韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領の逮捕状を発付したソウル西部地裁では、1月19日未明、尹大統領の支持者による破壊行為が発生した。
支持者らが暴徒化し裁判所の敷地に侵入、窓ガラスを割り、建物の外壁を損壊するなど、現場は騒然とした。逮捕者は86人に上る。
その騒動について、韓国の野党「祖国革新党」が強く非難した。
祖国革新党のキム・ソンミン代表代行は1月20日、国会で行われた最高委員会の会議で、「ソウル西部地裁で起きた騒乱は、歴史上の暴徒が行っていた行為だ」と述べた。
キム代行は「ドイツのナチ突撃隊は内乱と暴動を引き起こそうとした。日本の関東大震災では、自警団が韓国人に発音しづらい言葉を言わせ、それができなければその場で殺害した。李承晩（イ・スンマン）政権下の西北青年団も罪のない国民を共産主義者だと決めつけて虐殺した」と説明した。
さらに、「西部地裁前の暴徒たちは記者たちに身分証明書の提示を求め、取材陣を暴行し、機材を壊した。通行人を捕まえて『中国人か』と問いただし、韓国語を話してみろと言ったという。また、ガラスを割って侵入し、備品を次々と破壊した。そして、尹錫悦の拘束令状を発付した判事を探し出そうと裁判所内を物色した」と強調した。
そして「尹錫悦は『無念で怒りを覚える国民が平和的ではない方法で意思を表現したものだ』というような形で暴徒を擁護した。そして警察の強硬対応を非難した。支持者を暴徒化させたのは誰なのか」と非難した。
祖国革新党の怒りはすさまじく、ファン・ウンハ院内代表も「暴徒全員に対して騒擾罪（そうじょうざい）の適用を積極的に検討し、全員を拘束捜査し、寛容のない厳しい処罰が必要だ」と話し、「誰が彼らを扇動したのか、誰が背後で操っているのかについて徹底した捜査が必要だ」と主張した。
他にもキム・ボヒョプ首席報道官が最高委員会を終えた後、記者団に対し、「16日、尹大統領の弁護人であるソク・ドンヒョン弁護士とユン・ガプクン弁護士について、弁護を名目に内乱を扇動する行為を行っているとして大韓弁護士協会に通報した」と明らかにし、「弁護士協会はこの2人の弁護士を懲戒処分とすべきだ」と述べている。
祖国革新党は、2024年2月に結成された新しい党だ。かつて、次々と疑惑が暴かれる様子から“たまねぎ男”と呼ばれた韓国の元法務部長官、チョ・グクが初代代表を務めた。
ただしチョ前代表は、子供の大学入試不正などの容疑で懲役2年の判決が確定し、昨年12月16日に収監された。現在、祖国革新党の代表は「空席」となっている。
暴徒化した尹大統領の支持者について、オンライン上では「暴徒たちは、背後で暴徒を操った勢力もすべて逮捕して、10年間は刑務所に送るべきだ」「暴徒全員に対し、減刑を一切考慮せずに拘束捜査を行い、損害賠償を請求し、さらに職場に通報して全員を解雇させるべきだ」といった批判の声を上げている。
一方で、「自分たちがやれば銃を撃っても“民主化”、他人がガラスを割ったら暴徒扱い？」「自由民主主義を守れるかどうかの瀬戸際だ」といった尹大統領の支持者を擁護するコメントもあった。
尹大統領支持者の行動とそれに対する批判的な声が交錯するなか、韓国がこの混乱からいかに法治を再確立し、社会の安定を取り戻すかが注目されている。
（文＝サーチコリアニュース編集部O）
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