韓国の歴代大統領はどんなスポーツを好んできたのか。
まず、初代大統領の李承晩(イ・スンマン)大統領(1948~1960年)はテコンドーや釣りが好きだったと言われている。
現在の朴槿恵(パク・クネ)大統領の父親であり、1963年から1979年に暗殺されるまで政権の座にあった朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、ボクシング好きだったと言われる。
1966年に韓国初のプロボクシング世界チャンピオンとなった金基洙(キム・ギス)がライトミドル級タイトルを獲得した背景には、朴正煕大統領の鶴の一声があった。
当時のライトミドル級王者は二ノ・ベンベヌチだったが、彼はキム・ギスと試合を組む見返りに、5万5000ドルの対戦料を要求。キム・ギスは諦めたが、この事情を聞いた朴正煕大統領が部下に対戦料を支払ってあげるよう指示したという。韓国初のプロボクシング王者が生まれる背景には、大統領のアシストがあったわけだ。
ちなみに朴正煕大統領は、戦前の日本陸軍士官学校出身で剣道と乗馬の腕前もかなりのものだったらしい。
この朴正煕大統領が凶弾に倒れたあと、軍事クーデタ―で政権の座についた全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領(1980~1988年)は、大のスポーツ好きだった。韓国プロ野球やKリーグも、全斗煥大統領の後押しで誕生している。実際、韓国プロ野球の記念すべき始球式第一号は、全斗煥大統領だった。
全斗煥大統領は陸軍士官学校時代にサッカー選手もしていたことから、特にサッカーは大好きだったという。
また、ボクシング・ファンでもあり、当時の韓国軍では各部隊でボクシング大会が開かれたほどだったという。さらにテニスも大好きで、大統領になる前は1週間に3回はコートに立ったという逸話があるほど。まさに“スポーツ大統領”だった。
1988年ソウル五輪時に大統領を務めた盧泰愚(ノ・テウ)大統領(1988~1993年)もテニスがうまく、セミプロ並みの腕前だったと言われている。盧泰愚大統領も軍人出身だが、彼は陸軍士官学校時代、ラグビー部に所属してキャプテンも務めていたらしい。
盧泰愚大統領から引き継いで、初の非軍人出身の大統領となった金泳三(キム・ヨンサム)大統領(1993~1998年)の趣味は、登山とジョギング。ただ、中学時代はサッカーのGKでもあったという。
その割には、1996年アトランタ五輪出場を決めたサッカー韓国代表に電撃的にかけたお祝い電話では、韓国が決めたPKを「よいCKだった」と間違えて、その様子を生中継で見ていた国民たちの失笑を買っている。
そのサッカー・ワールドカップの2002年日韓大会が開催されたときに大統領だった金大中(キム・デジュン)大統領(1998~2003年)は足が悪かったため、好んで楽しんでいたスポーツはあまりない。
廬武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(2003~2008年)はボウリングが得意だった。
このように韓国の歴代大統領たちは、それぞれ得意だったり好みのスポーツが異なったが、共通しているのはゴルフにまつわるエピソードが多いことだ。
朴正熙大統領は外国首脳たちが訪韓した際にはゴルフを楽しみ、その後を継いだ全斗煥大統領はゴルフ好きが講じて青瓦台内にゴルフ練習場を作ったことで知られる。
盧泰愚大統領はゴルフ場新設許可を緩和したが、金泳三大統領はゴルフを「贅沢スポーツ」としてプレー代に特別個人税を付加しただけではなく、公務員たちにゴルフ禁止令を出した。
金大中大統領はクラブを握らなかったが、盧武鉉大統領は意外とゴルフ好きだったらしい。李明博(イ・ミョンバク)大統領(2008~2013年)はボギープレーの腕前だとか。韓国の歴代大統領とゴルフは、何かと浅はかならぬ縁があるわけだが、現行の朴槿恵大統領はゴルフをしない。
それどころか、ゴルフをやや毛嫌いしているところがある。
公務の邪魔になるとして、閣僚たちにしばしばゴルフ禁止令を出してきたほどだ。
その朴槿恵大統領が2015年10月に韓国・仁川で行なわれたプレジデントカップでは、大会の名誉チェアマンを務めたのは皮肉な話でもあった。
ちなみに朴槿恵大統領が好むスポーツは、テニスや卓球、バトミントンだそうだ。
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