韓国音楽市場で「国内発」のストリーミング配信が市場を独占している理由

2017年08月25日 K-POP
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興味深いデータがある。

国際レコード連盟(IFPI)が発表したグローバル音楽レポート2016年版だ。これによれば、世界全体の音楽市場で、デジタル配信の売上がCDなどのパッケージメディアを逆転している。

中でもストリーミング配信の成長は著しく、売上は前年と比べ17.7%も増加している。パッケージメディアが前年比マイナス7.6%の減少、音楽ダウンロードが前年比-20.5%と減少しているのとは対照的だ。

また、全米レコード協会(RIAA)が今年4月に発表した、アメリカのレコード(録音)販売統計によれば、2016年のアメリカでの音楽ストリーミング配信サービスの売上は前年比68%増の39億ドル(約4347億円)で、市場全体の51%を占めているという。

つまり現在、世界の音楽市場では、CDでもダウンロードでもなく、ストリーミング配信が主流になっているわけだ。

世界的潮流に乗る韓国、乗り遅れる日本

それは韓国でも同様だ。

韓国の音楽ストリーミングサービス『genie」が2014~2016年の韓国における音楽サービス利用状況を調査したところによると、2016年のストリーミング配信利用者の割合は15.6%で、2014年からの2年間で9%も上昇したという。

一方で、ダウンロードサービスの利用者は6.6%で、2014年から3.1%も減少していたらしい。

日本が世界的な潮流に乗り遅れていると言われ、今なおストリーミング配信が根付いていない中(「2016年度『音楽メディアユーザー実態調査』報告書」によれば、利用者割合はCD38.4%、ダウンロード9.7%、定額ストリーミング配信3.9%)、お隣の韓国ではストリーミング配信が着々とシェアを広げていっているのだ。

こうした状況について『genie」の運営会社KTミュージックのホン・セヒ本部長は、「ネット利用層の音楽聴取パターンと関連が深い」としながら、「音楽をモバイルで集中的に聴くスタイルが形成され、モバイル機器にストリーミング配信する商品の購買が増加している」と分析している。

国内発サービスが市場の半分以上を占める理由

特筆すべきは、そんな韓国で人気を集めているのが「Spotify」や「Apple Music」といった世界的なストリーミング配信ではなく、韓国発ののストリーミング配信サービスだということだ。

世界で最も利用者数が多いのは、昨年日本に上陸したスウェーデン発のサービス『Spotify」と言われている。日本ではアメリカ発の『Apple Music」が一番人気だ(『トレンド総研』、『ICT総研』などの調査結果)。

しかし、韓国ではこれら海外発サービスを抑え、国内発の『Melon」が圧倒的なシェアを誇っている。韓国メディア『ZD Net Korea』によれば、「国内ストリーミング市場の半分以上を占めている」らしい。。

人気を集めている理由については、K-POPの楽曲数が豊富なことや利用料の安さなどが挙げられているが、実際のところは海外発サービスと仕様に大きな違いはないという指摘もある。

それでもストリーミング配信利用者の半分以上がMelonを選んでいる理由は、その知名度にあると言われている。

Melonは韓国でもっともトレンドに敏感だと言われており、韓国で一般的に「音源チャート」と語られる場合は、Melon独自の人気ランキング「Melonチャート」を指していることがほとんどだ。

韓国メディア『共感新聞』は「(Melonチャートだけ見れば)現在K-POPの中でどんな曲が“ホット”なのか確認できる」としているほどだ。

韓国では「チャートを中心に楽曲を選ぶ人々の割合が増えている」(『KINEWS』)だけに、独自のチャートがこれほど社会全般に浸透していることは大きな強みと言えるだろう。

さらにMelonは昨年、国民的メッセンジャーアプリ“カカオトーク”を運営するカカオ社が親会社となったことで、ますますネームバリューが上がっている。

こうした「ブランド力」があるからこそMelonは支持を集めているということだが、これは、楽曲数や機能性などが比較されることの多い日本においても、ひとつのヒントになり得る事例かもしれない。

まだまだ音楽ストリーミング配信が浸透し始めたばかりの韓国で、今後はどのようなサービスが人気を集めるのか注目していきたい。

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