去る6月15日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が成立した。
7月11日にも施行されるという。
安倍晋三首相は「国会の審議、議論を踏まえ国民の生命財産を守るために適切、効果的に運用・施行していきたい」と強調したが、野党側は捜査機関の恣意的な捜査で冤罪が起こる可能性を拭えないなどと反対していた。今後も議論が尽きそうにない様相だ。
そんな日本の「共謀罪」法成立をお隣・韓国では、どう報じているのだろうか。
韓国三大紙のひとつ『東亜日報』は、「安倍政権、“監視社会”騒動法案を強行処理」と見出しを打った。
全体的に批判的な論調で、「安倍政権と自民党などは、テロから国民の生命と財産を守るために必要と説明しているが、この法案の内容が太平洋戦争中に反戦思想を弾圧するために使用された治安維持法と似ているという声が少なくない」などと報じた。
また、法案を処理する過程に対しても「与党はこの法案を参議院法務委員会の議決を経ず本会議に中間報告の形で上程して処理した」と指摘している。
文末には、ジャーナリスト田原総一郎の解釈として「安倍総理は尊敬する祖父・岸信介の宿題をやり遂げようとしている」と紹介し、「1960年日米安全保障条約の改正を強行した後、全国民の非難の中に首相職から退いた岸ができなかった宿題は、まず改憲、二番目が治安権の強化だったということだ」と付け加えた。
“崔順実ゲート”を暴いたことをきっかけに韓国で高い支持を受けている『JTBC』も、「日本、共謀罪法案を強行処理…全方位監視社会を懸念」と語気が強い。
「2人以上が犯罪を計画して、そのうち誰かが犯罪資金や物品を調べたり、現場の下見をしたりするなど準備をするだけで、関連した全員を処罰できる」と報じている。
また、「野党は内閣不信任案を提出して反対したが、力不足だった」と紹介しながら、与党が成立を急いだ理由を「安倍首相の加計学園の疑惑が国会で扱われることを防ぐための企み」と分析した。
その他の韓国メディアも見出しだけで、論調がわかるだろう。
「日本、国民の心も処罰する国家になった…共謀罪法強行処理」(『聨合ニュース』)
「日本、犯罪を計画するだけで処罰する…“共謀罪”法案通過」(『news1』)
「安倍“共謀罪”強行…加計学園スキャンダルを隠そうと?」(『ハンギョレ新聞』)
「“監視社会”に向かう日本」(『京郷新聞』)
どの韓国メディアも非常に批判的なのだ。
当然ながら、韓国ネット民たちの反応も似ている。
「ありえない! お金を持った北朝鮮じゃないか」
「日本ももはや独裁国家になるのか」
「やはり日本は政治後進国だね」
「どう考えても悪用するだろう。旧時代的な発想だ」
「犯罪をしていないのに計画しただけで罰を受けるということが理解できない」
「もう日本には行けない。チョウセンジンだからと捕まえられるかもしれない」
韓国では批判一色と言っても過言ではない日本の「共謀罪」法。今後、日本国内や海外からどのような議論が噴出するか、注目したい。
前へ
次へ