朴槿恵大統領の職務は停止となったが、韓国国民の怒りは治まっていないようだ。現在、韓国では朴槿恵大統領の写真やサインなどの痕跡を消す“朴槿恵離れ”が進んでいるという。
とある飲食店店長の話が韓国メディア『韓国日報』で紹介されている。彼は2013年の大統領就任式で料理を提供し、当時、朴大統領と撮影した記念写真を3年間、お店に掲げていたという。しかし、2カ月前に写真を片付けてしまった。
同店の関係者はインタビューでこう話している。
「2カ月ほど前までは“大統領が認めた店”として訪れるお客さんも多かったが、最近は“気持ち悪い写真は片付けろ”などとクレームが出るように。店に飾らず、保管しています」
そのお店だけではない。
11月末に朴大統領が訪れた忠清北道・清州(チョンジュ)の西門市場と蔚山(ウルサン)新亭市場でも、商店ごとに掲げられた朴大統領の署名が片付けられたという。
仁川チャイナタウンのある中華料理店の店員は、「売場を訪問した政治家10人余りの写真を入口にかけておきましたが、朴大統領の笑顔を見た客たちが悪口をいうので全部剥がしている」と話した。
また、ネット上でも“朴槿恵離れ”は加速中。
新聞などに掲載された彼女の写真や名前をペンで消して、SNSにアップする遊びが流行っているという。朴大統領の自叙伝や大統領就任切手などを中古取引サイトに安値で売る人も続出しているらしい。
ただ、写真を片付けたり自叙伝を安値で売ったりするのは、まだまだ笑える範囲といえるかもしれない。というのも、朴槿恵大統領に関する歴史まで消してしまおうとする人たちもいるからだ。
12月1日、慶州北道にある朴大統領の父・朴正煕の生家で火事が起きている。
火災発生から10分余りで消防隊が駆けつけて大事にはならなかったようだが、放火の可能性が高いという。
さらに12月5日には、ソウルの文来公園に設置された朴正煕の胸像が赤いペンキで汚される事案も発生。捕まった30代男性は、ハンマーで胸像の顔を何度も叩いたという。
男はSNSに「朴正煕の胸像撤去宣言文」というタイトルの文章をアップし、犯行に及んでいたようだ。
ちなみに、朴元大統領の胸像が毀損されたのは、2000年11月以来、二度目。当時は、民族問題研究所など関係者20人余りが胸像をロープで縛って撤去した。
そういった犯罪行為に対して非難の声も上がっているが、なかには英雄視する声も。
「そのまま燃やしてしまえ、無価値なのだから」
「どうせなら大統領府を燃やせばよかった」
「乱世の英雄だな」
「本当の犯罪者は大統領府にいる」
「胸像はさっさと撤去しろ」
こういった一連の騒動について専門家は「市民が政治的に覚醒し、生活のなかで歴史清算運動に乗り出している」などと分析している。
犯罪行為は許されないが、朴槿恵大統領が犯したスキャンダルは許されるべきものではないだろう。韓国国民の“朴槿恵離れ”は今後も続いていく様相だ。
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