ソウル駅前の広場で2月16日の夜、10~20代男性による“ろうそくデモ”が行われた。大きな声で叫んだり、派手なパフォーマンスをしたりするデモではない。静かな、だからこそ怒りを感じさせるデモだった。
彼らが反対した政策とは何か。
それは韓国政府が2月11日に実施した「有害サイトへのアクセス遮断」に対してだ。
サイトブロッキングの対象は、主にアダルトサイトといわれており、日本でも「韓国でアダルトサイト遮断」などと見出しを打った記事が報じられている。
ただ彼らは決して「アダルトサイトを見せろ!」と抗議したわけではない。
デモを主催したパク・チャンウ氏は、「一部のメディアは私たちがアダルトサイトのためにデモを行ったといった。私はそんなことを言ったことはない。私たちは、https遮断の政策と検閲は間違っているというデモをした」と語っている。
デモ参加者も「国家が個人の私生活を過度に侵害している」などと訴えていた。
『世界日報』によれば、韓国放送通信審議委員会は通信事業社を通じて、現在895件の接続を遮断したが、そのうち776件(86.7%)が賭博サイトで、不法アダルトサイトは96件(10.7%)だった。
イシューになりやすい“アダルトサイト”が前面に掲げられているが、それ以外のサイトのほうが遮断されているのが現実なのだ。
今回のデモに参加した人数は、約300人(パク氏発表)。
韓国三大紙の『中央日報』も「アダルトサイトではなく“https検閲”ろうそくデモ…300人余り参加した」と見出しを打って報じた。
現在、韓国大統領府の国民請願サイトには「https遮断政策に対する反対意見」という請願が上がっており、賛成者数は20万人を超えている。国民請願の賛同者が20万人を超えた場合、大統領や政府関係者は公式見解を発表する決まりだ。
それだけにパク氏は、「多くの人が次のデモはいつだと聞いてきたが、ひとまず請願が20万人を超えたので、請願に対するコメントを見ようと思う」と話している。
“ろうそくデモ”のニュースに触れた韓国ネット民たちからも、続々と賛同の声が上がっている。
「表面上の理由が不法アダルトサイト根絶なだけで、中国のように検閲しようということ。この国が韓国なのか北朝鮮なのかわからなくなってきた」
「朴槿恵や李明博が遮断していたら独裁だとか批判されていただろう。あの多くの市民団体はどこにいった?」
「事の重大さを理解していない人がいるが、インターネットに監視カメラがついているようなもの。今はアダルトサイトの監視に使うと主張しているが、それを守るとは限らない」
「この件は本当に大きな事件だ。文在寅は憲法を超越して、独裁をしようとしている」
「次はユーチューブが対象になるだろう。ここで防がなければ、どんどん遮断の範囲が広がる」
不法サイト遮断の実施から1週間もせずに“ろうそくデモ”まで行われた韓国。その余波はまだまだ広がっていきそうだ。
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