通称「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」で朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する韓国人の怒りが頂点に達している今日この頃、一角では朴槿恵大統領の亡き父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の銅像を建立する計画が進んでいるという。
朴正煕といえば、韓国で唯一の“独裁者”として知られる人物。日本軍の将校として「高木正雄」と名乗っていたこともあり、韓国では“親日”の象徴として有名だ。そして、親子で韓国の大統領に就任した唯一のケースでもある。
来年11月に迎える朴正煕の誕生100周年を記念し、「朴正煕大統領記念財団」は11月2日、「朴正煕誕生100周年記念事業推進委員会」を発足。
その発足式でチョン・ホンウォン委員長は「光化門に彼の銅像を建立する。国内外の政治的状況が厳しい今だからこそ、朴正煕大統領の慧眼と情熱、清貧の精神が必要だ」と発言した。
ちなみに光化門には、ハングルを発明した朝鮮王朝の第4代国王・世宗(セジョン)と、韓国の歴史的英雄である李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像が存在する。
韓国人なら誰もが尊敬する2人と、朴正煕を並ばせようとする大胆な試みについて、「朴正煕は、その2人を足したぐらいの偉人だから」と、朴正煕記念財団はコメントした。
韓国のニュースチャンネル『TV朝鮮』の報道によると、前出の委員会は、すでに京畿道の某鋳物製作所に銅像の制作を依頼したという。銅像の高さは約4メートル。完成したあかつきにはソウル市に寄付され、光化門に立てられる予定だとか。
この朴正煕銅像建立計画に対して、多くの政治家や市民たちはあきれ果てた様子だ。
政治家からは「光化門の地下100メートルにその銅像を埋めるなら、賛成してもいい」という皮肉や、「正気ではない」「イカれている」などの発言が相次いでいる。
また、ネット上でも「ここは北朝鮮ですか?」「立ててみろよ。何度でも重機で突っ込んでやるから」「無駄な努力はやめろ。どうせ1分もたたずに壊される」「朴正煕の銅像が立てられたら、この国を脱出する」といった声が、次から次へと寄せられた。
実は、韓国国内に朴正煕の銅像がないわけではない。彼の出身地である慶尚北道・亀尾(クミ)市には、すでに高さ5メートルの銅像が存在。ただ、最近はスプレーを使った「独裁者」などの落書きが相次いでいるとのことだ。
歴代最低の5%まで下がった朴槿恵大統領の支持率や、怒りがまん延する韓国社会を見る限り、火に油を注ぐとしか思えない朴正煕銅像建立計画。
はたして、どうなることやら…。
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