第221特別国会で第105代内閣総理大臣に選出された高市早苗首相は、第1次内閣の閣僚全員を留任させる形で第2次内閣を発足させた。2月8日の衆議院選挙で自民党が圧勝したことで、高市内閣に対する国民の信任を得たと判断したためだ。
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これを受け、高市首相は2月20日の施政方針演説で「日本列島を強く豊かにする」と述べ、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、人材力など総合的な側面から国力を強化していくと発表した。
また「責任ある積極財政」が日本の国力強化の核心になるとし、大規模な財政支出を通じて成長動力を確保すると述べた。
外交・安全保障分野では「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』を展開する」とし、ルールに基づく自由貿易体制の維持・拡大に貢献し、自由、民主主義、人権、法の支配といった価値を共有する国家との協力を強化すると強調した。
さらには「我が国にとって望ましい安全保障環境を自ら創出する」ため、同盟国および同志国との協力を強化することで防衛力の「抜本的強化」を補完していくと力説した。
高市首相は今回の施政方針演説で、食料品の消費税率を2年間0%に引き下げる「消費税ゼロ」公約の実現に向け、超党派の「国民会議」を開催する意欲も示した。
賃金上昇率が物価上昇率に追いつかず実質賃金が減少している状況で、食料品の消費税引き下げによって実質所得のマイナス幅を縮小する狙いだ。
しかし、消費税ゼロ公約については、専門家だけでなく国民の間でも慎重なアプローチが必要だとの声が高まっている。
まず『毎日新聞』が2月21~22日に実施した世論調査では、消費税ゼロ公約について回答者の47%が「確実な財源を確保していない状況で減税を行うべきではない」と答えた。また国際通貨基金(IMF)も日本政府の財政健全性悪化を懸念し、「財政リスクを高めかねない消費税削減は避けるべきだ」との見解を示した。
高齢化によって医療費や介護費など社会保障費が増加し、国債利払い負担も拡大している状況であるため、日本政府は減税措置に慎重であるべきだという指摘だ。
超党派「国民会議」の構成については、野党からも懸念の声が上がっている。
まず参政党の神谷宗幣代表は、消費税減税に反対する政党を「排除」する形で国民会議が構成されることに懸念を示している。参政党が「消費税廃止」を主張しているという理由で、自民党側が参政党を国民会議から排除しようとしているというのだ。
これに対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は「(消費税減税に)慎重な人々も含めてきちんと合意を形成していくことが、議論を行ううえで正しいことだと思う。国民会議という以上、できるだけ幅広い参加を集めたほうがより良い案を作るのに役立つ」と指摘した。
一方、自民党の小林鷹之政調会長は「特定の政党を『排除』しようという意図は全くない」と述べ、鈴木俊一幹事長も消費税廃止を主張している参政党が2年間の暫定的な消費税減税に賛成するのであれば国民会議に参加してもよいとの立場を示した。
中道改革連合の小川淳也代表は「野党を議論に引き込もうとしているのは誠実さなのか策略なのか。もし(消費税減税を)実施しないことになった場合、『野党がどうこう言ったからだ』という言い訳をするのは困る」と述べた。
2月24~25日の2日間、国会で行われた代表質問でも消費税ゼロ公約に関する質疑が続いた。
まず24日には、消費税ゼロ公約の履行意思を質問した中道改革連合の小川代表に対し、高市首相は「野党の協力が得られるなら夏までに中間報告書を提出し、必要な税制改正関連法案を国会に提出する考えだ」と答え、消費税減税への意欲を示した。
25日の代表質問でも、超党派の国民会議を開き2年間の暫定措置として消費税ゼロを議論するとした高市首相に対し、国民民主党の玉木代表が「国民会議で意見がまとまらなければ、野党の反対を理由に食料品消費税ゼロを取りやめるのか」と質問した。
これに対し高市首相は「国民会議での議論を通じて具体的な実施時期も含め結論を得ようとしている段階」であり、「現時点で結論を先に出すことはない」と主張した。日本政府は2月26日、自民・維新連合と中道改革連合、国民民主党、新興政党「チームみらい」が参加する形で国民会議の初会合を進めた。
外食業界では、消費税ゼロ政策に反対する声も上がっている。
日本フードサービス協会の久志本京子会長は2月25日に記者会見を開き、外食業界には標準税率10%の消費税が維持される一方、現在8%の軽減税率が適用されている食料品の消費税が0%に引き下げられれば、スーパーやコンビニで弁当や総菜を買って食べる人は増える一方、飲食店を訪れる客は減少し、飲食店経営に重大な影響を与えると懸念を示した。また食料品の消費税を引き下げる場合、外食の消費税も減税対象にすべきだと主張した。
消費税ゼロの実施時期と税収補填のための財源確保をめぐる議論も続いている。
高市首相は2月の衆議院選挙を前に、2026年度中に消費税ゼロを実施することを目標にすると発言していた。しかし、2月20日の施政方針演説では「税制改正関連法案の早期提出を目指す」と述べ、具体的な政策実施時期については言及を避けた。
これについて野村総合研究所のエコノミスト木内登英氏は、過去に日本で消費税率が引き上げられた際、関連法成立から実際の税率変更まで約1年半かかった点を考慮すると、早くても2027年夏から実施可能だろうと分析した。
日本の各種メディアも、消費税ゼロの導入時期は早くても2027年春になるとの見方を示している。税収補填のための財源確保をめぐっては、食料品の消費税を2年間0%にした後、消費税率を12%に引き上げるのではないかという懸念の声も出ている。これに対し、高市首相は消費税引き上げを検討している事実はないとし、増税の可能性を否定した。
「税率を上げずに税収を増やす」としながらも、消費税削減を主張する高市首相の公約について、専門家は乗り越えるべき課題が多いと指摘している。
(記事提供=時事ジャーナル)
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