「常習的な性的暴行」で波紋。韓国お家芸で膨らむ連盟の“隠蔽疑惑”

2019年01月17日 K-POP
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韓国スポーツ界でパワハラ問題が波紋を広げている。

今月8日、ショートトラック韓国代表のシム・ソクヒが、チョ・ジェボム前コーチから性的暴行を受けてきたと告発したのが事の発端だ。

シム・ソクヒはショートトラックが“お家芸”とされる韓国の看板選手で、女子3000mリレーでは2014年のソチ五輪と昨年の平昌五輪で金メダルを獲得している。

そんなシム・ソクヒが小学1年生から指導を受けていたコーチから4年間に渡って「常習的に性的暴行を受けていた」と告白したのだ。

シム・ソクヒは平昌五輪直前の昨年1月にもチョ・ジェボム前コーチから激しい叱責や暴行を受けていたことが明らかになっていたが、女子高生の頃から性的暴行を受けていたという告発は韓国スケート界に衝撃を与えた。

(写真提供=SPORTS KOREA)シム・ソクヒ(右)

韓国メディアでも大々的に取り上げられており、現在も続報が絶えない。

最近は元女子柔道選手のシン・ユヨンが高校1年生のときから5年間、コーチから20回あまり性的暴行を受けた事実を告白するなど、スポーツ界全体に騒動が広がっている状況だ。

連盟の“隠蔽疑惑”

そんななか韓国で注目を集めているのが、シム・ソクヒが性的暴行を受けた事実を韓国スケート連盟が“隠蔽”していたという疑惑だ。

振り返ればシム・ソクヒの告発の翌日9日、スケート連盟関係者は、「連盟側も動揺している。(性的暴行の)事実があったなんて予想できなかった」と韓国メディアに発言していた。

性的暴行の事実を知らなかった、つまり隠蔽もなかったと主張したわけだ。

一方、文化体育観光部のノ・テガン第2次官は同日の会見で、韓国記者の「スケート連盟の隠蔽はなかったか?」という質問を受け、「当然、そのような調査を実施する予定だ」と答えている。

現時点ではスケート連盟の隠蔽の事実は確認できていないという話だろう。

15日には、大韓体育会のイ・ギフン会長も同じく「スケート連盟に対する広範囲で徹底した深層調査を実施」すると宣言していた。

「組織的な圧力を加えてきた」

しかし現在、ある告発によって、スケート連盟の隠蔽の疑惑が膨らんでいる。

韓国スケート連盟前副会長である韓国体育大学のチョン・ミョンギュ教授が、スケート界の性暴力を隠蔽するために組織的な圧力をかけていたと暴露されたのだ。

暴露したのは、韓国代表選手など20人のスケート関係者で構成された「若きスケート人連帯」の諮問弁護士であるパク・ジフン氏。

同連帯は「シム・ソクヒのほかにも被害者がいる」と暴露した団体でもあるが、パク・ジフン弁護士は10日、韓国メディア『国民日報』との電話インタビューで、以下のように明かした。

「(「若きスケート人連帯」が)数カ月前に性的暴行事件を認知したときから、チョン・ミョンギュ教授側が選手たちに持続的に圧迫を加えてきた。

(真相解明と暴露のための)弁護士選任などの動きを見せたときから圧迫が始まり、今回の連帯の暴露直前まで続いた」

性的暴行コーチは「最側近」

チョン・ミョンギュ教授は、2007年から2018年4月までスケート連盟副会長を務めていた人物。

昨年1月にチョ・ジェボム前コーチの叱責や暴行の事実が明らかになった際も、ほかの選手に口止めしていたと報じられていた。

(写真提供=SPORTS KOREA)チョ・ジェボム前コーチ

しかも、チョ・ジェボム前コーチはチョン・ミョンギュ教授の最側近として知られている。

そうした経歴も関心を集めたなか、11日には与党・共に民主党のソン・ヘウォン議員が「証拠の肉声テープがある」と発言。

チョン・ミョンギュ教授の「シム・ソクヒ以外の選手が名乗り出ないように脅かし、拘束されたチョ・ジェボム前コーチを救命するためにお金を集めろ」という肉声が収められていると明かし、疑惑は膨むばかりだ。

「チョン・ミョンギュ、“シム・ソクヒ性的暴行”口止めしたのか?」(『ソウル経済』)、「チョン・ミョンギュ前副会長が性的暴行に圧力、選手たちに持続的な圧迫…スケート界の素顔?」(『MBN』)など、韓国メディアでも連日のように報じられている。

はたして、本当に韓国スケート連盟の“隠蔽”はなかったのか。真実が明らかになる日はそう遠くなさそうだ。

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