朝鮮半島の南北には30分の差。それなのに、なぜ日本と韓国には“時差”がないのか

2016年12月27日 ライフ
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日本と韓国には“時差”がない。

隣国で距離が近いのは確かだが、そうはいっても本来は時差があるべき距離だ。

そもそも時差は、経度に15度の差が出るごとに1時間ずつ増えていく。日本の標準となる時間は、東経135度の地点の時間だ。

韓国は単純に地理上で見ると、東経120度に近い。正確には、東経127.5度線が基準になるため、日本とは約30分の時差が生じる計算になる。

時差あり→なし→あり→なしの歴史

事実、大韓帝国(1897~1910年)時代は、経度127.5度の時間を標準時として使っていたという。

しかし、1910年の日韓併合によって「日本の時間」に合わせることに。1945年に日本の植民地統治が終ると標準時を127.5度に戻したが、朴正煕政権時代の1961年に再び135度の時間を適用することとなった。

朴正煕政権が135度を採用したのは、駐日米軍と駐韓米軍の効率化を図るためという名分だったが、日本基準に合わせるということで不満の声も少なくなかったという。

ちなみに2015年、韓国と同じく日本と時差のなかった北朝鮮は、127.5度を基準にした時間に変更。

同年8月23日に板門店で開かれた「南北高位当局者接触」は、15時30分(韓国時間)に会談が始まっている。韓国時間で15時半に開かれた会談は、“平壌時間”では15時ちょうどに開かれたことになった。

韓国では近年も、標準時を127.5度に変更しようという主張が出ており、2013年には国会で関連法案が発議されたことも。

それが反対された理由は、大きく3つ。

①他の国との時差換算が複雑になり経済的な費用が発生すること

②2013年当時は北朝鮮も135度を使っていたため、朝鮮半島で2つの時間が存在してしまうということ

③過去127.5度に変更しようとした際に、国連軍司令部が軍事作戦上の理由で積極的に反対したことなどを挙げられる。

韓国政府の立場は、現在も変わっていない。

特に、1時間の修正以上に30分の修正は混乱が生じやすいという。そのため日本の135度ではなく、中国の120度に合わせてはという意見も出ている。

しかし、120度に合わせた場合、時間を1時間遅らせることになってしまう。135度の12時は、120度では13時だ。

時間を遅らせると太陽が出ている時間を短くすることになり、余計なエネルギーの浪費が起きてしまう。時間は遅らせるよりも、早めたほうが日中の時間が増えて有利なのだ。

ドイツ、フランス、スイス、スペインが同じ東経15度の時間を使っている理由も、そんなところにあるという。

日本とは複雑な歴史的背景があるだけに、韓国では今後も同じような変更しようという主張も出るかもしれない。

それでも東経135度の時間を使っていくようだ。

韓国標準科学研究院の専門家のコメントが興味深いので、最後に引用したい。

「私たちが日本の標準時を使っているのではなく、韓国が選択した標準時の東経135度がたまたま日本と重なっているだけだ」

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