福島第一原発にたまる「処理水」の海への放出について、韓国が目を光らせているように見える。
東京電力は9月下旬から行っていた通算9回目の放出を10月14日に終えたばかりだ。10月17日からは10回目の放出を控えている。
韓国メディアは「日本の福島原発の汚染水、10次放流17日に開始…来月4日に終了」(『聯合ニュース』)、「日本、17日に原発汚染水10次放流…7800t“ざあざあ”」(『韓国経済TV』)、「日本の福島原発汚染水、10次放流、17日に開始」(『TV朝鮮』)と見出しを打って、関連ニュースを伝えた。
株価にも影響しているようで、「日本原発汚染水の放流で食肉業界株が急騰」と報じた『朝鮮Biz』によると、「日本の福島原発汚染水の放出により、鶏肉が海産物の需要を代替するとの期待感が食肉関連株の株価を押し上げている」とのことだ。
韓国では「処理水」ではなく「汚染水」という単語を使って緊迫感を伝えているわけだが、実際にはそれほど危機感があるとはいえないかもしれない。
例えば、処理水に対応するために、韓国の水産業者を代表する水産業協同組合中央会を中心に、2023年5月に組織された「日本原発汚染水対策委員会」は、今年一度も活動していない。
国会・農林畜産食品海洋水産委員会のユン・ジュンビョン議員が明らかにしたところによると、「日本原発汚染水対策委員会」は昨年5月17日に結成され、第1回対策委員会を開いた。同年8月には第2回対策委員会を行っている。
しかし、それから1年以上が過ぎた現在、一度も対策委員会が開かれていないとのことだ。さらに水産業協同組合中央会は、「日本原発汚染水対策委員会」の対策委員会の開催や活動のために、別途に編成した予算すらないことが確認されている。建前上の組織といわざるを得ない。
この実態を明らかにしたユン・ジュンビョン議員は「水産業者を代表する水協中央会が日本の福島汚染水を『汚染処理水』と呼んでいるだけでなく、日本政府がこれまでに9回にわたり核汚染水を海洋投棄しているにもかかわらず、昨年8月以降、現在まで対策委員会を一度も開催していないことだ」と強く非難した。
ただ、「日本原発汚染水対策委員会」に限らず、釜山港に入港する日本の生鮮魚運搬車(年間2000台が入港)の検査が年間40台しかされていないことも発覚している。
それもそのはずで、慶尚北道・浦項(ポハン)市が9月30日に実施した水産物の放射能検査など、韓国で行われている検査で処理水の影響がないことが次々と明らかになっているからだ。
韓国政府も処理水と関連して原子力安全委員会内の放射能監視対応チームを新設したが、来年度の予算を大幅に削減しているほどだ。
そんな逆風のなかで、福島原発の処理水に対して韓国がいつまで目を光らせ続けるのかは注目に値するだろう。
(文=サーチコリアニュース編集部O)
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