飛行機内で韓国有名人をめぐるトラブルが起きた。これを聞いて、“ある事件”を思い出したもいるのではないだろうか。
【写真】タクシーで、空港で…繰り返される韓国有名人の「日本での“公共マナー違反”」
2014年に発生した「ナッツリターン事件」である。
最近、韓国人タレントのパク・スホンが子どもの泣き声を理由に一度は機内から出ようとしたものの、その後撤回して再搭乗を希望。結果として出発が約1時間遅れたことで非難を浴び、本人が謝罪する事態となった。
この一件とスケールも性質もまったく異なるが、それでも「飛行機」「韓国有名人」「乗客への迷惑」といったキーワードが揃うと、どうしても「ナッツリターン事件」が頭をよぎる。
そうなると、その渦中の人物であり、日本で「ナッツ姫」と呼ばれた元大韓航空副社長のチョ・ヒョナ氏の現状も気になる。
騒動から10年以上が経過した今、あの「ナッツ姫」はどのように過ごしているのだろうか。
事件が起きたのは2014年12月である。
当時、大韓航空の副社長であったチョ・ヒョナ氏は、米ニューヨーク発・韓国仁川(インチョン)行きの大韓航空機ファーストクラスに乗っていた。
その際、マカダミアナッツが皿に移されず袋のまま出されたことなどを問題視し、客室乗務員らの対応に激怒。滑走路へ向けて動き出していた機体を搭乗口へ引き返させ、責任者であるチーフパーサーを降機させた。
“ナッツの出し方”をきっかけに、機体を搭乗口へ引き返させるという異例の事態。これが、いわゆる「ナッツリターン事件」である。
財閥オーナー一族による理不尽な振る舞いとして韓国社会で猛烈な批判を浴び、日本でもワイドショーやニュース番組で連日のように報じられた。
その後、チョ氏は大韓航空副社長をはじめとするグループ内のあらゆる役職を辞任した。
刑事裁判においては、1審で懲役1年の実刑判決を受けたものの、控訴審では航空機の「航路変更」には当たらないと判断され、懲役10カ月、執行猶予2年へと減刑された。その判決は2017年に確定している。
事件によってすべてのポストを去ったチョ氏だが、その後、一度は経営の前線へと復帰している。
2018年3月、グループ系列会社であるKALホテルネットワークの社長として返り咲いたのだ。
しかし、そのわずか約半月後、妹チョ・ヒョンミン氏をめぐる別の騒動をきっかけにオーナー一族へのバッシングが再燃。チョ氏は再びすべての役職を退く羽目となった。
さらに2019年、父で韓進グループ会長だったチョ・ヤンホ氏が他界すると、今度はグループの経営権を巡って弟のチョ・ウォンテ氏と対立。投資会社などと組んで経営権争いに臨んだものの敗北し、その後は兄弟との連絡も途絶え、表立った活動をほとんど行わなくなったと報じられている。
かつて巨大航空会社の副社長として世間の注目の的だった「ナッツ姫」は、次第に表舞台から姿を消していった。
そして、彼女をめぐる環境の中で大きく変化したものがもう一つ存在する。名前である。
チョ氏は2023年、家庭裁判所に改名を申請し、「チョ・ヒョナ」から「チョ・スンヨン」へと改名した。
日本国内では今なお「ナッツ姫」や「チョ・ヒョナ」として覚えている人が多いだろうが、現在の名前は「チョ・スンヨン」である。事件から約9年が経過しての改名であった。
無論、改名の理由が「ナッツリターン事件」と関係しているのかどうかは明らかになっていない。
ただ、世間に強く刻み込まれた名前が現在は別のものになっているという事実には、時代の移り変わりを感じざるを得ない。
私生活においても大きな変化が存在した。
チョ氏は2010年に美容整形外科医の男性と結婚し、双子の子供を授かった。しかし、2018年に夫から離婚訴訟を起こされる。
互いに結婚生活における問題を主張し合う中、2022年11月、裁判所は離婚を認め、チョ氏に対して元夫へ13億3000万ウォン(約1億5300万円)の財産分与を支払うよう言い渡した。双方が控訴しなかったため、判決は確定している。
さらに近年に至っては、ソウル・江南(カンナム)区に所有する高級マンションに関するトラブルまで報じられる事態となった。
2025年には国税滞納に伴う差し押さえや強制競売手続きが報じられ、2026年1月にはソウル保証保険が約90億3300万ウォン(約10億3700万円)を求め、自宅に新たな仮差し押さえ決定が出されたと伝えられた。
前年に設定された分と合算すると、ソウル保証保険への請求額は135億ウォン(約15億5000万円)を超えるという。
この背景には、父からの相続に関する税負担などが存在すると見られている。
2014年の「ナッツリターン事件」から、すでに10年以上の年月が経過した。その間、チョ氏は経営から退き、お家騒動に敗れ、離婚し、名前すら変えた。現在は目立った対外活動もほとんど伝えられていない。
それでも、今回のパク・スホンのように、航空機内で起きた韓国有名人のトラブルを聞くだけで、あの事件を思い起こしてしまう。
それだけ「ナッツリターン事件」が残した爪痕は、今なお色濃く残っているのかもしれない。
(記事提供=スポーツソウル日本版)
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