「日本企業に買収された」「人体に悪影響」…韓国焼酎界のデマ合戦!!

2016年02月14日 社会
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韓国人が好きなお酒と聞いたとき思い浮かべるのは、ビールでもウイスキーでもなく、やはり焼酎だろう。韓国焼酎「チャミスル」などは、お酒好きでなくとも名前は聞いたことがあるかもしれない。

実際に、韓国で焼酎の売り上げは、酒類の35.3%に上るという。日本の焼酎が酒類売り上げの12.5%という数字を見ても、韓国人がいかに焼酎を好んでいるかがわかるだろう。

ただ近年、円安や“嫌韓感情”の煽りを受けて、日本での韓国食品の売り上げが低迷している。

全輸出額の70%を日本に依存する韓国の焼酎は、2014年に前年比で14.1%も減ってしまった。その影響もあってか、韓国焼酎メーカー各社は現在、韓国国内の焼酎市場の覇権を握ろうと躍起になっている。

日本への輸出激減で、韓国焼酎“戦国時代”に

韓国で焼酎をめぐるメーカー同士の競争が激化するのには、理由がある。

それは、圧倒的な強者が不在であることだ。

例えば、韓国のビール市場は「ハイト眞露」と「OBビール」の商品が総売り上げの9割以上を占める二強状態。それに対して、焼酎市場はトップ企業のシェアは全体の5割ほどだ。各地域では地元を代表する焼酎メーカーが奮闘しているのが現状で、一人勝ちを目指す大手酒造メーカーにとってはまさに目の上のタンコブだろう。そのため、ここ10年の間に地方メーカーの多くが大手酒造メーカーに買収される事態が続いた。

現存している地方メーカーは、本当に地域住民に愛されている土着のメーカーといえるだろう。地域を代表する焼酎は“地元民の誇り”にもなっているわけだが、最近そうした地方メーカーを揺るがす事態が起きている。

問題となったのは、大田(テジョン)、忠清(チュンチョン)一帯を拠点にした「THE MACKISS COMPANY」という地方メーカー。二日酔いしにくい焼酎「O2リン」を看板商品に、地域住民から長らく愛されてきたのだが、2015年秋、地元を中心にある“デマ”が流されて苦境に立たされている。

そのデマとは、「MACKISSは日本企業に買収された」というもの。

「THE MACKISS COMPANY」を支持してきた地域住民たちは「裏切られた」と口をそろえており、「O2リンは日本の焼酎だから飲みたくない!」という顧客が急増。昨今の日韓関係の悪化も影響しているのかもしれないが、MACKISS関係者は、そのデマによって飲食店や小売業者からの注文が激減したと明かしている。

これまで積み上げてきた消費者の信頼に大きくヒビが入ってしまったわけだ。

MACKISS関係者は「日本企業に買収されたというのはまったくのデタラメ。デマを流したのは地元の焼酎市場を狙う同業種だ」と断定しており、法的に強力に対応していくと語気を強めている。

MACKISSがデマの的となったのは、2014年度に売上高525億ウォン(約53億円)を記録して、前年度から約7%も急成長したために妬みを買ったと推測する人も多い。

韓国の焼酎メーカー同士の争いは、ほかにもある。

2014年に勃発した「ハイト眞露」と「ロッテ酒類」の争いがそれだ。

事の発端は、ロッテ酒類が若い女性向けに、低度数の焼酎「チョウムチョロム」を発表して、総売り上げ8000億ウォン(約800億円)という空前の大ヒットを飛ばしたことにある。

ロッテ酒類の躍進に焦ったハイト眞露は、なんと「チョウンチョロムは人体に悪影響がある」というデマを流したのだ。しかし、この一件はすぐに発覚して、ハイト眞露は1億4300万ウォン(約1400万円)の課徴金を支払うハメになっている。

余談だが、敗訴したハイト眞露は、その数カ月後に「チョウンチョロム」のアイデアをマネした低度数焼酎の販売に踏み切った。これに伴い、韓国では若者を中心にした低度数焼酎の酒類が急増。売り上げ競争は一層熾烈となった。

デマを流してまでライバル企業を蹴落とそうと躍起になっている韓国焼酎業界。手段を選ばない競争は、焼酎業界全体への不信感にもつながりかねないのではないだろうか。

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