韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領側が弾劾訴追議決書の約80%を占める刑法上の内乱罪が撤回されたため、弾劾訴追は却下されるべきだと主張した。
却下とは、訴えが不適法である場合に本案を判断せず、訴訟を終了する決定を指す。
尹大統領の代理人団は1月7日に声明を発表し、「弾劾訴追事由から内乱罪を撤回するということは、単に2つの訴追理由のうち1つが撤回されるということではなく、約80%に相当する弾劾訴追所の内容が撤回されることを意味する」とし、「当然却下されるべきだ」と述べた。
弾劾訴追議決書は40ページで構成されており、尹大統領の各種談話や布告令第1号などを除いた分量は26ページで、このうち尹大統領の非常戒厳に関連する内容が21ページを占めるため、量的に計算すると80%に達すると主張した。
代理人団は、「訴追事由において内乱罪が圧倒的な比重を占める点を考えると、憲法裁判所が厳格な証明および証拠法則が適用される刑事内乱罪ではなく、非常戒厳の憲法違反だけを審査するというのは、重大性の判断を誤る可能性があることを指摘せざるを得ない」と指摘した。
一方、国会側は、戒厳令の宣言前後に起きた一連の行為、すなわち事実関係自体は弾劾審判で扱うものの、「刑法違反」は除外し、「憲法違反」に限定して主張するとの立場を示した。
これに対して尹大統領側は、「国民を巧妙に欺く言語道断な行為だ」と反論。「刑法上の内乱罪に該当するかどうかも判断されていないのに、どうやって非常戒厳を『内乱』と断定し、その内乱行為が憲法に違反するかを判断するというのか」と述べた。
また、「大統領が内乱罪を犯したため権限行使を停止し弾劾訴追するということと、大統領の非常戒厳宣言行為が適切でないため弾劾訴追するということは、まったく異なる評価である」と付け加えた。
さらに、過去の先例に基づき、国会が弾劾審判を請求した後に別途の議決手続きなしに訴追事由を「同一性が認められない程度」に変更することは認められないと主張した。
先立って、尹大統領の弾劾審判で検察に相当する国会弾劾訴追団(団長:チョン・チョンレ共に民主党議員)は、1月3日に行われた憲法裁判所の第2回弁論準備期日において、「刑法違反の事実関係と憲法違反の事実関係は事実上同一だ。憲法裁判が刑法違反の有無に偏ることを防ぐため、憲法違反の事実関係に基づいて争い、主張するつもりだ」と述べた。
チョン・ヒョンシク憲法裁判官が「戒厳関連の行為が内乱罪など刑法上の犯罪に該当するとの主張は撤回するという趣旨か」と尋ねると、弾劾訴追団側は「事実上撤回するという主張だ」と答えた。
憲法裁判所は1月6日、この問題に関して完全に裁判部が判断すべき事項との立場を明らかにした。
(記事提供=時事ジャーナル)
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