世界整形市場の4分の1を占めるとされる韓国は、“整形先進国”になれるのか

2016年01月27日 国際
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世界屈指の美容整形大国とされる韓国。国際美容整形手術協会(ISAPS)が2011年に行った調査によると、1000人あたりの美容整形率は、日本が約2.9人なのに対して、韓国は約5.2人となっている。

他にも、英『エコノミスト』紙がISAPSの会員たちを対象に集めたデータによると、2011年基準で韓国の女性人口1000人あたり13.5人が整形手術をしたとも報じられ、ISAPSが2013年に発刊した報告書によると、韓国は人口対比美容整形手術件数で世界1位だったという。

近年は、香港や中国から美容整形のために訪韓する人々の数が増加し、2013年は2万人前後だったが、2014年は5万人近くにまで増えたといわれている。

「世界の美容整形手術の市場規模21兆ウォン(約2兆1000万円)のうち、4分の1に当たる5兆ウォン(約5000億円)以上が韓国で消費されている」という報道もある。

さらに2015年4月には、米『ワシントンポスト』紙が韓国の美容整形事情を大特集し、「韓国は美容整形共和国、ソウルは美容整形の首都」と報じたほどだ。

整形大国を揺るがす事故とは

まさに韓国は整形大国なのだが、“整形先進国”とは呼べないかもしれない。

2015年6月22日、ソウル地方裁判所は、ある美容整形外科に、患者・A氏の遺族へ3億5000万ウォン(約3500万円)の損害賠償を命じた。事件が起きたのは2013年8月。A氏はふくらはぎを細くするための施術中、麻酔薬プロポフォール投薬後に呼吸困難に陥り、脳死状態に。4カ月後、息を引き取った。

A氏遺族は、担当医師が薬物投与の過程で脈拍、血圧、呼吸などを観察しなかったこと、施術の副作用について事前説明がなかったことなど業務過失を訴え、裁判所がそれを認めて病院に損害賠償を命じたのだ。この判決は美容整形手術には危険が伴う上に、韓国の現場がずさんなことを明らかにしたともいえる。

というのも、韓国では近年、この手の美容整形事故が絶えないのだ。

例えば2014年9月には、ソウル市・江南の美容整形外科で腹部の脂肪除去手術を受けた50代の女性が手術中に呼吸困難を起こして息を引き取った。2015年1月には、美容整形手術を受けるためにソウルにやってきた中国人観光客が手術中に心肺機能が停止し、脳死状態になっている。同年3月には、29歳の女性が江南の美容整形外科で顔の脂肪移植手術を受けた2日後に痛みを訴え、敗血症性ショックで死亡している。まさに、命を脅かす医療ミスが相次いでいるのだ。

それでも、韓国の美容整形熱は冷めることを知らない。

ある一般紙の報道によると、本格的な夏の到来を目前にした最近、美容整形外科を訪ねる女性が通常よりも40~50%増えているという。その相談のほとんどが豊胸で、特に20~30代の女性たちの間で相談が多いらしい。

「夏休みを前にして、鼻や二重といった顔面整形だけでなく、胸の整形に関する相談も多く受けるのが近年のトレンド。顔だけでなくボリューム感あるボディーにして、バカンスシーズンを迎えたいのでしょう」(ソウル市内の美容整形医)

大きな胸に憧れる女性たちの整形を助長するのもいいが、まずは副作用の被害をなくすのが先決。韓国は美容整形大国だけに、その責任も問われている。

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