韓国で、革新系最大野党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)候補の長男による「性的嫌悪表現」疑惑をめぐり攻防が激しさを増している。
李在明候補の長男が性的羞恥心を誘発するインターネット投稿を行っていたことに加え、昨年、違法賭博の容疑で罰金刑を言い渡された事実が遅れて明かされたからだ。
6月3日の大統領選挙を前に期日前投票が始まり、本投票も5日後に迫る中、各政党はこの事態が選挙戦に及ぼす影響を注視している。
この嫌悪表現問題は、李在明候補の長男イ氏が関連の罰金刑を言い渡された事実が確認されたことで拡散された。これに先立ち、保守系野党「改革新党」李俊錫(イ・ジュンソク)候補が、イ氏がSNSでが投稿したと推定される女性の身体に対する露骨・暴力的な表現を5月27日のテレビ討論会でそのまま取り上げ、議論が勃発した。
29日、政界によると、イ氏の長男は昨年、常習賭博および情報通信網利用促進・情報保護などに関する法律違反(わいせつ文言掲示)などの容疑で略式起訴された。これに対し水原(スウォン)地裁はイ氏に罰金500万ウォンの略式命令を下し、イ氏が異議を申し立てなかったため、刑が確定した。
イ氏は2021年10月から約2カ月間、インターネット掲示板でとあるガールズグループのメンバーの写真を含め、多数の女性に対して性的羞恥心を誘発する内容を書き込んでいたと伝えられた。
この問題が期日前投票期間(5月29~30日)と重なって表面化した中、各候補は支持離れを防ぎ、反転効果を狙って総力戦に突入する様相を呈している。
李俊錫候補は同日午前に国会で記者会見を開き、テレビ討論会で自身が言及した発言が「創作」と主張した「共に民主党」側の反論について、「私が創作したのではなく、李在明候補の長男が実際にインターネットに投稿した文章の純化されたバージョンだ」と指摘した。
続けて、「すでに法曹界の資料やメディア報道で事実関係は確認された。度を越えた下ネタをイ氏がした内容が確認された。イ氏は昨年、情報通信網法の違反などで罰金500万ウォンを言い渡された」と説明した。それとともに、「イ氏は低俗な嫌悪表現以外にも、約2年間で700回以上、計2億3000万ウォンにのぼる違法賭博資金を入金した記録が出てきた」と主張した。
また、「李在明候補はこれを“身辺雑記”として隠そうとしたが、大統領候補者の家族に対する検証はプライバシーの問題ではなく、公的責任の延長線上にある」と発言。ただ、自身のテレビ討論会での発言が「二次嫌悪表現」にあたるとの指摘については、「あまりにも激しい下ネタに該当する表現なので、精製して純化しても限界があった。それさえも不快に感じた方がいれば、心からお詫び申し上げる」と述べた。
一方、「共に民主党」は李在明候補の長男に関する議論が「過去のこと」であり、李在明候補も当時謝罪したとの立場を示した。
「共に民主党」選挙対策委員会のチョ・スンレ報道官は同日、汝矣島(ヨイド)の党本部でのブリーフィングで「李俊錫候補の主張は過去のことだ」とし、「2022年の大統領選で浮上したことで、当時、李在明候補は大統領候補者として、また子を持つ父親として国民に謝罪した」と述べた。
続けて、「(李俊錫候補が)自分の過ちを回避しようとネガティブにオールインすることが嘆かわしい」とし、「大統領選を5日後に控えた時点で、過去の問題をあたかも新しい問題かのように選挙に利用してはならない。相手候補の落選を目的に、虚偽事実を拡散する行為は容認できない」と非難した。
また、チョ報道官は「(テレビ討論での発言は)一部事実と虚偽が巧妙に混ざった明白な虚偽事実だ」とし、李俊錫候補に告発措置を執ったことも明らかにした。
そして、李俊錫候補が追加で言及したコメントに対しても、「そのコメント自体、候補の息子が書いたのかは明確ではない」とし、「(李在明候補の)息子は(自分が書いた)コメントなのかについて一貫して否定してきた」と強調した。
保守系最大与党「国民の力」も李在明候補を狙い、「この父にしてこの子あり」として加勢した。金文洙(キム・ムンス)候補は前日、自身のフェイスブックに「息子まで罰金500万ウォン。“李在明=犯罪一家の首領”認定」と投稿した。
この日、李在明候補の選挙区である仁川・桂陽(インチョン・ケヤン)区で期日前投票を終えた金文洙候補は、記者団に対し「(李在明候補の長男をめぐる問題について)特に言うことはない。李在明候補には言いたいことが多すぎて、息子の話にまで特別な関心を持つには時間がない」と伝えた。
「国民の力」のナ・ギョンウォン議員は、『KBSラジオ』で「国の品格に関わる問題」と発言。「李俊錫候補の発言も問題だが、そのような発言をすることになった李在明候補の息子の問題も本当に大きい」とし、「李在明候補の息子の発言を見ると、李在明候補の過去の“義姉への暴言騒動”が思い出される」と指摘した。
続けて、「父も息子もこうであれば、我々がこのような人間性を持つ候補に国を任せていいのか、これは大韓民国という国の品格の問題ではないか」と断言した。
また、「国民の力」のパク・チュングォン議員も自身のSNSでイ候補を批判。「大人たちの昔話は真理。父子相伝だ」とし、「資格未達家族のトップが国のトップになるというのは妥当だろうか。家和万事成(家庭内円満)までは求めないが、まずは息子の管理は急を要するように見える」と皮肉っていた。
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