最近韓国で、K-POPガールズグループ「TWICE」の歌をめぐって賛否両論が巻き起こっている。
火種になったのは、9月6日付の韓国の日刊紙『ハンギョレ』に掲載されたコラムだ。タイトルは「セックスを許したから彼氏に愛想を尽かされたのでしょうか」。多数のテレビ出演や著書で人気を博す“セックスコラムニスト”クァク・ジョンウン氏によるものである。
コラムはTWICEをよく歌う13歳の甥っ子の話から始まる。10代の女の子がアイドルグループにハマるのは何の特別なことではない。ただ、甥っ子が口ずさむTWICEの歌を聞いているうちに、その歌詞がどうしても気になったそうだ。
というのも、「可愛くて元気ハツラツな魅力を醸し出すTWICEの歌詞には、男女平等の退歩と受け身な女子の姿が徐々に強化されていった」からだという。
例えば『Like OOH-AHH(優雅に)』の韓国語バージョンでは「今まで感じたことのないことを教えてくれる人を待っている」と歌っているし、『CHEER UP』では「女の子は簡単に心を許しちゃダメ、そうすれば君がもっと私のことを好きになるから」と歌っている。
さらに、大ヒット曲の『TT』は「何の罪もないぬいぐるみばかりとんとん」しながら、恋に戸惑い、何の行動も起こせない女の子を表現。
そういった歌詞に対し、「みるみる大人っぽくなっていくTWICEの外見に比べ、彼女たちの言葉はみるみる幼くなり、おめでたいように感じる」と指摘しているのだ。
これらの歌詞はキャッチーなメロディに隠れて「かわいい」と認識され、女性の態度を規定する尺度として働く。そのため、「愛されること以外は興味のない受け身な女性の声が大きな人気を集める社会に、問題提起しなければならない」というのが、彼女の主張だ。
しかも、「シャイで受け身な女性像がこんなにも消費され、広がることは我々にとって悲劇だ」という、強い表現まで使っている。
TWICEのファンからすると、簡単に納得できる内容ではないだろう。
ただ、クァク氏はTWICEというガールズグループの存在自体を批判したわけでなく、あくまでも歌詞の内容に疑問を持ったことを強調しているのだが、ネット上では賛否両論があるようだ。
賛成派からは「まったくもって共感。TWICEの歌は幼稚で、人に聞かせるのも恥ずかしいレベル。ここまでレベルが下向するガールズグループは初めて」「“女の子が簡単に心を許しちゃダメ”みたいな歌詞は、論争が起こってもおかしくない。典型的な女性像を強要している感じがした」「たしかにメロディはいいけど歌詞は理解できない。そもそもTWICEの歌にそんな深い意味なんかないだろうけど」という意見が寄せられている。
一方、反対派からは「大衆文化に問題を提起するのは個人の自由だが、誰かの創作物や消費スタイルに対して“悲劇”と罵倒すること自体が悲劇だ」「いつも違いを尊重しようとか言ってるくせに、なぜTWICEのようなアイドルの消費者は尊重してくれないのか。主張に一貫性がないんですが」「最近発表した『SIGNAL』の歌詞は積極的だったけど? 気に入らないなら聞くなよ」という声があった。
いずれにせよ、TWICEをめぐってこのようなコラムが書かれ、論争が起きることにTWICEの影響力を実感せざるを得ない。自分たちの影響力を意識し、今後はもっと様々な女性像を歌うガールズグループに成長してほしいものだ。
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