出演したCMがきっかけで、大きなバッシングを受けた韓国の人気女優がいる。2015年、人気女優コ・ソヨンが日本のある企業のCMに出演し、予想外の大バッシングを受けたのだ。
コ・ソヨンといえば、1990年代に韓国の男女が憧れる女優として絶大な人気を誇った人物。2010年には、俳優チャン・ドンゴンと結婚。2人の結婚は韓国で「世紀の結婚」と騒がれ、一男一女のママになった現在も30~40代の女性たちが憧れる理想の女性として羨望のまなざしが寄せられてきた。
そんな彼女に当時、「金に目がくらんだ女」「悪徳業者の片棒を担ぐなんて失望」「見栄も外聞もない守銭奴に落ちぶれたのか」との非難が注がれてたのだ。
きっかけは、コ・ソヨンが新たにモデルを務めたJトラストグループの企業CM。日本ではJトラストという企業名で知られ、金融業、不動産業、アミューズメント事業なども行う東証2部上場企業だ。最近では、中国で行われたサッカー東アジアカップのオフィシャルサポーターも務めた企業だが、いったい何が起こったのか。
韓国全国紙記者が解説する。
「2011年に韓国進出したJトラストグループは、JT親愛貯蓄銀行、JTキャピタル、JT貯蔵銀行などを展開しており、現在では総資産が約2兆2000億ウォン(約2200億円)までに成長しました。銀行などの第一金融圏とは異なる第二金融圏(信用組合、郵便貯金、保険・証券会社、投信会社など)に属しますが、3~4年後には韓国で上場することも発表するなど、意欲的です」
「ただ、韓国では貸付業務もしており、販売商品の大部分が最低12%から最高29.2%の高金利融資商品が多く、貸金業者というイメージを持っている韓国人も少なくない。そのため、『人気女優が日本系列の貸金業者のCMに出演するなど言語道断』と思い込む人々が続出し、猛烈なバッシングを受けることになってしまったのです」
仰天するのは、突如として非難の的になってしまったコ・ソヨン側の対応だ。
コ・ソヨンの所属事務所は韓国メディアに「高金利商品や貸付業に関連した部分を除外し、単に企業広告のイメージモデルとして契約した」と説明。「多方面で成長する金融グループのブランドイメージを提供したいという広告の趣旨とコンテを見て出演を決めたが、私が浅はかだった」とする本人のコメントとともに、広告出演の契約解除を申し出たことを発表した。
Jトラスト側も「我々のグループはアジア全域に26の系列会社があるが、その中でどこも消費者金融業務はしていない。事実と異なる部分が論争を起こし当惑しているが、コ・ソヨンさんの意見を尊重し、契約解除することになった」と事態の収拾に努めた。
それでもコ・ソヨンへの否定的なイメージはなかなか払拭されない。
契約解除の一報後、インターネット上では「依頼があった時点で調べるだろ。まったく弁明になっていない」「高額出演料に目がくらんだ15秒(CM)芸能人」などと厳しいコメントもみられた。
さらにコ・ソヨンと同世代で同じく人気女優のイ・ヨンエが、似たような事業内容の企業からのCM出演オファーを断っていたことが報じられ、ますますコ・ソヨンへの風当たりが強くなってしまった。
日本でも多くの有名タレントが消費者金融のCMに出演しているが、コ・ソヨンのようにバッシングを受けたり、契約解除騒動が起きることはないだろう。日韓の文化の違いが垣間見える出来事だったといえるかもしれない。
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