近年、日本では法を順守しなければならない警察官の情けない不祥事が相次いでいるが、韓国も事情はそう変わらないようだ。
韓国・江原(カンウォン)警察幹部2人が2015年4月末、会食の席で部下の女性警察官にセクハラ発言をしたとして訴えられ、両名は調査を受けるために自宅待機を命じられた。当時の警察幹部2人の発言は非常に強気だった。
幹部A氏は「相手がどう受け取ったのかはわからないが、問題になるほどの発言をした記憶がない」と弁明。もう一方のB氏も「部署会食の席で小さな行き違いがあったが、当事者と円満に誤解を解いたし、当時の状況が議論になるほどの事案ではない」と、謝罪するどころか、真っ向から闘う姿勢さえ見せている。
彼らがこうした強気な姿勢を示す背景には、韓国警察に根強い女性蔑視の風潮があると考えられる。
実際、韓国警察は約9割が男性職員の男性社会であり、少数である女性職員の立場は低く、セクハラ事件が起きてもまともに処理されていないことが多い。
2013年に95人の女性警察官を対象に行われたセクハラ実態調査の結果にも、それは如実に表れている。
なんとセクハラに遭った場合、約85%の女性警察官が「我慢する」と答えており、「厳格に対応する」と答えたのはわずか2%にすぎなかったのだ。女性職員の大半は「無理に対抗して、職を失うくらいなら……」と話している。
つまり、警察組織全体が女性警察官を蔑視する風潮があるため、韓国女性警察官の多くはセクハラやパワハラに対して“泣き寝入り”するしかないのが現状なのだ。
女性警察官たちが泣き寝入りしているからか、セクハラで懲戒される警察官は極端に少ない。セクハラによって懲戒を受けた警察官の人数を日韓で比較してみよう。
セクハラによって懲戒を受けた警察官は、日本が2013年に42人であるのに対して、韓国は2009~2013年までの5年間でわずか76人(単純計算で1年に約15人)だけだった。
ただ、女性警察官たちへのアンケート調査で8割以上が「我慢する」と答えているだけに、闇に葬り去られたセクハラ事件がどれほどあったかと考えてしまうのも仕方のないことだろう。
時たま発覚する韓国警察官のセクハラ事件は、氷山の一角である可能性が高い。女性警察官たちを泣き寝入りから解放するためにも、セクハラを行った男性警察官には厳格な処分が下されるべきだろう。
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