年間11万人が“火病(ファビョン)”に苦しむ現代韓国。なぜ火病は韓国特有の病気なのか

2016年01月08日 社会
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「ファビョる」というネットスラングをご存じだろうか。

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ネット上の議論の場で反論ができなくなったときに、顔を真っ赤にして怒るようなさまを表す言葉なのだが、その語源となっているのは火病=ファビョン(鬱火病)だ。

火病とは、積もりに積もった怒りやストレスが原因で体や心にもたらされる苦痛のことで、呼吸困難、食欲不振、うつ症状、不眠、全身の疼痛などが起こる“韓国人特有の病気”とされている。

最近、韓国で火病の診療を受けた患者数が、年間11万5000人にも上ることがわかった。

韓国健康保険審査評価院の調査結果で、そのうち女性患者数が7万人と男性を大きく上回り、特に40~50代の中年層が多かったという。

大韓航空の“ナッツ姫”ことチョ・ヒョンア前副社長も40代女性だ。ほかにも「韓国サラリーマンの90%が火病を病んでいる」との報道もあり、看過できない社会問題となっている。

火病のルーツを辿る

韓国における火病の歴史は古く、朝鮮王朝時代にまでさかのぼる。

韓国時代劇『イ・サン』で知られる朝鮮王朝第22代王・正祖(1752~1800)の母親は、著書『閑中録』の中で、自身の夫の病気を「火症」と表現しているという。正祖の父は、怒りによって胸が痛み、極度の不安を感じたり、うつ状態になったりする火病と酷似した病に侵されていたそうだ。

つまり火病は“韓国の伝統的な病気”ともいえるわけだが、そもそもなぜ韓国人だけが火病にかかるのだろうか。慶熙大学病院のある教授は、こう分析している。

「怒りや悔しさ、“恨(ハン)”などの感情が長期間持続した場合に患う火病は、アメリカの精神障害診断マニュアルに“韓国人に固有の文化依存症候群”と明示されています。韓国人には“恨”という独特の感情がある。これは、歴史的に外国の侵略や同族対決が繰り返された悲劇に加えて、差別的な身分制度、男性中心的社会からくる抑圧と悔しさ、怒りなどの感情が蓄積されて形成された状態だといえます」

「恨」という独特の感情があるから、韓国人だけが火病にかかるというわけだ。同教授は、さらに続ける。

「経済的困窮、家庭における暴力や虐待、夫の不倫など、否定的な経験が火病を誘発しやすい」

ここ数年、韓国で火病患者が急増している背景には、経済格差などの根深い社会問題があると考えていいだろう。

患者数が急増していることもあり、韓国で大きな関心を集めている火病。ある韓国メディアは、火病にかかりやすい人の特徴について、「責任感が強く、良心的で、感情を表に出さない内向的な性格の人ほど注意が必要」と報じている。

韓国人にあまり内向的なイメージはないが、火病に苦しむ人が一人でも多く救われてほしいものだ。

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