世界的な評価も高い韓国映画。目の肥えた韓国の映画ファンたちは、どんな海外映画を見ているのだろうか。
それを知るために、韓国映画市場における外国映画のシェアを見てみると、なんと日本映画がシェアNO.1に輝いている。韓国では、ハリウッド映画やフランス映画を差し置いて、日本映画が楽しまれているということだろうか。
韓国の映像物等級委員会(日本の映画倫理委員会に相当する機関)が2016年1月11日に発表した2015年度の国別等級分類数によると、1位は483作品(28.8%)の日本だった。続いてアメリカ422作品(25.1%)、韓国367作品(21.8%)、フランス74作品(4.4%)、イギリス56作品(3.3%)、中国36作品(2.1%)となっている。
日本が韓国映画市場でシェア1位に輝いたのは史上初。ちなみに2014年度は、アメリカ385作品、韓国353作品、日本285作品、フランス56作品、中国51作品、イギリス48作品の順だった。
韓国への日本映画の輸入本数は、1年で約1.7倍にも増加したことがわかる。
作品数は日本がトップだが…!?
ただ、この数字の裏には、見過ごしてはならない追加事項がある。
同委員会は“映画及びビデオ物の振興に関する法律”第71条にのっとって、それぞれの作品を「全体観覧可」「12歳以上観覧可」「15歳以上観覧可」「制限上映可」「青少年観覧不可」といった等級にふるい分けているが、その等級分けを見ると、日本作品483作のうち、「全体観覧可」は7%、「12歳以上観覧可」は6.6%、「15歳以上観覧可」は4.6%、「制限上映可」は0.7%で、「青少年観覧不可」が81.1%(392作品)と、最も多かったのだ。
「青少年観覧不可」とは日本の「R18指定」とほぼ同様の規定で、“映像物の倫理性及び公共性の確保と青少年の保護”を目的にしている。審査事項としては作品テーマ、性的表現、暴力描写、セリフ、恐怖度、薬物の取り扱い、模倣の危険性の7つが設定されているが、とりわけ性表現が多い成人映画は無条件で「青少年観覧不可」となる。つまり、韓国を席巻する日本映画の大半は成人映画というわけだ。
では、日本の成人映画が韓国の劇場で多数公開されているかといえば、そうではない。
同委員会が2015年12月に発表した劇場観客占有率によると、韓国映画51.1%(1億226万3662人)、ハリウッド映画43.6%(8739万7353人)、イギリス映画2.1%(426万8771人)の順で、日本映画の観客シェアは1.9%にしかならなかった。
同委員会関係者によると、「12月の時点で日本映画325作品が輸入されたが、220作品ほどが成人映画で、そのうち全国公開されたのは5作品未満。その観客数は150人にも満たず、なかには総観客数1人という日本の成人映画もあった」という。
それでも日本の成人映画が韓国でナンバーワンシェアを誇るのは、IPTV(インターネット・プロトコルテレビ)やVOD(ビデオ・オン・デマンド)市場での日本製成人映画の進出がめざましいからでもある。
「国別分類数で日本が史上最高の本数を記録しながら、そのうち82%が青少年観覧不可ということは、IPTVやVOD市場で日本の成人映画の輸入規模が爆発的に増加していることの表れだろう」(同)
韓国に次々と輸入されている日本の成人映画。もしかするとその売り上げ規模は、歴代映画のなかでもトップクラスなのかもしれない!?
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