベのサインとみられる手つきをしながら微笑んでいる写真がネット上に拡散することもあった。

ポンハ村
廬武鉉元大統領の銅像の隣でイルベサインとみられるポーズをする男(写真=チョ・スジン弁護士SNS)

この写真が拡散した翌日、李在明大統領はSNSで「イルベ閉鎖」に言及し、強硬な立場を即座に表明した。

李大統領は「厳格な条件のもとで、侮辱・嫌悪表現に対する処罰や懲罰的損害補償、イルベのように侮辱・嫌悪を放置・助長するサイトの閉鎖、懲罰的賠償、過徴金などの必要な措置を許容することへの公論化と実際の検討が必要だ」とし、「閣議でも指示する」と書き込んだ。

その後、「共に民主党」のイ・フンギ議員らが「イルベ禁止法」を発議した。侮辱や嫌悪表現を刑事処罰の対象に含める一方、該当するコンテンツを故意に繰り返し掲載したサイトに対しては閉鎖命令を下せるようにしたのが骨子だ。

ただ、特定の嘲笑・嫌悪表現を「違法情報」と規定し、現行の法体系内でサイト閉鎖を行える方法を用意したという評価もある一方、イルベの刑事処罰やサイト閉鎖が本質的な解決策ではないという意見も出ている。

建国(コングク)大学法学専門大学院のハン・サンヒ教授は「イルベによる侮辱は、大人として諭すべき問題であり、国家の刃で切り落とすべき問題ではない」とし、「処罰の物差しを当てた瞬間、イルベが犠牲者や被害者になってしまう状況が発生する。特定の行動は社会秩序に反し、非難されるべきだという社会的合意の形成と基準の提示が必要だ」と提言した。

(記事提供=時事ジャーナル)

「残酷で胸が痛い。日本人を嫌いになりそう」日本の元AV女優、韓国で話題

高市首相、韓国で人気?日米中露トップ好感度調査で1位

韓国で「親日財産帰属法」制定案が公布、12月施行へ

前へ

1 / 1

次へ

RELATION関連記事

デイリーランキングRANKING

世論調査Public Opinion

注目リサーチFeatured Research