漫画雑誌『ヤングガンガン』で2011年から2014年まで連載された『神と一緒に』。
実はこの漫画の原作は、韓国のジュ・ホミン作家が手がけた、高いアクセス数を記録したウェブトゥーン(ウェブコミック)である。
『ヤングガンガン』で連載されたものは、原作のストーリーラインはそのままに、作画を日本オリジナルに変えたリメイク作品だ。
なぜ、『神と一緒に』は単純なリメイクではなく、作画を日本で作り直したのか。原作者ジュ・ホミン(Ju Homin)氏は以前、テレビ番組でこう語っていた。
「僕の作品は絵が下手なことで有名じゃないですか。なので、僕の絵のままでは日本の漫画雑誌に載せられないと判断されたのでしょう」
たしかに、子供のころから漫画を読んできた日本人から見れば、韓国ウェブトゥーンの中には絵が下手すぎて見るに耐えない作品もあるだろう。
実は、韓国で大ヒットを飛ばしてドラマ化に至った『ミセン-未生-』(日本リメイク版の題名は『HOPE~期待ゼロの新入社員~』)や映画『インサイダーズ』の原作者ユン・テホ氏も、“よく言えば個性的、悪く言えば下手クソ”な絵柄で有名だ。
ただ、彼らのように絵が下手にも関わらず、作品がヒットして売れっ子作家になるケースは多々ある。
説得力のあるストーリーで絵の下手さをカバーしている場合がそうだ。
今までは日本のドラマをリメイクすることも多かった韓国だが、ウェブトゥーンがネタの宝庫になるにつれ、実写映像化に重きが移っているわけだ。
先日韓国で放送が終了したドラマ『告白夫婦』(KBS2)や『付岩洞復讐者たち』(tvN)も「原作を超えた」との評価を受けているし、前出の『神と一緒に』の場合は12月公開予定の実写映画が早くも約12カ国に上映権が売られるなど、「今年最高の期待作」などといわれている。
2013年に690万人の観客を動員した映画『シークレット・ミッション』を皮切りにドラマ『未生(ミセン)』(2014年)、『チーズ・イン・ザ・トラップ』(2016年)など、原作の絶大な人気を背負って映像化にも成功した作品が続々と登場するなか、最近はテレビ・映画業界が身を乗り出して良いウェブトゥーン作品を探すような印象すら漂う。
映像化において最も大事になってくるのは、ストーリーではないだろうか。
そういう点で韓国のウェブトゥーンは映像化しやすいのだろう。ただ、当然のように映像化に対する不満の声が上がっているのも事実だ。
例えばドラマ『チーズ・イン・ザ・トラップ』の場合、キャストミスや原作とはかけ離れた展開などをめぐって原作とドラマファンの間で激しい論争が繰り広げられ、原作者をも「撮影中、ドラマのスタッフからは連絡も一切なく、どんな内容かもわからなかった」と、不快感を示したほどだった。
そういった試行錯誤は、ウェブトゥーンの実写映像化が進むなか、避けては通れない課題だろう。
漫画作品の実写映像化が急増した日本を追いかけるように、ウェブトゥーンの実写映像化に乗り出している韓国。
そうして作られた韓国独自のコンテンツはどれほどの影響力を発揮するか、今後の動向に注目したところだ。
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