李在明とキム・ムンス、自身の“ホームグラウンド”でも遊説現場の雰囲気には大きな違い【韓国大統領選】

2025年05月22日 政治
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「桂陽(ケヤン)区民の皆さん、共に民主党・大統領候補の李在明(イ・ジェミョン)がご挨拶いたします」

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「高陽(コヤン)市民が誇りに思うKINTEX(ソウル近郊で最も大きな展示空間)、誰がやりましたか」

与野党の大統領候補が3日目となる首都圏での票の取り込みに乗り出した。

6月3日の大統領選挙まで13日と迫った5月21日、「国民の力」キム・ムンス候補と「共に民主党」李在明候補は、それぞれ京畿道・高陽市と仁川広域市・富平区を訪れ、支持を訴えた。

両地域とも候補者にとって縁が深い土地であるだけに、遊説現場の雰囲気もひと味違っていた。

キム・ムンス候補は、自身が京畿道知事時代に推進したGTX(首都圏広域急行鉄道)などの実績を前面に押し出して遊説を行った一方、李在明候補は「腕は内側に曲がる(身内に甘くなる)」ということわざを用い、自分が桂陽区民であることを強調し、地元票の結集に集中した。

同時に、「反・李在明」や「選挙楽観論への警戒」など、両候補が直面する懸案も遊説演説の核心として浮上した。

「共に民主党の牙城」を守る李、攻略しようとするキム

京畿道で初めて行政経験を積んだキム・ムンス候補にとって、高陽は特別な場所だ。

キム・ムンス候補
(写真=キム・ムンス候補Facebook)

2006年当時、3選議員だったキム・ムンス候補は、民選で初めて京畿道知事に就任し、2014年まで連任した。高陽は当時、キム・ムンス候補が京畿北部の発展の中核と位置付けていた都市の一つだ。

任期中には一山(イルサン)KINTEX第2展示場、高陽韓流ワールド、GTXなどが推進され、水原(スウォン)に次いで高陽市が京畿道で2番目に人口100万人を突破する都市となるきっかけとなった。

一方、仁川は、政治的な再起の足掛かりとなった点で、李在明候補にとって特別な場所だ。

李在明候補は、2022年の第20代大統領選で当時の「国民の力」尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補に敗れた後、3カ月後に仁川・桂陽乙の補欠選挙に出馬した。当時、李在明候補は「国民の力」ユン・ヒョンソン候補に対して10.49ポイントの差をつけて圧勝し、国会議員となった。

この勢いを受けて党代表にまで上り詰めた李在明候補は、党内予備選を経て今回の大統領選再挑戦の切符を手にした。

両候補にとって、この日の遊説現場は「ホームグラウンド」といえる。しかし、過去の「ホーム」と現在の「ホーム」である点において、遊説現場の雰囲気には違いが感じられた。

仁川は、中区・江華・甕津および東区・彌鄒忽区を除く12選挙区すべてを「共に民主党」が占めており、キム・ムンス候補が訪れた高陽も4選挙区すべてで「共に民主党」が現職議員の議席を持っている。

このような状況のため、この日の現場では、現職の地域区議員による応援遊説の差が目立った。

遊説現場
(写真=共同取材)

李在明候補の遊説には、ノ・ジョンミョン(富平甲)、ユ・ドンス(桂陽甲)議員など仁川の現職議員が参加し、パク・ソンウォン議員(富平乙)は「シャウティング・コリア」遊説団の公演中に突然、横回転を3回連続で披露し、支持者の歓声を誘った。

一方、キム・ムンス候補の遊説現場では、ナ・ギョンウォン、ヤン・ヒャンジャ共同選対委員長など、既存の遊説メンバーのみが奮闘していた。

支持者も、李在明候補の遊説には富平北広場を越えて富平駅前までびっしり埋まったのに対し、キム・ムンス候補の遊説は花井(ファジョン)駅広場の3分の2ほどの集まりにとどまった。この日、李在明候補の遊説には警察推計で約2000人が参加した。

「国民が守るのが真の警護」vs「防弾ガラスは私のせいか」

両候補の遊説スタイルにも違いが見られた。

李在明候補
(写真=李在明候補Instagram)

キム・ムンス候補は過去の知事時代の成果に言及し、「交通福祉」など京畿北部の活性化に向けた公約をアピールした。彼は「高陽は京畿成長研究所、花博、イルサンKINTEXを擁する偉大な都市だ。知事時代に北漢山の行宮を復元すると言ったのを覚えているか? KINTEXは誰がやったのか」と声を張り上げた。

さらに、「GTXに乗ればソウル駅まで18分だが、ファジョン駅からGTXに乗るには3号線に乗り換えなければならず不便だ。今後、GTXはソウル駅から三成駅、水西駅、東灘へと交通革命を実現するが、私が必ずこの約束を守る」と述べた。

特に李在明候補を意識して警護人員を最小化したキム・ムンス候補は、遊説中も李在明候補の「防弾遊説」を繰り返し非難した。

演壇に上がる前、支持者と握手を交わしながら道を歩き、演壇に上がってからも遊説用のベストの内側を見せて「防弾チョッキは着ていない」と訴えた。遊説を終えて車に向かう途中も、支持者と握手を交わしながらスキンシップを最大限に取る姿を見せた。

キム・ムンス候補は「私は防弾チョッキも、警護員も必要ない。国民の皆さんが私を守ってくれると信じている」と強調した。

一方、李在明候補は、この日も防弾ガラスに囲まれて演説を行い、厳重な警護の中、支持者との接触は一切なかった。

彼は、自身の「防弾遊説」に対する批判について、「反省しても足りない者たちが、国民を侮辱し、首を刺された政治家を相手にふざけていいのか」と指摘した。さらに「こうして銃で、刃で、法律で、ペンで踏みにじられながらも無事に生きて皆さんの前に立っていられるのは、偉大な国民のおかげだ」とし、「再び正常な出発を切れる道は、皆さんの投票だけが開いてくれる」と語った。

李在明候補はこの日、党内外から浮上した「選挙楽観論」に警戒する姿も見せた。

彼は「李在明が嫌なら嫌だと言って、他の人に投票すればいい。良いと思う人に入れても、私に入れなくても構わないから、必ず投票して行動してほしい」と述べた。選挙勝利のための支持を訴えるというよりは、「政治に関心を持とう」という、間接的なメッセージを伝えた形だ。

なお、キム・ムンス候補は5月22日も京畿・光明市と富川市で4日目となる首都圏遊説を続け、李在明候補は済州島を訪れて遊説を行う予定だ。

(記事提供=時事ジャーナル)

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