《専門家が見たチャウヌ脱税疑惑》なぜ芸能人は節税目的で法人を設立するのか

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俳優で歌手のチャウヌ氏の脱税疑惑をめぐる反応の多くは、「数百億ウォンを稼ぐ芸能人が、わずかな税金を惜しんでまで“便法”を使ったのか」という批判が占めている。

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もちろん、脱税調査は厳格に行われるべきだ。ただここで、少し別の角度から問いを投げかけてみたい。

なぜ有名芸能人は、こぞって法人を設立しようとするのだろうか。

芸能人の所得は不規則だ。稼げるときは1年で数十億ウォンを稼ぐが、仕事が途切れれば所得がゼロになることもある。

ある芸能人が初年度に20億ウォン(約2億1364万円/課税標準基準)を稼ぎ、その後29年間は所得がゼロだったと仮定してみよう。29年間は無名生活を送り、30年目に20億ウォンを稼いだとも言える。

この2つのケースはいずれも、「20億ウォンに対する所得税」として、約8億3500万ウォン(約8919万円)を納めなければならない。

ところが、30年間で毎年6700万ウォン(約715万円)ずつ均等に所得を得て、合計20億ウォンを稼いだサラリーマンであればどうか。この場合、30年間の税金はすべて合計しても約3億ウォン(約3204万円)にとどまる。

差は税金だけではない。その税金を仮に後回しにして運用できたとすれば、年4%で30年間計算すると、利子所得の差は20億ウォンにもなる。チャウヌ氏のようなトップクラスの芸能人であれば、この差はさらに大きくなる。

チャウヌ
チャウヌ(写真提供=OSEN)

このため、高所得の芸能人やフリーランスは法人を設立し、その法人の売上として所得を処理し、法人税を納める。まず所得を法人に留保し、後に所得が減ったり途絶えたりしたときに、その法人に蓄えた資金を給与のように引き出して使うという仕組みだ。

もちろん、その際にも給与に応じた所得税を改めて納めることになる。脱税ではなく、むしろ法人税と所得税の双方を納める二重課税になるが、一度に多額の税金を納めるよりは負担が軽くなる。

一部では、車両費やマネージャーの人件費などを経費計上するために法人を設立するのだという説明もある。

しかし、法人を設立せず個人事業主として申告しても、車両運営費やマネージャーの人件費は同様に経費処理が可能だ。つまり、高所得のフリーランスが法人を設立する理由は、「課税所得の平準化による節税」にある。

果たして、これを芸能人だけの問題として非難すべきなのだろうか。

会社員が年末調整で税額を調整するように、芸能人の所得税も3年、5年、あるいは10年ごとに平均所得で再計算して精算する制度があれば、わざわざ法人を設立して所得を平準化しようとする必要はなくなる。

カナダやフランス、ドイツでは、所得が不規則な農民に対してこうした課税方式を採用している。オーストラリアでは、芸術家やスポーツ選手にも「所得平準化(income averaging)」制度を設けている。

もっとも、この制度が芸能人に常に有利というわけではない。

ある芸能人が初年度に10億ウォン(約1億679万円)を稼ぎ、翌年の課税標準がゼロだったとしよう。この場合、2年間の税額は2億8460万ウォン(約3039万円)となる。

一方、初年度も翌年も5億ウォン(約5339万円)ずつ稼いだサラリーマンは、毎年1億7880万ウォン(約1909万円)、2年間で3億5760万ウォン(約3818万円)を納めることになる。

このケースでは、芸能人のほうが税負担は軽い。だが所得平準化を選択していれば、むしろ追加で税金を納めることになる可能性もあり、必ずしも税収が減るとは限らない。

所得が極めて不規則な特定の職業群に対して、現行のように毎年の所得に応じてその都度課税するのか、それとも生涯所得を合算し、実際に所得活動を行った期間で割って税額を精算するのか。どちらがより合理的なのかを考える必要がある。

「稼いだ分だけ税金を納めるべきだ」という前提に立つのであれば、課税の過程で職業や所得の不規則性によって税負担が左右される要因は、可能な限り減らすべきではないだろうか。我々の社会が一度、立ち止まって考えてみるべき問題である。

●MBCラジオ番組『手に取る経済』イ・ジヌキャスター

(記事提供=時事ジャーナル)

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