韓国では住宅を借りるときに、月々の家賃ではなく、まとまった金額の保証金(チョンセ)を預けるという特有の住宅制度がある。家主はその保証金を運用して利益を得て、契約終了後、全額を入居者に返金することになっている。
そんな住宅を借りる際の保証金の金額が、文在寅(ムン・ジェイン)政権の5年間で大幅に上昇したことがわかった。
4月5日、不動産のビッグデータ分析などを行う不動産R114が、文在寅政権5年間の保証金額の変動率を調査した結果を発表した。
それによると、全国平均で保証金額が40.64%も上昇したことがわかった。全国17の市や道のうち、最も上昇した地域は世宗(セジョン)市で75.92%も上昇したというのだから驚く。続いて、大田(テジョン)56.81%、ソウル47.93%、京畿(キョンギ)44.81%、仁川(インチョン)38.59%、忠清南道31.49%、忠清北道28.03%となった。
興味深いのは、保証金価格の上昇を抑えるために文在寅政権が2020年7月に施行した「賃貸借3法」(契約更新請求権、保証金・家賃上限制、保証金家賃申告制)後、大幅に価格が上昇しているという点だ。
全国基準で数字を見ると、賃貸借3法の施行前である3年2カ月間は、保証金価格が10.45%の上昇にとどまっていた。しかし施行後の1年7カ月で27.33%も上昇したのだ。なんとも本末転倒な話だ。
不動産R114のユン・ジヘ首席研究員は、「過去2年周期だった賃貸借契約が4年(2+2)周期に変わり、5%上限制に変更されながら、円滑な保証金制度の物件の流通が難しくなった影響」と指摘した。
『東亜日報』などは、「賃貸借3法」が成立する前から「賃貸借3法が家主の不安に火をつけた」とし、「これまで比較的低価格で家を貸していた家主でさえ、テナントに大幅の家賃値上げを要求」と懸念を示しており、「政府与党が“不動産人災”を自ら招いている」と切り捨てていた。
韓国オンライン上では「経験したことのない世の中を作るという公約は、こういうことだったのか」「良い家主が消える政策だったな」「これでも文在寅を支持する人はどんな人なのか」といった反応が見られた。
来る5月9日24時に任期満了を迎える文在寅大統領だが、その“置き土産”は大きそうだ。
(文=サーチコリアニュース編集部)
前へ
次へ