韓国では7月7日、虚偽操作情報の流通・拡散を防止し、プラットフォームの自主規制を義務付けるための情報通信網法改正案が施行された。
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だが、オンライン上で着実にその存在感を増してきた「嫌悪」や「嘲笑」の表現に対する規制は、未だ“法の死角地帯”に置かれているという指摘が出ている。
最近では、スターバックスコリアによる5.18民主化運動を揶揄したマーケティングや、スターバックス騒動を基にした培材(ペジェ)高校野球部員による侮辱応援など、オンライン発の嫌悪表現がリアルにも飛び火し、議論がさらに拡大する様相を見せている。
これを受け、嫌悪や嘲笑情報の流通を規制し、プラットフォームの責任を大幅に強化することを骨子として先月発議された、通称「イルベ禁止法」(情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律の一部改正法律案)に注目が集まっている。
「イルベ」とは、“韓国版2ちゃんねる”と呼ばれる極右傾向のオンラインコミュニティ「日刊(イルガン)ベスト貯蔵所」の略称だ。
本サイト提携メディア『時事ジャーナル』は今回、この法案を代表発議した「共に民主党」のイ・フンギ議員に7月14日にソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館で取材を行い、法案の具体的な内容やこれを巡る争点などについて話を聞いた。
―「イルベ禁止法」とは具体的にどのような法案か。
「“イルベ禁止法”は、特定の個人や集団、社会的事件の犠牲者や遺族を対象とした侮辱・卑下・戯画化などを嘲笑・嫌悪情報と定義し、それらを規制する法案だ。単発の表現ではなく、繰り返しの回数や流通規模、被害の程度などを総合的に判断し、故意に反復流通させた者は5年以下の懲役または5000万ウォン(日本円=約543万円)以下の罰金に処するようにした。
サイトに対しては削除・遮断命令から過徴金、運営停止、閉鎖命令まで段階的に責任を問うようにした。法案が通過すれば、大統領令を通じてさらに詳細な法案内容を定める予定だ」
―「イルベ禁止法」を発議するに至った決定的な理由は何か。
「今月施行された情報通信網法改正案には、虚偽操作情報に関する規定はあるが、嫌悪や嘲笑に関する内容はない。今、我々の社会に嫌悪と嘲笑が広範囲に広がっており、そのレベルが自浄作用によって改善される段階は過ぎたと判断した。
次第に深刻化する状況の中で、ある程度の法的制裁と規制を通じてブレーキをかけるべき時だと考え、発議するに至った」
―最近の培材高校野球部の騒動など、オンライン上の嫌悪表現がオフラインで表面化する様相を見せているという意見があるが。
「培材高校野球部の騒動の場合、世間に相当な衝撃を与えた。しかし、法による処罰や懲戒の前に、他の社会的解決の可能性にも注目すべきだ。最近、培材高校の生徒たちが自ら光州を訪れて5.18の墓所を参拝し、光州第一高校の生徒たちに謝罪の意も伝えた。対立が教育的に解決された模範的な事例と見ている。
法がすべての問題の万能薬ではなく、このように対話と省察を通じて解決されることも可能だ。ただし、大多数の嫌悪事件はこのようにスムーズに解決されることが難しいため、法的規制が不可避だということだ」
―法案の通称が「イルベ禁止法」であるだけに、特定の傾向を持つオンラインコミュニティを狙い撃ちしたという認識もあるが。
「この法案はイルベだけを狙ったものではない。“イルベ禁止法”という通称は、法案の趣旨を分かりやすく説明するためにつけた象徴的な名前だった。
特定のサイトではなく、個人や集団、社会的惨事の犠牲者などを相手に繰り返される嫌悪や嘲笑全般を規制しようとする法案だ」
―法的処罰や規制が「表現の自由」を萎縮させかねないという懸念も根強い。
「表現の自由は“健全性”と“多様性”の上で、我々の社会の健全な討論の場を作るために保障されるものだ。他人の尊厳や人格を反復的かつ悪意をもって踏みにじり、それを収益化する行為まで表現の自由という名のもとに無制限に保護することはできない。
ただ、正常な批判まで規制することのないよう、表現の意図や反復性、流通規模、投稿の態様などを総合的に判断する明確な基準を設ける計画だ」
―オンライン上の表現を法で規制する場合、嫌悪文化が消えるどころか、より陰に潜むという「バルーン効果」が発生しかねないという指摘も出ているが。
「法が“万能薬”ではないため、処罰だけで嫌悪文化がなくなるわけではないかもしれない。ただ重要なのは、深刻なレベルに達した問題を社会的に公論化し、予防のための制度的装置を整えることだ。バルーン効果が懸念されるからといって、何の基準も立てないのはより大きな問題だと考える。
今のように嫌悪と嘲笑が繰り返し拡散され、PV数や広告収益まで得る構造をそのまま放置することは、社会的にも望ましくない。法は、このように私たちの社会がもはや容認できない問題に対し、最小限の基準を提示する役割を果たさなければならない」
―最近、あるガールズグループのメンバーが方言を使ったことを巡り、嫌悪表現に該当するかどうか論争が起きた。このような単語の文脈的な解釈の違いなど、嫌悪表現の規定の曖昧さに対する懸念が出ているが。
「当該のガールズグループのメンバーが嫌悪を目的に発言したとは思えない。むしろこの事件は、“イルベ禁止法”施行の必要性を示す事例だ。法が制定されれば明確な判断基準が作られ、このような消耗的な論争を迅速に終わらせることができるからだ」
―法案が通過すれば、どのような変化が生じると予想するか。
「現在最も懸念される現象は、嫌悪と嘲笑が若い世代の間で一種の“トレンド”であり、“遊び文化”のように消費されている点だ。規制がなければ、この現象はさらに悪化するだろう。先ほど述べたように、サイトに下される制裁は削除・遮断命令から過徴金、運営停止、閉鎖命令まで4段階に分けられるが、第1段階である削除・遮断命令の大半で嫌悪・嘲笑表現が間引かれるとみている。
このような規制を通じて、『遊びのように消費していたものが、実は深刻な嫌悪表現である』という警戒感を私たちの社会に呼び起こすことができるはずだ」
(記事提供=時事ジャーナル)
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