韓国大統領室の高官が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が弾劾審判の最終陳述で「憲法改正を推進する」との意向を示したことについて、その真意を明かした。
この高官は「憲法改正が完了すれば途中退任する意思を明らかにしたものだ」と述べ、「尹大統領は弾劾が棄却され、職務に復帰すると確信している」と話した。
尹大統領が就任後、公の場で憲法改正について言及したのは今回が初めてだ。
最近、尹大統領と面会したという大統領室の高官は2月26日、『時事ジャーナル』との通話で「憲法裁判所(の裁判官たち)が『8人(認容):0人(棄却)』で(弾劾訴追を)認容するという話を多くのメディアが報じているが、そうはならないだろう」と述べた。
この高官は「大統領を弾劾するには、国会議員と憲法裁判官の3分の2の同意が必要だ。それほど大統領の弾劾は厳格な条件を満たさなければならない」とし、「しかし最近の世論調査を見ると、大統領弾劾の賛成と反対(の割合)は『50:45』程度だ。(弾劾に賛成する)国民の世論が3分の2に達していない以上、大統領を弾劾することはできない」と主張した。
さらに、「このような状況で大統領を弾劾すれば、国民主権の最も重要な権利である参政権を侵害することになる」とし、「そんなこと(大統領弾劾)は起こらない。尹大統領は弾劾が棄却され、職務に復帰することを確信している」と述べた。
「尹大統領が最終弁論で『憲法裁判所の判決を受け入れる』と明言しなかったのは、『不服』とする意思を示唆したのではないか」との質問に対し、「職務復帰を確信しているのに、受け入れるという表現を必ず入れる必要があるのか」と反論した。
続けて、尹大統領が職務に復帰すれば、憲法改正に全力を注ぐと述べた。
この高官は「1987年、盧泰愚(ノ・テウ)候補の6・29宣言(大統領直接選挙制改憲受け入れ宣言)によって憲法改正作業が始まり、わずか4カ月後の10月29日に新憲法が公布された。第6共和国憲法(現行憲法)はそうして誕生した」とし、「第7共和国体制も同じように発足できる。与野党が本気になれば、数カ月で(改憲案が)完成するだろう」と自信を示した。
また、「尹大統領の弾劾を推進した野党が改憲に協力するだろうか」という質問には、「共に民主党内にも改憲を主張する人が少なくない。李在明(イ・ジェミョン)代表も、国民が求める改憲論を最後まで無視するのは難しいはずだ」とし、「(尹大統領が)政治圏に対し、改憲問題を真剣に検討するよう信号を発した形だ。重要なのは、大統領が『任期にこだわらない』と表明した点だ。改憲が完了すれば途中退任する意思を示したということ」と強調した。
さらに、「現実的に、現職大統領が自らの任期を犠牲にしなければ改憲は難しいのではないか。尹大統領は自らの任期を犠牲にしてでも、改憲を実現する考えだ」とし、「任期短縮は大きな犠牲だ。この好条件のなかで、政治圏が改憲を成し遂げるべきではないか」と述べた。
「具体的な改憲の方向性」について問われると、「それは政治圏の役割だ」とし、「大統領は国民と政治圏に対し、限界に達している第6共和国体制(=1987年体制)を選ぶか、それとも新たな第7共和国体制を開くべきかを問うたのだ。1987年体制は今の政治の足かせになっている。決着をつけなければならない」と語った。
前日の2月25日、尹大統領は憲法裁判所で行われた自身の弾劾審判の最終意見陳述で、弾劾が棄却され職務に復帰した場合について、「残りの任期にこだわらず、改憲と政治改革を最後の使命と考え、1987年体制の改善に全力を尽くす」と述べた。
尹大統領は、改憲の具体的な方向性については言及しなかったが、職務復帰後は外交に専念し、国内問題は首相に大幅に権限を委譲する「分権型」構想を提示した。
尹大統領は「私が職務に復帰すれば、まず1987年体制を現実に適合させ、未来世代により良い国家を引き継ぐため、改憲と政治改革の推進に残りの任期を集中させる」とし、「すでに大統領職を始めたときから、任期の後半には改憲と選挙制度改革などの政治改革を推進する計画を持っていた」と語った。
(記事提供=時事ジャーナル)
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