「何があっても支持します!」孤立する朴槿恵大統領の唯一無二の味方、“パクサモ”とは

2016年11月18日 政治
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「身から出たサビ」とはいえ、韓国・朴槿恵大統領への非難の声がすさまじい。

『中央日報』が「“朴大統領の精神年齢17~18歳、発達障害状態”」と報道したと思えば、小学生までもが「朴槿恵、退陣!」を叫んでいるという。

朴槿恵大統領はすっかり四面楚歌というわけだが、まったく味方や支持者がいないのかというと、そういうわけではない。

その代表格が“パクサモ”だ。

絶対の朴槿恵支持者たち

“パクサモ”とは、「朴槿恵大統領を愛(サラン)する集まり(モイム)」を縮めた言葉。正式名称「大韓民国パクサモ」の団体名でもある。同団体は「パクサモ中央委員会」を中心に、全国各地に本部や支部を持つ。

韓国メディアによると会員数は6万6000人余りだったが、“崔順実ゲート”が発覚してから7万人を突破したという。

朴槿恵大統領を支持する彼らは、「朴大統領は被害者だ」「朴槿恵大統領は退陣してはならない」と主張する。

実際に11月17日、パクサモはソウル駅前広場で「大統領退陣反対と安保を守る国民大会」を開催。同大会の速報を伝えるパクサモ公式ホームページには、「彼らこそが愛国者だ!」「ソウルの人たちの力を見せてください。頑張って!」「愛国者の皆さん、心から尊敬します」といったコメントが並んだ。

目に付いたのは、「虚偽/歪曲報道・監視センター」というコーナー。

そこには、「大韓民国パクサモ会長として警告する。パクサモ指導部はその噂に関連して組織的に動いたことは一切ない」と始まる声明が書かれていた。

「虚偽事実の流布は法的に“虚偽事実による名誉毀損罪”に当てはまる。パクサモはトブロ民主党ソ・ハンギ議員を含めて、関連虚偽事実を流布する者に必ず法的措置することを明言する」

かなり強い論調だが、どういうことだろうか。

現在、“崔順実ゲート”で揺れる韓国だが、実はもう一つ、とある“疑惑”が持ち上がっている。

その疑惑について朴槿恵大統領は11月16日、「可能な捜査力量を総動員して迅速、徹底的に捜査して、真相を明白に究明し、関与者は地位の上下を問わず厳しく対処する」と話した。

近いうちに検察の捜査を受けることになるであろう朴大統領が真相究明を語るのはなんとも妙な気もするが、その疑惑とは、釜山地方検察が捜査中の“海雲台LCT疑惑”だ。

海雲台LCTとは、釜山の海雲台に101階建てのビルなどを建設する観光リゾート建設事業のこと。その施行会社のイ・ヨンボク会長は現在、500億ウォン(約50億円)を超える会社資金を横領した疑いをかけられている。

イ会長は政界にロビー活動をしていたとされており、さまざまな政治家が不正金を受け取ったという疑惑があるわけだ。

“海雲台LCT疑惑”をかけられている一人に、文在寅氏がいる。朴大統領と大統領選で争った人物だ。

文在寅氏は噂を流した者を告訴すると強く反発。またトブロ民主党のソ・ハンギ議員をはじめ、多くの韓国メディアは「“海雲台LCT疑惑”と文氏を結びつけたのはパクサモ」と報じている。

“崔順実ゲート”で朴大統領に集中している非難の声を分散させるために、パクサモが組織的に動いて文氏と疑惑を関係付けようと画策したという論調だった。

これに対してパクサモは、前出の声明を発表して、濡れ衣であることを主張したというわけだ。

仮にパクサモが工作していたというのであれば、朴槿恵大統領に対する彼らの思いの強さがうかがえるし、していなくても、そう疑われるほど熱狂的な朴槿恵支持団体ということがわかるだろう。

いずれにせよ、毎週末に行われている「退陣要求デモ」に対して、反対デモを決行するなど、自分たちの正義を貫いているパクサモ。今の朴槿恵大統領にとっては、彼らが数少ない“味方”であることは間違いない。

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