韓国で6月3日の大統領選に向けた最後のテレビ討論会が幕を下ろした。4人の候補者たちは討論中、「政策討論をしましょう」と互いにブレーキをかけたが、当事者であれ相手であれ、結局はネガティブな攻防戦で120分を消費した。
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政治分野の討論だっただけに、候補者たちは進歩・保守陣営の功罪や過去の騒動を大々的に取り上げ、それまでの討論よりも激しい論争を繰り広げたと指摘されている。
4人の候補者は、5月27日夜にソウル麻浦区上岩洞(マポグ・サンアムドン)のMBCスタジオで行われた第21代大統領選挙の第3回討論会を終え、それぞれ「薄氷の勝負になると思う(李在明候補)」「勝利のために団結する(金文洙候補)」「答弁を回避する李在明(李俊錫候補)」「苦々しい(権英国候補)」など、それぞれが感想を述べた。
同日は本投票まで残り1週間、期日前投票まで残り2日という時点だっただけに、前回の討論よりも重みのある所感が伝わってきた。
革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補は、討論会後に記者団と会い、同日の討論会で過去の暴言や司法リスクなど、自身に向けられたネガティブな攻防に対する立場を明かした。
李在明候補は保守系与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補と保守系野党「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)候補に向けて、「討論というのは自分の長所を示し、相手の足りない点を指摘するものだから、李俊錫候補や金文洙候補の立場では十分にそうする理由がある」と述べたうえで、「討論の過程を通じてより多くのことを学べたということが、収穫と言えば収穫だと思う」と語った。
また、金文洙候補と李俊錫候補の一本化問題については「彼らは国家共同体や国民の利益よりも私的利益、政治的利益の方が重要だと見られる。だからこそ、利益を最大化するために“内乱勢力”との一本化も行うだろう」とし、終盤に一本化する可能性に言及した。
さらには「どちらに(一本化が)進むのかはわからないが、“内乱勢力”とそれに同意する政治集団は当然、一本化によって力を強めるのではないか」との見方を示した。
李在明候補は28日から世論調査結果の公表禁止期間が始まることについて、「いわゆる“世論調査の暗闇期間”といっても、調査自体はできるので、本当に暗闇というわけではない」としながらも、「重要なのは僅差の勝負になることだと思う。“あと3票が足りない”という気持ちで最善を尽くすつもりだ」と強調した。
金文洙候補は討論後に記者から「国民統合のために最も重要なことは何か」と問われ、「自分に反対する人は“非命横死、親明横財”という言葉が出るほど問題の多い党運営、与野党間で繰り返される弾劾と特別検察、民主労総の方で“黄色い封筒法”をするようなやり方では、統合は不可能だ」と、李在明候補に対する攻撃を続けた。
また、残りの期間での大統領選勝利に向けて、「国民を幸福の道へ導くために、必ず一つになり、すべての努力を尽くすと約束する」とし、「勝利のためには全員が団結しなければならない。団結することはさまざまな事情から簡単ではないが、一つにまとまるために最善を尽くす」と語った。
これに「李俊錫候補との一本化を念頭に置いているのか」との質問が出ると、「李洛淵(イ・ナギョン)前国務総理も言った。本当に怪物のような防弾独裁が現れ、怪物国家に向かっている。この事態を止めるには党が全力で力を合わせなければならない」と述べ、「李前国務総理があえてそのような発言をするだろうか。私よりもともに民主党の内部事情、李在明候補についてより全体的に経験したその方の言葉は、軽く扱ってはならない」と再び強調した。
ただし、李俊錫候補との会合計画については、「今日は特別な計画はない」と述べた。
李俊錫候補は討論会後、「国民が目の当たりにしたように、李在明候補の外交・安保に関するリスクは司法リスクよりも深刻だ」とし、「今日も李在明候補は、自分への質問に正確に答えないことで一貫したように見える」と語った。
続けて、「歪曲された認識を持っており、何よりも大統領があのように対北朝鮮送金に関与していれば、外交そのものが揺らがざるを得ない構造だ。そうした点を十分に考慮すべきである」と指摘。「自分の司法リスクは検察のせい、捜査機関のせいにしているが、どれほど司法体系を無視しているのか」と述べ、この日の討論でも取り上げられた司法リスクの問題を改めて喚起した。
また、討論全体に関する自己評価を求める質問には、「1回目、2回目、3回目のすべてにおいて、李在明候補の討論マナーが良くなかったと指摘せざるを得ない。今日も質問に対する答えを避け、他の話をして国民を愚弄した。いつも言っているが、このような“ベッドサッカー”討論が国際社会で通用するだろうか。変な扱いを受けることになるだろう。李在明候補には資格がない」と重ねて非難した。
そして、一本化問題が依然として続いている金文洙候補との会合の有無については「まったく提案を受けたことはなく、会う計画もない」と述べ、「今日の昼にも国民が誤解しないよう先に明確に言った通り、一本化には応じない」と線を引いた。
そんななか、革新系野党「民主労働党」の権英国(クォン・ヨングク)候補は「討論を終えて非常に苦々しい気持ちである」。「大統領選の討論であれば、主にどのような政策で大韓民国を導いていくのか、政策とビジョンを語る場であるべきだが、相手を攻撃するネガティブ攻勢で一貫していた。討論会の間、ずっと非常に不快だった」と指摘した。
同候補はテレビ討論会後、自身のフェイスブックに「TV討論で言い残した言葉」と題し、「李俊錫候補の女性の重要部位に関する発言はあまりにも衝撃的だった」と明かした。さらには「耳を疑うような発言が、まさかこんな場で出るとは思わなかった」とし、「その発言が、他の候補を誹謗する目的で持ち出されたものであると知ったのは、討論会が終わってからだった」と伝えた。
続けて、「はっきり申し上げる。李俊錫候補が女性嫌悪発言なのか尋ねたその発言は、明らかに女性嫌悪発言だ。そして、相手候補を誹謗する意図で、女性嫌悪発言を地上波テレビ討論の場でフィルタリングなく引用した李俊錫候補もまた、女性嫌悪発言をしたも同然だ」と強調した。
また、「あまりにも暴力的だ。誰がこの討論を聞いているのか、一度でも考えていれば出てこない発想だ。李俊錫候補の即時辞退を求める」と表明。「このような発言を平然と行った候補を制止・警告できなかった中央選挙放送討論委員会に強い遺憾の意を表する」とし、「このような事態が二度と繰り返されてはならない」と付け加えていた。
(記事提供=時事ジャーナル)
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