犯罪や秘密を公開する“バカッター”は韓国軍人のなかにも…韓国軍の「秘密厳守違反」が増加中

2016年02月15日 ライフ
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すっかり情報化社会となり、毎日、毎時間、インターネットに触れるのが当たり前になって久しい。ツイッターやフェイスブックなど、誰とでもつながれて情報発信できるSNSも、今や生活の一部のようになった。

そんな日本では、ツイッターやSNSなどに自分の犯罪行為や会社の機密を公開する“バカッター”(バカ+ツイッター)という言葉も生まれている。ただ、バカッターがいるのは何も日本に限ったことではないだろう。

どうやら、お隣・韓国にもバカッターはいるようなのだが、その危険度は日本の比にならない。というのも、軍人のバカッターが続出しており、国家の安全保障に関わる事態にまで進展しているからだ。

韓国国防部(日本の防衛省に相当)が2015年9月に提出した資料によると、韓国軍における「秘密厳守違反」の2014年度の摘発件数は、3090件。2012年は2470件だったが、大幅に増加していたことがわかった。さらに、2015年は上半期だけで2189件も摘発されており、過去最多を記録するのは必至と予想された。

中尉が軍事機密を漏洩し…

秘密厳守違反は多くの場合、階級の低い兵士たちの違反だ。階級の低い兵士らが部隊でSNSを利用し、訓練に関する情報を流出させるケースが多いという。

とはいえ、より重大な「軍事機密漏洩」の摘発事例も2012年の17件から、2014年は25件と急増。もちろん、こちらもSNSが一般化したことが原因として考えられている。

なかでも韓国を震撼させたのは、北朝鮮との緊張が強まった2015年8月末に、軍事機密が漏れていたことだ。

ある現役中尉が韓国軍の地上戦術統制情報システム(ATCIS)の表示画面を携帯電話で撮影し、それをネット上に拡散させてしまった。ATCISとは、戦場の状況をリアルタイムで共有するシステムのこと。流出した同システムの表示画面には、8月22日に「黄海上に北朝鮮軍のヘリコプターが出現した」「韓国軍のF-15戦闘機2機が警告射撃を行った」「北朝鮮の航空機がレーダーに識別された」といった情報が含まれていたという。

ATCISには韓国軍の作戦状況がリアルタイムで表示されるだけに、その表示画面自体が軍事機密扱い。不特定多数が閲覧するネット上に公開されるなど、言語道断だ。

その後、逮捕された中尉は、携帯電話で撮影した表示画面を友人に転送したと話している。その友人が韓国の2ちゃんねると呼ばれる掲示板「イルベ」に掲載し、SNSなどによって拡散したそうだ。

韓国のほとんどの男性が兵役経験を持つだけに、ネット民たちの辛口も生々しい。

「兵士たちは携帯電話を持っているだけで違反と言われるのに、幹部たちは携帯で音楽を聴いても問題ないのだから話にならない」

「訓練中に兵士たちは汗をかいているのに、幹部たちは携帯でゲームやカカオトークをしているのだから、問題の原因もわかる」

「兵士が軍事機密を流出させると厳罰に処されるのに、将校が軍事機密を流出させても、誰もが知っている情報だとして軽い処罰で終わる」

などと、ここぞとばかりに不満を爆発させている。

もはや“バカッター”などと軽口を叩いてはいられないほど、SNSの問題が提起されている韓国。一刻も早い改善が望まれている。

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