韓国の人々は“生活の質”にどのくらい満足しているか。それを問う、韓国文化体育観光部(部は日本の省に相当)の調査結果が意外だった。
2018年6月4日に発表された「国民の生活の質・世論調査」の結果だ。
総合的な「生活の質の満足度」を世代別に見てみると、10.0点満点中6.8点をつけた「19~29歳」がトップ。続いて「30代」が6.6点となっており、以下「40代」6.4点、「50代」6.3点、「60代以上」5.9点となっている。
全体の平均は6.4点。年齢の上昇とともに満足度が下がるという結果になったが、この調査では「5年後の生活の展望」についても調べられており、回答者の48.6%が「今後良くなる」という肯定的な回答をしていた。否定的な回答(25.4%)に比べてとても楽観的だった。
ただ一方で、韓国の若者たちに関する数字で気になる点もある。というのも共に暮らす人数が「生活の質の満足度」に影響していることがわかったからだ。
例えば、満足度が最も高いのは「4人世帯」の6.6点。次いで「5人以上」(6.3点)、「2人世帯」(6.2点)となっている。
「1人世帯」、つまり一人暮らしの数字は6.0点で最も低い。つまり共に暮らす人がいる生活のほうが、満足度が高いという結果だ。
しかし韓国では現在、「1人世帯」が急激に増えている。
韓国統計庁の「人口住宅総調査」によれば、1990年から2005年までは「4人世帯」が、2010年は「2人世帯」が最も多い割合を占めていたが、2016年の調査結果では27.2%を占めた「1人世帯」(520万3000世帯)が最多となった。
“ナホル族”、“cocoon族”とも呼ばれる層も増えており、彼らの行動を分析してマーケティングにつなげる企業も少なくない状況だ。
「1人世帯」が増加している原因は、若者の“結婚離れ”にあるとの指摘が多い。
韓国の未婚率は1960年の2.1%から、2010年には39.9%(いずれも韓国統計庁)にまで上昇。統計開発院の「韓国の社会動向2015」を見ても、未婚率は30~34歳38.5%、35~39歳19.1%となっており、1995年から2倍以上も上がっている。
いずれにしても「生活の質」に関する調査が韓国で行われたのは、2018年が初めてのこと。今後どんな変化が出てくるか注目してみたい。
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