裁判所前にはためいた星条旗、「戒厳は合法」と叫ぶ支持者 尹前大統領“無期懲役”の瞬間、韓国では

2026年02月20日 政治 #時事ジャーナル
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「戒厳令は合法ではありませんか。記者さんも一度言ってみてください。これが罪になるんですか?」

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60代の男性は、現場を取材していた本サイト提携メディア『時事ジャーナル』記者に乱暴に近づいてそう問いかけた。2026年2月19日、ソウル瑞草区瑞草洞(ソチョグ・ソチョドン)の法曹タウンは、早朝から星条旗(アメリカ国旗)と太極旗(韓国国旗)を手にした市民でいっぱいだった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱首謀容疑に対する1審判決日に合わせ、彼を擁護する支持者たちが大挙して集結したためだ。

午前から裁判所前を占拠した彼らは、おおむね60~70代の中高年層だった。男性の割合がやや高かったが、女性支持者も少なくない比重を占めていた。通りのあちこちでは星条旗と太極旗を販売する商人たちが書き入れ時を迎えたかのように忙しく動き回り、一方では支持者同士が寒さをしのごうとユルム茶を紙コップに注いで分け合う光景も目撃された。

尹前大統領支持者
法曹タウンに集結した尹前大統領支持者たち(写真=時事ジャーナル)

支持者たちが掲げたプラカードには「正当な戒厳令」「無罪 尹錫悦」という文句が鮮明に刻まれていた。特に「自由な道団」名義のポスターと「12.3 ねつ造された内乱、隠された真実」という題名の映画ポスターも各所に貼られていた。支持者の合間ではブブゼラを吹く若者たちや、太鼓を叩きながら「ユン・アゲイン」と叫ぶ一団が騒ぎを大きくし、現場の緊張感を高めていた。

進歩系ユーチューバーたちも現場に現れたが、保守系ユーチューバーに比べ数的には劣勢だった。保守系ユーチューバーたちは互いに挨拶をかわし、嬉しそうな様子を見せることもあった。そんななか、壇上に上がったある若い支持者が「李在明(イ・ジェミョン)を拘束しよう」「尹錫悦大統領は罪がない」と呼びかけると、たちまち現場は決然たる戦場へと変貌した。

保守系団体「オンマ部隊」のチュ・オクスン代表が、裁判所東門前で支持者を相手に短い演説をする姿も捉えられた。しかし、支持者たちの声が激昂するほど、近隣商圏の苦悩は深まった。瑞草駅と教大(キョデ)駅周辺の商人たちは「うるさくて商売にならない」と訴え、通りを歩いていた市民たちは「威圧感を感じる」「事故が起きそうで怖い」と足早に通り過ぎた。

警察は万一の事態に備え、ソウル中央地裁正門の出入口を全面封鎖し、東門からのみ出入りを許可した。「騒音を下げてください。市民の苦痛が極めて深刻です」という文句が書かれたデジタル電光掲示板を警察車両に取り付けたが、すでに怒りに満ちた支持者たちには何の効果もなかった。

チ・グィヨン裁判長「被告人・尹錫悦、入廷してください」

裁判所東門入口は厳重な雰囲気が歴然としていた。東門で1回目の所持品検査を終えた後、法廷出入口で2回目の精密検査が続いた。入廷直前には警護員数十人が壁のように並び、傍聴客と報道陣の身元を一人ひとり照合した。外の騒然とは対照的に、法廷内には針一本落ちる音も聞こえそうな静寂が流れた。

先に席に着いた尹前大統領の弁護団は、粛然とした表情で低いささやき声を交わしながら戦略を点検した。一方、向かい側の特検側検事たちは比較的泰然とした表情で記録を確認しつつ判決を待った。午後3時ちょうど、チ・グィヨン裁判長が入廷した。彼は短い沈黙の末、「ソウル中央地裁・刑事25部判決宣告を行う」と宣言した。

チ裁判長はチャン・ウソン特検補を含む特検側検事の名前を一人ずつ呼名した。弁護団についても「座っておられる方々は後ほど出席として記録する」と落ち着いた口調で公判を進めた。続いて「被告人尹錫悦を入廷させなさい」という命令が下された。スーツ姿で現れた尹前大統領は淡々とした表情を保ったまま弁護人たちと短くあいさつを交わし、被告人席に座った。

尹前大統領
尹前大統領(写真=ソウル中央地裁)

ぼんやり天井だけ見つめた尹…「ユン・アゲイン」傍聴席には笑み

尹前大統領はチ裁判長が主文を読み上げる間、固い表情でほとんど動かず正面を見つめていた。反対に傍聴席にいた一部支持者が「大統領、頑張ってください」「ユン・アゲイン」など応援の声を上げると、薄い笑みを浮かべることもあった。隣に座ったユン・ガプグン弁護士と短い会話を交わした後、笑みを見せる場面が中継映像に映ることもあった。

しかし判決が長引くと、終盤には焦点を失ったままぼんやり裁判部を見つめ始めた。判決公判開始から約1時間が過ぎた頃、主要容疑が次々と有罪と判断されると、尹前大統領の表情は急激に硬くなった。ついにチ部長判事が「被告人尹錫悦に無期懲役を宣告する」と主文を読み上げると、場内から低い嘆息が漏れた。ともに起訴された共犯たちに対しても実刑と保釈取消決定が相次いだ。尹前大統領は呆然とした表情で裁判部を見つめた。

裁判が終わるやいなや、法廷内は支持者たちの「尹錫悦大統領、頑張ってください」という連呼と「チ・グィヨン、見ているぞ」という憤りが入り混じった。法廷外の廊下でも一部支持者が「非常戒厳がなぜ問題なのか」「李在明を拘束すべきだ」と叫びながら号泣し、警護員に「あなたたちも国民ではないのか」と荒々しく抗議するなど騒動が起きた。

尹前大統領支持者
ソウル中央地裁前に集結した尹前大統領支持者(写真=時事ジャーナル)

裁判所東門の外は警察機動隊が幾重にも取り囲み、厳重な警備を維持した。それでも「尹錫悦無罪」「戒厳合法」と叫ぶ声は止まなかった。しばらくして尹前大統領が乗った護送車が裁判所の門を出ると、支持者たちは一斉に車に向かって手を伸ばし「大統領、頑張ってください」と連呼した。

氷点下2度の冷たい風の中でも、彼らは涙をぬぐいながら車が視界から完全に消えるまでその場を離れなかった。

(記事提供=時事ジャーナル)

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