防諜・保安・安保を分ける韓国と、“日本版CIA”発足が間近に迫る日本《韓国経済誌の視点》

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韓国と日本は同じような時期に情報機関の改革に乗り出しているが、その「出発点」と「対象」は異なる。

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韓国国防部は2024年12月3日に発生した非常戒厳騒動に関与した国軍防諜司令部を解体し、防諜・保安・安全保障の捜査機能を分散させる改革案を6月に発表した。「軍情報機関の政治介入」を繰り返さないという趣旨だ。

一方の日本は5月、情報収集・分析の調整機能を強化する国家情報会議設置法を成立させ、7月下旬に初の会議を開く方向で調整中だ。

ただ、法律で確定したのは情報機関同士の調整・分析の司令塔を作る組織改革である。安全保障目的の通信傍受や包括的なスパイ罪の新設は、まだ法案が公開されていない検討課題だ。

国家情報会議設置法は、首相が議長を務める国家情報会議と、その事務局である国家情報局を置く内容だ。

内閣情報調査室をベースに国家情報局を設置し、警察庁・外務省・防衛省・公安調査庁などに分散していた情報を集約・分析し、安全保障と治安、外国勢力による情報活動への対応に関する基本方針を議論するようにした。日本政府はこれを「インテリジェンス機能強化に向けた改革の第一歩」と位置付ける。

サイバー攻撃や技術流出、偽情報と影響工作が複雑に絡み合う状況のなか、省庁間の縦割りを解消するという論理だ。「日本版CIA(中央情報局)」の発足が秒読み段階に入った格好だ。

日本、複合的危機の中で情報当局間の縦割りを打破

今回の法律自体は、通信傍受やスパイ罪を新設するものではない。次の段階の下絵は、与党の自民党から出ている。

スパイ防止法は高市早苗首相が就任前の2025年5月、党調査会の会長として制定の必要性を公に主張してきた議題で、自民党は同年11月に党内にインテリジェンス戦略本部を置き、司令塔の強化、対外情報収集能力の拡充、外国からの干渉防止を軸に議論してきた。

3月には組織改革の提言を首相に提出し、7月3日に提示した論点整理案には国家安全保障のための「行政傍受」、スパイ行為の処罰、外国政府などのためにロビー活動を行う主体の登録義務化が含まれる可能性があるとの報道が出た。

ただ、これは党としての提言段階であり、政府法案ではない。

日本政府は国家情報会議の発足後、有識者会議を立ち上げて関連法制を検討し、2027年の通常国会への提出を目指している。

現行の通信傍受法は、裁判官が発付した傍受令状に基づき、特定の犯罪捜査のためだけに通信内容の傍受を認めている。安全保障目的の傍受を別に導入するには、対象・要件・手続きを新たに定めなければならない。

高市早苗首相
高市早苗首相(写真提供=AP/アフロ)

日本は2025年、能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス)関連法制において、サイバー攻撃の検知などのための追跡用通信情報の取得・利用制度を初めて導入したが、対象がIPアドレスなどの機械的情報に限られており、一般的な通信内容の傍受とは区別される。

「外国の通信」の範囲や、国内の通信が混ざっている場合の統制、裁判所の事前許可や独立した監督機関の設置が今後の争点だ。

したがって「スパイ防止法」という言葉一つで、異なる制度を一括りに扱うのは正確ではない。

外国代理人登録制は外国政府や団体のために活動する主体の公開・届出義務を、スパイ罪は特定行為の刑事罰を、行政傍受は国家機関の情報収集権限を扱う。必要な立法根拠や基本権侵害のリスク、統制のあり方もそれぞれ異なる。

日本にスパイ関連の処罰規定が全くないわけではない。特定秘密保護法や自衛隊法、不正競争防止法などは、国家機密の漏洩や営業秘密の不正取得を処罰している。

ただ、外国のために活動するスパイ行為を包括的に取り締まる単一の法律はない。“推進派”はこの隙があるため、情報収集段階の行為や外国による影響工作を摘発しにくいとみている。

中国が2014年に制定し、2023年に改正した「反スパイ法」も警戒感を強めた背景にある。日本の外務省は、2014年以降に日本人17人が国家安全に関わる容疑で拘束され、5人が今も拘束されたままだと明らかにしている。ただし、これだけで新しい法制の必要性が自動的に立証されるわけではない。

政界の構図は単純な与野党の対立よりも複雑だ。

自民党と日本維新の会の連立合意にはインテリジェンス・スパイ防止関連の法整備が含まれており、国民民主党と参政党は関連法案を自ら提出した。

2026年5月の参議院採決でも、これらの政党や公明党などが賛成し、プライバシー保護の枠組みを盛り込んだ修正案が否決された立憲民主党は、共産党・れいわ新選組・社民党などと共に反対した。

採決前の討論で立憲民主党が「民主的統制というブレーキなしに権限を強化するものだ」と反対すると、国民民主党は「インテリジェンス機能を根本的に引き上げるための重要な第一歩だ」と反論した。

個人情報保護や政治的中立性、国会による監視を求める附帯決議も付された。傍受や処罰へと論点が移ればこの構図が続く可能性があるが、制度の具体的な内容によっては賛成派の内部でも立場が分かれる可能性がある。

「情報能力」と「民主的統制」の両立がカギ

新しい法制の必要性を裏付ける「立法事実」も議論の的だ。

日本政府は2025年8月の国会答弁書で、情報機関の活動に対応する能力の強化は重要だとしながらも、日本をスパイ活動が放置された「スパイ天国」とはみなしていないと表明した。

反対派は既存の法制では埋められない具体的な穴をまず説明するよう要求し、推進派は外国による影響工作や情報収集段階の活動に対処するのが難しいと反論する。

これは40年前の苦い経験にもつながる。

1985年に自民党議員らが提出した国家秘密関連のスパイ防止法案は、秘密の範囲が広く、取材・報道や日常の会話まで処罰されかねないとの批判を受けた。死刑を含む重罰規定も波紋を呼び、世論や野党の反発に加え自民党内の慎重論も重なって廃案となった。

日本弁護士連合会は今年も、情報機関の権限拡大がプライバシー権や思想・良心の自由、表現の自由や知る権利を侵害しかねないと指摘した。

日本のメディアの視線も、これを単純な賛否の構図だけで捉えてはいない。

『共同通信』や『日本経済新聞』は、発足のスケジュールやスパイ防止法検討の本格化など、推進プロセスを中心に報じている。『毎日新聞』は行政傍受の導入の可能性に触れ、憲法が保障する「通信の秘密」との衝突を争点として取り上げた。

結局のところ、日本の論点は情報機関の強化の是非だけに留まらない。

スパイ行為や外国勢力をどのように定義するか、取材・研究・内部告発をどのような基準で保護するか、傍受に対して司法による統制や国会の監視をどの程度設けるかが重要となる。日本の選択は、情報能力と民主的統制を同時に設計できるかによって評価されることになるだろう。

韓国の外交・安全保障の観点において、国家情報局の発足は、北朝鮮の核・ミサイルやサイバー脅威を巡る日韓の情報協力の窓口が広がる契機となり得る。一方で、情報体系の一元化を含む高市内閣の動きが、韓国にとって抑止力の強化と安全保障上のジレンマの深化という二重の含意を持つとの評価も出ている。

ただ、外国代理人登録制などの後続法制が、在日同胞や韓国企業、市民社会の交流に及ぼす影響については、今後しっかりと見極めるべきポイントだ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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