6月3日の大統領選挙を5日後に控え、いよいよ本格的な期日前投票が始まった。
「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補はソウル・新村(シンチョン)、「国民の力」のキム・ムンス候補は仁川・桂陽(ケヤン)、「改革新党」のイ・ジュンソク候補は京畿道・華城(ファソン)の東灘(トンタン)をそれぞれ期日前投票の場所に選んだ。
李在明候補は「若年層の票の取り込み」、キム・ムンス候補は李在明候補の選挙区を狙った「支持率逆転」、イ・ジュンソク候補は前回の総選挙での「東灘の奇跡」の再現を意図していると読み取れる。
これまでも大統領選候補らは、期日前投票所の象徴性を一種のメッセージ戦略として活用してきた。
前回の大統領選で尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は、「保守の牙城」とされる釜山(プサン)・南区庁で期日前投票を行い、「政権を交代し、新たな希望を見出すためには期日前投票が不可欠だ」と呼びかけたことがある。
当時、李在明候補は「ろうそく集会」の熱気が残っていたソウル・光化門を期日前投票の場所に選び、「ろうそくを手に光化門や市庁前に集まった国民のことを思った」と語っていた。
あれから3年後、再び大統領選に挑戦する李在明候補は、光化門から新村へと足を運んだ。
延世大学、西江大学、梨花女子大学など大学が密集する新村は、「青年」の象徴性が高い地域だ。そのため、李在明候補は新村での期日前投票後も遊説を通じて積極的に若年層の投票参加を促す計画だという。彼は去る5月26日、亜州大学での街頭演説でも、さまざまな青年向け政策を掲げ、若年層にラブコールを送っていた。
キム・ムンス候補は、李在明候補の選挙区である仁川・桂陽を期日前投票の場所として選んだ。
「李在明に対抗する候補」というイメージを強調し、世論調査の結果公表が禁止される“暗黒期間”に逆転を狙う構えだ。キム・ムンス候補の期日前投票の日程には、仁川・桂陽の党協委員長であるウォン・ヒリョン元国土交通部長官も同行した。ウォン元長官も前回の総選挙で「明龍(李在明―ウォン・ヒリョン)マッチ」と呼ばれる構図をつくり、李在明候補と直接対決した経歴がある。
特に、これまで期日前投票の廃止を公約に掲げてきたキム・ムンス候補が、公に期日前投票を行ったことについて、政界では意見が分かれている。
キム・ムンス候補は前日、慶尚南道・昌原(チャンウォン)での遊説で「投票しないよりは、期日前投票をしたほうがいい」とし、「私も期日前投票をする。われわれがしっかり監視しているから心配はいらない」と期日前投票を呼びかけていた。これについて党内からは、キム・ムンス候補が支持基盤の拡大を妨げる「不正選挙論」と一定の距離を置こうとしている意図ではないかとの分析も出ている。
イ・ジュンソク候補は、期日前投票のため自身の選挙区である東灘に向かった。
前回の総選挙で成し遂げた「東灘の奇跡」を再現しようという意志の表れと受け止められている。イ・ジュンソク候補は以前、「共に民主党」の牙城とされる東灘で、当時の「共に民主党」候補であるコン・ヨンウンを劇的に破り、初の国会議員バッジを手にした。
当時の記憶を呼び起こし、今回の大統領選でも世論調査で大きく引き離されている李在明、キム・ムンス両候補に逆転勝利を収めたいという覚悟を示している。
また、「民主労働党」のクォン・ヨングク候補はこの日午前、全羅南道・麗水(ヨス)のチュアム村会館で期日前投票を終えた。この場で「公共主導の再生可能エネルギー産業を中心に温室効果ガスを削減し、気候危機を克服すべき時代だ」と訴えた。
大統領選出馬が叶わなかった保守系の有力政治家らもこの日、期日前投票を終えた。
キム・ムンス候補を支持しているハン・ドクス前国務総理は、ソウル・鍾路区の社稷洞住民センターに設置された投票所を訪れた。また、「国民の力」の大統領選予備選への出馬が有力視されていたが、最終的に断念したオ・セフンソウル市長も同日午前、ソウル・中区の中林洞住民センターの期日前投票所で投票を済ませた。
なお、期日前投票は5月29日から30日までの2日間にわたって行われる。投票時間は午前6時から午後6時までで、投票に参加するには身分証を必ず持参し、期日前投票所を訪れる必要がある。
(記事提供=時事ジャーナル)
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