最近、フィリピン旅行に行く韓国人が増えているというが、実はフィリピンでは少なくない韓国人が命を落としている。
その数、2015年の1年間で11人。
例えば、2015年12月20日に殺害されたチョさん(57)がいる。同日の深夜、彼が自宅でフィリピン人の妻と子どもと就寝していると、4人組の男が侵入。チョさんに3発の銃弾を撃ち込んで殺害したのだ。男たちは現金やノートパソコンなどを奪って逃走している。
フィリピンで韓国人殺害事件がいかに多発しているかは、数字を見れば明らかだ。2013年から2015年にかけて海外で殺害された韓国人は計79人に上るのだが、そのうちフィリピンで殺された韓国人は31人。全体の40%に上る。
その理由のひとつとして挙げられるのは、「韓国人は金持ち」というフィリピン人のイメージだという。
というのも、フィリピンには買春目的で訪れる中年韓国人が多く、売春婦に少なくない金を落とす韓国人は金持ちに見えるそうだ。また、海外ということで態度が大きくなり、現地人を軽視した行動を取ることも多々あり、トラブルの原因になっているという。
実際、フィリピンで起こる韓国人殺害事件の多くは、金銭トラブルが原因と考えられている。
2015年10月2日に殺害されたイさん(54)夫婦は、自宅を建設中、現地工事業者と代金の問題で激しく言い争っていたという。夫は脅迫も受けており、それを警察に伝えた記録も残っているが、結局、事件を防ぐことはできなかった。また、同年8月19日に自宅で10数発の銃弾を受けて殺害されたナさん(64)も、自動車の代金や自宅の工事費などで揉めて、脅迫を受けていた。
ちなみに、フィリピンでは住宅や建物を韓国人単独で所有することができない。
そのため、複数の韓国人の名義で登録されることが多く、それがトラブルにつながることも少なくない。実際、先述したナさんの自宅は16人の名義で登録されており、彼がほかの出資者と揉めていたことも、事件に関係していたのではないかという臆測が出ているようだ。
頻発する韓国人殺害事件に対して、韓国警察も本格的に動きだした。
警察庁はチョさんが殺害された事件を捜査するため、ソウルからフィリピンに捜査チームを派遣すると同年12月21日に発表。韓国の警察が海外で発生した事件を現地捜査するのは、初めてのことだった。
年々増加しているフィリピンでの韓国人殺害事件。被害は気の毒だが、原因が“身から出たサビ”でないことを願うばかりだ。
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