“崔順実(チェ・スンシル)ゲート”によって、韓国で朴槿恵大統領への退陣要求が日増しに強まっている。なかでもデモ活動を展開するなど、強く反発しているのは20~30代の若者たちだ。
朴槿恵大統領の支持率は歴代最低となる5%となったが、20~30代からの支持率はさらに低い。世論調査会社リアルメーターによると、11月3日時点で若者たちから支持率は、30代が3.1%、20代にいたっては1.6%となったという。
ある大学生が韓国メディアに答えている。
「友達の一人が大統領選挙で朴槿恵に投票したことをすごく笑われているようです。以前は彼もかっとなって反論していたようですが、最近は冷やかされても何も言えない。ただイライラしながら“投票に失敗した”とだけ。それが私たちの初めての投票だったのです」
大学生たちのネタになっているのが、2012年に行われた韓国大統領選挙だ。
2012年12月19日に行われた第18代大統領選挙は、セヌリ党の朴槿恵と、民主統合党の文在寅の一騎打ちだった。中央選挙管理委員会のデータを見ると、結果としては朴槿恵が51.6%、文在寅が48.0%の支持を獲得し、朴槿恵に軍配が上がった。
全体の投票率は75.8%。前回の第17代大統領選挙(当選者:李明博)の63.0%、第16代大統領選挙(当選者:盧武鉉)70.8%を上回っている。
地域別に見ると、朴槿恵を支持したのは80.8%を記録(文在寅18.6%)した慶尚北道を筆頭に、大邱80.1%(文19.5%)、慶尚南道63.1%(文36.3%)など。一方の文在寅は光州92.0%(朴槿恵7.8%)、全羅南道89.3%(朴10.0%)、全羅北道86.3%(13.2%)となっている。
首都ソウルの支持率を見てみると、朴槿恵48.2%、文在寅51.4%という結果だった。
最も興味深いのは、世代別の支持者に大きな差が見られたことだろう。中央選挙管理委員会が第18代大統領選挙の年齢帯別投票率を分析した結果を見ると、50代の投票率が82.0%で最も高く、20代の投票率が68.5%と最も低い。
とはいえ第17代大統領選挙の投票率と比較すると、50代と60代以上が約5%ポイントの上昇したのに対して、20~30代は13.8%ポイント~22.8%ポイントも上昇したことがわかる。
より詳細に見ると、20代前半(51.1%→71.1%)、20代後半(42.9%→65.7%)、30代前半(51.3%→67.7%)、30代後半(58.5%→72.3%)だ。
相対的に20~30代の若者たちの関心が高かった大統領選挙であったことがわかる。それでは、韓国の若者たちは朴槿恵と文在寅のどちらを支持したのか。
コリアリサーチ、メディアリサーチ、TNSによる出口調査によると世代別の支持率は以下のようになる。
20代:朴槿恵33.7%―文在寅65.8%
30代:朴槿恵33.1%―文在寅66.5%
40代:朴槿恵44.1%―文在寅55.6%
50代:朴槿恵62.5%―文在寅37.4%
60代以上:朴槿恵72.3%―文在寅27.5%
20~30代はもちろん、40代までもが文在寅を高く支持していることがわかるだろう。だからこそ冒頭の大学生は、朴槿恵に投票したことを冷やかされていたわけだ。
4年前の大統領選挙当時から若者からの支持を受けていなかった朴槿恵大統領。彼女が現在、学生や若者から激しい退陣要求を突きつけられているのは、ごく当然の結果だったのかもしれない。
いずれにせよ、2012年の第18代大統領選挙に限っては、若者たちが正しかったと言わざるを得ないようだ。
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