大韓航空副社長が引き起こした“ナッツ・リータン事件”。日本でも話題になったが、それに付随して明らかになった韓国の財閥一族たちの傍若無人ぶりには驚かされるばかりだ。
特に目を引いたのは、財閥一族の多くが韓国籍ではなく、アメリカ籍を持っていることだろう。
韓国の国営テレビ局KBSの時事番組が2014年10月に明らかにしたところによると、韓国の10大財閥の一族921人中、95人がアメリカ国籍を取得。“ナッツ姫”ことチョ・ヒョナの妹で「必ず復讐する」とのメールで話題になったチョ・ヒョンミン(大韓航空専務)もアメリカ国籍だし、ナッツ姫もアメリカで出産して息子にアメリカ国籍を持たせているらしい。
建前上はキャリアアップのための海外留学中に取得したなどとしているが、兵役逃れや有事の際に“韓国脱出”を計るための予防策であることは明らかだろう。
ただ、注目したいのは一般的な韓国人たちのなかでも、移民志向が急激に高まっていることだ。
世論調査会社の韓国ギャラップ社が2013年に実施した統計によると、韓国人の5人に1人が「移民を真剣に考えている」と答えているし、2014年6月に韓国の就職サイトが725人のサラリーマンを対象にした調査でも97.4%が「ほかの国に移民したい」と答えている。
その理由としては、「改善されることのない韓国社会に対する不満」(30.5%)が多かった。つまり、自国への不安と不満が移民志向という名の“国外脱出願望”を高めているわけだ。
2015年1月には、韓国電力の原子力本部職員がアメリカへの移民を試みる過程で機密情報を漏洩していたことが発覚した。その職員は、自らの能力がアメリカの国益になるということを証明することで永住権を得られる「EB2-NIW制度」を利用しようとし、大問題を起こしている。
なんと彼は、その履歴書に韓国の原子力発電所の構造スペックなど10項目の機密情報を記述したのだ。「機密情報とは思わなかった」としているが、なんとしても永住権を取得して移民しようという魂胆があったのは間違いないとして検察に摘発され、アメリカの永住権も取得できなくなってしまった。
まさに“泣きっ面に蜂”といったところだが、韓国ネット民たちは「国家機密を漏洩してまで移民したいのか」「そこまでして韓国籍を放棄したかったのか」と厳しい。
ちなみに韓国法務局の出入国外国人政策本部の発表によると、2014年の1年間で韓国籍を放棄・喪失した者は1万8279人にも上るという。2004年からの10年間では34万6275人にもなり、そのほとんどがアメリカ、オーストラリア、カナダなどへの移民者だという。
「韓国脱出」を計っているのは、どうやら財閥一族だけではないようだ。
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