日本アニメのコスプレが韓国でも人気。日韓関係を好転させる可能性秘めた“オドック”とは?

2021年10月14日 話題
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また、韓国では近年『ラブライブ!』や『アイドルマスター』なども人気で、『ラブライブ!The School Idol Movie』は当時の韓国国内で公開された日本アニメ映画史上最大の観客動員数を記録したほどで、当日は韓国の“ラブライバー”たちも多数かけつけたという。
ネット募金を集めて広告を出したり、映画館で暴走事件を起こしたりと何かと話題になる韓国の“ラブライバー”たちだが、『日韓交流コスブレイベント』ではファン同士で平和に楽しんでいたらしい。

そもそも韓国では、1998年に日本の大衆文化開放以来、日本のサブカルチャー人気が着実に高まってきた。

特に日本の漫画やアニメ、ゲームなどはインターネットが普及された2000年前後からますますその勢力を拡大。持続的にそれらを消費する、いわゆる「オタク」と呼ばれる者たちも現れ始めた。

ちなみに韓国では「オタク」のことを「オドック」もしくは「ドック」(オを省略)と呼ぶ。「オタク」を韓国風に発音して生まれた造語だが、今では「何か夢中になれるような趣味を持つ人」を指す名詞として、韓国でも一般的に定着している。

そんなオドックたち(日本のアニメや漫画を趣味にする人たち)の間で近年、流行しているのがコスプレだという。以前までは女性が圧倒的に多かったようだが、最近は男性が好きな漫画やゲームの女性キャラクターのコスプレを自撮りしてネットに上げることも多くなったらしい。しかも、その女装コスプレのクオリティがかなり高いのだから驚きだ。

最近はアイドルや芸能人がテレビで日本のサブカルチャーの特定作品やキャラクターのファンであることを堂々と公言したり、コスプレ姿を自身のSNSで披露することも多くなった。東方神起のチャンミンが『ONE PIECE』のキャラクターであるエースに変身したり、SHINeeのメンバーたちが『NARUTO』や『ドラゴンボール』のピッコロに変装して話題になったこともある。

声優でタレントのソ・ユリなどは、それまで無名ながらPCゲーム『League of Legends』の登場キャラクターのコスプレ姿で一躍有名になり、韓国のオドックたちの間で絶大な支持を集めているほどだ。

興味深いのは、そうした韓国のコスプレ名人たちが最近は韓国国内だけでなく、世界でも有名になっていることだ。

代表的なのが、TASHA(ターシャ)と呼ばれる人物だ。日本の人気漫画『ONE PIECE』に登場するボア・ハンコックのコスプレで一躍、有名になった彼女にはファンクラブがあり、その会員数は世界30万人にもなるらしい。韓国の女性が日本の漫画のセクシーヒロインにコスプレして、世界のアニメファンたちを熱狂させる。まさに日韓コラボレーションに世界が沸いているわけだ。

それだけに思うのだ。何かと複雑な関係にある日韓だが、もしかすると関係改善のカギを握るのは「オドック」たちなのではないかと。

日本のサブカルチャーを楽しみ愛する彼らの登場で、いつか韓国の対日観にも変化が起こるかもしれない。オタクが日韓関係を好転させる。想像するだけで、それもまた愉快痛快ではないか。

それだけに、日韓サブカル交流には期待せずにいられない。

(文=慎 武宏)

*この原稿はヤフーニュース個人に掲載した記事を加筆・修正したものです。

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