世界屈指のキャラクター大国である日本。お隣・韓国でも、「ハローキティ」「リラックマ」「ドラえもん」「マリオ」など日本発のキャラクターが人気で、マニア層も存在するほどだ。
ところが最近、韓国が生んだオリジナル・キャラクターも大善戦している。
日本や欧米の人気キャラたちを凌ぐ人気を誇っているのは、「カカオ・フレンズ」。韓国の国民的コミュニケーションアプリ“カカオトーク”のオリジナル・キャラクターである。
韓国コンテンツ振興院が発表した資料によると、カカオ・フレンズが韓国のキャラクター好感度調査で1位になったのは2016年。
それまで韓国では2011年から15年までは「ポロロ」という子供向けのキャラクターが1位を守り続けてきたが、ついにカカオ・フレンズが王座を奪った格好だ。以来、カカオ・フレンズは韓国の人気者になった。
『ワンピース』などを模倣した “アニメ業界の黒歴史”に苛まされ、「死んで蘇ってもウリナラ(我が国)では『ポケモンGO』を作れない」と嘆いていたことを考えると、待望のオリジナル新キャラクター登場でもある。
【関連】韓国アニメ業界が直視したがらない“黒歴史”と呼ばれる3つのアニメ作品
カカオトークのスタンプとして登場したカカオ・フレンズは、ユニークな魅力を感じさせる8匹のキャラクターがいる。
可愛いらしいのにどこか憎めないコミカル・テイストが韓国人の感情表現をさりげなく描かれていると評判になり、徐々に韓国の日常生活の中に浸透しはじめた格好だ。
ただ、カカオ・フレンズが発表からわずか数年で国民的キャラと呼ばれるまでの人気を得られたのは、やはりスマホの存在が大きい。
「韓国最強の暇つぶしコンテンツ」としてユーチューブよりも人気があるとされるウェブトゥーン(Webtoon)など、スマホ用のコンテンツが躍進していることは、“IT強国”韓国ならではの現象かもしれない。
現在、ソウルをはじめ大邱(テグ)、釜山(プサン)などではカカオ・フレンズのグッズを販売する「カカオ・フレンズショップ」が連日大盛況を続けている。
筆者も以前ソウルに行った際に、弘大(ホンデ)地区にあるフラッグシップ・ストアを覗いてみたのだが驚いた。
そこには韓国人だけでなく、中国人や日本の観光客たちもやってきて、中国人観光客でごった返していて、売り場のあちらこちらで女の子たちの「かわいいー!」という歓声が上がっていた。
カカオトークがAIスピーカー“カカオ・ミニ”を発表したときも、発売からわずか1時間足らずで完売し、韓国では大きな話題となった。
ほとんどの購入者はAIスピーカーの性能ではなく、「キャラクターが付いていて可愛いから」という理由で購入したらしいとさえ、言われたほどだ。
また、“キャラクター入りのデビッドカード”を前面に押し出したインターネット専用銀行“カカオバンク”は、サービス開始から2カ月で新規入会者390万人を突破した。
まさに “カカオ・フレンズは韓国で万人に愛される絶対王者に君臨しているのだ。
だが、今の状況が今後も続くかとなると疑問も残る。(つづく)
文=慎 武宏
*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。
前へ
次へ